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各種手当の留意事項(住宅手当・役職手当)

 今回は住宅手当、役付手当を説明します。実情は東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情(平成20年版)」(以下「賃金・退職金事情」といいます)を参考に整理しました。

1.住宅手当
@住宅手当の実情
 賃金・退職金事情によりますと集計企業のうち、住宅手当を支給する企業は50.6%で、約半数が支給している状況です。支給企業の65.9%は住宅の形態に関わりなく一律支給をしており、平均支給額は世帯主(有扶養家族)19,942 円、単身者世帯主15,775 円でした。
 一方、支給企業の14.9%は住宅の形態別に支給し、平均支給額は世帯主(有扶養家族)の場合は、民営借家24,744 円、公営借家24,917 円、持家18,913 円であり、単身世帯主の場合は、民営借家18,731 円、公営借家17,241 円、持家14,856 円という結果でした。

A割増賃金算入の考え
 住宅以外に要素に応じて一律支給する場合は、割増賃金を計算する際に計算の基礎に算入されます。なお、割増賃金の計算の基礎に算入しない例としましては、「住宅に要する費用に定率を乗じた額を支給することとされているもの」、「住宅に要する費用を段階的に区分し、費用が増えるにつき、額を多く支給するもの」が該当します。

B住宅手当に対する考え方
 確かに、住宅手当は家賃等を支払う社員についてのみ支給することは、その社員のみが賃金が高くなり、社員間の公平性が確保できなくなる面があります。しかし、家賃等を支払う社員から見れば経済的負担は大きく、支援したい面もあります。以上から、住宅手当は、例えば世帯主全員に支給し、額も1〜2万円と負担を軽減する対応が考えられます。また、割増賃金を考慮して段階的に区分して、住宅手当を支給する方法もあります。この点は、経営判断で対応することになります。

C規定例
<規定例(一律支給の場合)>
第○条 住宅手当は、世帯の世帯主である社員に対して別表○に定めた金額を支給する。
  2.住宅手当は、従業員が世帯主であることの届け出があった日の属する月の翌月から支給を開始し、世帯主でなくなった月まで支給する。
  3.従業員は、世帯主でなくなった場合は遅滞なく会社に届け出なければならない。
  4.前項の届出が遅れた場合、虚偽の申告をした場合は、会社は住宅手当を支給しないことがある。
  5.住宅手当の支給事由が消滅した場合でも、受給していた場合は、支給事由に該当しなかった月に関して、過去に遡って返還を命じる。

<家賃・住宅ローンに応じて段階的に区分した例>
賃貸 持ち家 支給額
毎月の家賃支払額 毎月の住宅ローン
100,000円/月   超 100,000円/月   超 20,000円
100,000円/月 以下 100,000円/月 以下 10,000円

2.役付手当
 
@役付手当の実情
 役付手当は、賃金・退職金事情では、集計企業のうち、役付手当を支給する企業は75.8%でした。その中で56.3%は「同一役職につき同一金額を支給」しており、35.1%は「同一役職でも異なる額を支給」しています。
 「同一役職につき同一金額を支給」している企業の平均支給額は、部長103,980 円、課長77,713円、係長35,346 円でした。一方、「同一役職でも異なる額を支給」している企業の平均支給額は、部長150,510 円、課長99,416 円、係長58,935 円という結果でした。

A役付手当の留意点 
 こうした役付手当で気をつける必要があるのが、割増賃金の支給との関係です。
 例えば、役付手当は労働基準法第41条の第2号の管理監督者に該当する社員に支給するとし、多くの社員が役付手当支給対象者だとします。そして、これらの社員は管理監督者のため残業手当を支給していなかったとします。これはリスクが高い状況です。
 すなわち、労働基準法上の管理監督者として認められるには、かなり厳しい要件をクリアする必要があります。具体的には、以下の要件について総合的に判断されます。
・労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容を有していること
・労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な責任と権限を有していること
・現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないようなものであること
・賃金等について、その地位にふさわしい待遇がなされていること


B定額残業手当
 Aの要件をクリアできない場合、よくご提案するのが定額残業手当です。みなし残業手当という場合もあります。これは、残業手当として一部の諸手当をそのまま取り扱うことです。例えば、役付手当を8万円支払い、この役付手当を定額残業手当とすることです。
 残業の計算は、@家族手当、A通勤手当、B別居手当、C子女教育手当、D住宅手当、E臨時に支払われた賃金、F1カ月を超える期間毎に支払われる賃金は、残業手当の算定基礎からの除外を認めており、それ以外の手当は算定の対象になります。
 ただ、この場合は、定額の残業手当扱いですので、割増賃金の算定除外となります。
 定額残業手当について定めるのであれば、就業規則等であらかじめ明確に規定しておく必要がありますので、この点、ご注意ください。

C規定例
(役付手当)
第○条 リーダー職の者について支給する。
  2.支給額は、一律80,000円とする。 
  3.前項の役付手当は、時間外労働手当の内払いの性格を有するところから、第○条に基づき算出される時間外労働手当の支払いに当たっては、同算出額から役付手当を控除した額を支払うものとする。ただし、実際の時間外労働手当の合計額が役付手当を超える場合はその超過分を加算して支払うが、その合計額が役付手当に達しない場合にも役付手当を減額しないものとする。

 
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