裁判例解説

Case: 労災の認定~従業員主催のイベント時は通勤災害になるか~

(国・米沢労基署長(通勤災害)事件・東京地裁平22.10.4 労判1024‐83)

事件の概要

Aが勤務先の従業員会主催のバドミントン大会に参加し、その終了後に同僚の運転する自動車に同乗して帰宅途中、同自動車が交通事故に遭い傷害を負ってしまいました。この傷害につき、Aが通勤災害として療養給付の請求をしましたが、労基署は支給しないことを決定したため、この処分の取消を求めた事件です。

裁判のポイント

裁判のポイントは、以下のとおりです。

  1. 本件大会の内容が、本件事業場の各部署対抗のバドミントン大会であり、従業員相互の親睦と円滑な意思疎通を図る意義は一定程度認められるものの、客観的にみて本件事業場における事業運営に直接かかわるものではないこと、本件大会が、任意参加の形態であり、本件従業員会福利共済部会による参加募集及び入社教育、本件事業場内での朝礼、ミーティング等における管理職を通じた参加募集があったほかは、参加を強制されたり、参加を命じられるものでなく、不参加者に不利益が課せられるものでもなく、実際の参加者も本件関連会社の全従業員の約2割程度であったこと、本件大会が本件事業場の就業時間外に開催されたが、参加者に時間外手当等の賃金は支払われず、傷害保険加入手続のために一時的に参加者名簿が作成されたほか、本件関連会社が従業員の参加の有無を管理、把握するための手段を講じていなかったこと、(中略)、本件大会への参加は、Aが事業主である本件関連会社の支配、管理下にある中で行ったものと評価することは困難であり、Aの業務とは認めることはできない。(中略)
  2. Aは、本件体育館が「就業の場所」にあたる根拠として、本件関連会社が、本件体育館とこれに併設された研修施設を多数回利用していること、本件関連会社が本件体育館等運営会社の株主になり、過去の一定期間、本件関連会社の社長が、本件体育館等運営会社の社長を兼任する等していた旨主張している。(中略)
    本件体育館が、その利用目的にかかわらず常に本件関連会社の従業貝の就業の場所になっていたとまで評価することはできず、本件体育館は当該利用目的が業務性を有する場合に限って本件関連会社従業員の就業の場所となり得るにとどまるものというべきである。そして、本件大会への参加が原告の業務であるとは認められないのであるから、本件災害当時、本件体育館が原告の「就業の場所」であったとは認めることはできない。

そして、以上の理由から、この事件では、療養給付の支払請求が棄却されました。

裁判から学ぶこと

イベントが”従業員主催”で”任意参加”の場合は、労災はなかなか認められないことを示唆している事件です。
参加が強制か任意かは、実態で判断されることになりますが、今回のケースでは、任意参加であるものとして、「業務外」と判断されました。

したがって、従業員主催のイベントにおいて、怪我をした場合には労災は認められにくいですので、参加する従業員はこの点を留意して懇親を深める必要があります。

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