就業規則本則 解説

退職・解雇

退職

退職は就業規則の絶対的記載事項なので、必ず記載しなければなりません。

(退職)
第○条従業員が、次のいずれかに該当した場合は退職とする。
  1. 死亡したとき
  2. 本人からの退職の申し出があり会社が承認したとき
  3. 定年に達し、継続雇用として再雇用されなかったとき
  4. 期間を定める雇用の場合、その期間が満了したとき
  5. 休職期間が満了しても復職しないとき
  6. 行方不明となり1ヵ月が経過したとき
  7. 役員に就任したとき
  8. 関連会社に転籍したとき
  9. その他会社が退職と認める事由が生じたとき

退職の場合、問題となるのが自己都合の退職の場合ですね。どの時点で退職願を出してもらえるかが重要です。 私は、この場合は1ヵ月前には退職願を出してもらうべきと考えています。 業務の円滑な引継ぎを考えるとある程度の期間が必要だと思います。また、退職者は退職前に有給を消化するため、まとまった休みをとるケースも多くあり ます。

したがって、1ヵ月前には退職願をだしてもらえるようにすると良いと思い ます。 ただ、問題なのは、この1ヵ月というのは強制はできません。民法627条で は、「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約 申し入れをすることができる。この場合において、雇用は解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了する」と定めています。

しかし、さきほどのように業務引継ぎの問題があるため、会社から従業員へのお願いというかたちになりますが、2週間ではなく1ヵ月前には、退職の届出をしてもらえるよう従業員に周知徹底し、理解してもらうことが大切といえます。

退職時の証明

まず、就業規則の記載例はこのような感じです。

(退職時の証明)
第○条退職または解雇された者が、退職証明書の交付を請求したときは、 会社は遅滞なく作成し、交付する。
2退職証明書の証明事項は、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金または退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む)とし、従業員の請求した事項についてのみ記入する。
3解雇の場合は、解雇予告がされた日から退職日までの間に、解雇理由について証明書を請求された場合は、会社は解雇理由証明書を遅滞なく作成し、交付する。

平成16年の労働基準法の改正施行により、解雇を予告された労働者は、解雇前においても会社に対して、解雇の理由について証明書を請求できるようになりました。これは、紛争の未然防止が目的です。この内容が第3項ということになります。

退職時の証明についての留意点 ・証明書の交付は1回に限らず、制限は設けられていない。
・証明書には、労働者が請求しない事項を記入してはならない。
・証明書の請求権の時効は2年である。

退職時の証明については、きちんと対応することが適切です。会社を退職後、他社へ就職したが、しばらくして元の会社に戻ってくるケースを時々聞くことがあります。色々な理由があると思いますが、元の会社の企業風土等が自分に合うと感じることが大きいのではないでしょうか。 退職者は、もう会社を辞めるのだからという理由でいいかんげんに扱うのでは なく、「退職するのであれば、使用期間や業務の種類等、きちんと会社で証明してあげますよ」と親身に対応することがよいと思います。

優秀な人材は、必ずしも「オカネ」だけで動くとは限りません。退職者を含めて 従業員の将来を考えて適切に対応することが優秀な人材の確保・定着に大きく寄与すると思われます。

60歳以降の継続雇用

就業規則の記載例はこのような感じです。

(定年等)
第○条従業員の定年は満60歳とし、60歳に達した月の末日をもって退職とする。
2会社は、定年退職をする従業員が、就業規則第67条(退職、但し第67条第3号は除く)、就業規則第69条(解雇)に該当せず、定年後も引き続き、希望する場合は、契約期間1年の範囲内の雇用として、嘱託社員として再雇用する。但し、最大更新期限を65歳に達するまでとする。
3嘱託社員の労働条件は、別に定める嘱託社員就業規則に定めるところによる。

平成18年4月より、改正高年齢者雇用安定法が施行され、企業は65歳までの継続雇用が義務付けられました。具体的には、企業は以下の3つの方法から1つを選択することになります。

・定年の延長
・継続雇用制度
・定年の廃止

現時点における厚生労働省の調査では、最も導入されているのが継続雇用制度です。対象従業員を基準で選別できることと再雇用における労働条件の見直しができる等で、有効だからと思われます。

まず、最も重要なのは60歳以降で再雇用制度を導入する場合、一律に賃金を設定することは適切でないと思います。

具体的には、社内の貢献度によって高年齢者の賃金等について、ある程度の格差を設けることが有効と考えます。そのためには、60歳以降の再雇用者に対しても適正な人事評価が必要です。 確かに、昇給や賞与は在職老齢年金等の支給額に影響を及ぼすデメリットがあります。しかしながら、自分の業績が適正に評価され、それが処遇に結びつくと、高年齢者のやる気につながることになります。

少子高齢化の中で、新しい従業員の採用は厳しくなっています。こうしたときには既存従業員のモチベーションを高め、生産性向上を図らなくてはいけません。そのためには優秀な女性と高年齢者の定着を図ることが重要といえます。

解雇

まず、就業規則の記載例はこのような感じです。

(解雇)
第○条会社は、従業員が次のいずれかに該当する場合は、解雇することができる。
  1. 精神または身体の障害で業務に耐えられないと認められるとき
  2. 勤怠不良で改善の見込みがないとき
  3. 業務能力が著しく劣り勤務成績が不良のとき
  4. 事業の縮小その他やむを得ない事業上の都合により必要を生じたとき
  5. 天災地変その他やむを得ない事由のため事業の継続が不可能になったとき
  6. 試用期間中の者について審査した結果、従業員として不適格と認められるとき
  7. その他前各号に準ずるやむを得ない事由が生じたとき

解雇につきましては、基本的に解雇に該当する事由を多く記載していくことが適切となります。 この理由ですが、解雇は合理的理由がないと行えないと労働契約法で規定しているからです。この合理的理由を示す根拠が就業規則の規定ということになります。 個別労働紛争において、解雇についてはトラブルが多くなっています。原因は色々考えられますが、使用者側が解雇についての正しい知識を習得していないことが最も大きいと思います。

日本では、まだまだ従業員を解雇することは、かなり厳格です。例えば、面接や配置転換等において適切な指導、対処をしているにも関わらず、改善の見込みがないという状態等の証拠固めが解雇を行うときに必要になります。 間違っても、そのときの感情で「クビだ」と発言して、そのように取り扱わないこ とです。 優秀な人材にとっても、そのときの感情で「クビだ」という経営者にはついていきたくないと思います。経営者は冷静な対応が必要になります。

解雇予告

就業規則の記載例はこのような感じです。

(解雇予告および解雇予告手当)
第○条会社は、従業員を解雇する場合、少なくとも30日前に文書で予告する。
2解雇を予告せずに解雇する場合は30日分の平均賃金を解雇予告手当として支給する。
3第1項の予告日数は、平均賃金を支払った分を短縮することができる。
4天災地変で事業の継続が不可能となった場合や従業員の責めに基づく理由で行政官庁の認定があれば解雇予告手当を支給しない。
5次に該当するものは解雇予告を行わない。
  1. 日々雇用する者(1箇月を超えて引き続き使用される者を除く)
  2. 2か月以内の期間を定めて雇用する者(所定の期間を超えて引き続き使用される者を除く)
  3. 試用期間中の者(14日を超えて引き続き使用される者を除く)

原則として解雇を行う場合には事前に予告が必要になります。この日数は30日となっ ています。但し、上記のように一部の従業員につきましては、解雇予告は不要となっています。 可能な限り、従業員の解雇というのは避けたいものです。しかし、企業によっては、 整理解雇等のようにやむを得ず解雇する可能性があることも否定できません。但し、整理解雇が認められるには、一定の要件が必要となります。

ただ、従業員の立場になれば、適切に解雇予告を受けて、別の勤務先を探す日数や時間があることが適切になります。したがって、誤って、その場で「もう会社へは来なくて良い、お金も払わん」といってはいけません。 これからは法令遵守(コンプライアンス)が大切です。こうした解雇予告ひとつをとっても、経営者は冷静な対応が必要になります。

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