就業規則本則 解説

服務規律

服務規律の重要性

まず、服務規律は、従業員が遵守すべき事項を定めたものです。例えば、酒気を帯びて就業しないことという極めて当たり前のことから、セクシュアルハラスメントに関する内容、営業秘密(トレードシークレット)や個人情報の漏洩の禁止についても通常記載されています。 この服務規律は、私として就業規則の中で、かなり重要なテーマと位置づけています。なぜならば、この服務規律を詳細に記載し、これを従業員が遵守することは、以下の通り様々な効果があるからです。

第一に、対外的な信用面につながります。従業員は、服務規律の内容に基づき、行動します。したがって、服務規律を遵守していくうちに、社会人としての資質の向上へとつながります。この結果、外部のステークホルダーは、しっかりした会社であるという好印象をもつことになります。

第二に、リスクヘッジです。これは、個人情報保護法や不正競争防止法により、個人や企業の情報を守ることが極めて重要になっています。このため、情報の漏洩の防止について服務規律で明確に定めた方がよいということになります。具体的には、守秘義務という条項でカバーしつつ、別途個人情報保護規程を設ける場合もあります。

第三に、優秀な人材の確保・定着です。優秀な人材ほど周りの従業員がだらしないことを嫌います。また、優秀な女性社員がセクハラにより、退社することは避けなくてはなりません。こうした観点から、優秀な人材の確保・定着の面からも重要です。

服務規律は、重要な役割を担っていると言えます。同時に、服務規律違反は、「就業規則違反」でもありますから、懲戒処分につながります。いいかえれば、服務規律に記載していない内容をもって懲戒処分とするのは、難しいことになります。したがって、服務規律を充実させておくことが重要です。

服務の基本

服務規律の中の、「服務の基本」について説明します。まず、「服務の基本」の就業規則の条文例は、以下の通りです。

(服務の基本)
第○条社員は、本規則や各規程及び業務上の指示命令を遵守するとともに、お互いに協力して職場の秩序の維持に努め、業務に専念しなければならない。

この「服務の基本」は「服務の原則」、「社員としての心構え」など色々な言い方があります。内容的には、どの就業規則例もかなり共通しています。ここでのポイントは、以下の3点です。

第一に、本規則や各規程(賃金規程などのことです)や業務上の命令を遵守することです。したがって、例えば就業規則に記載していることを守らなければ、服務規律違反になります。このことは、いずれ説明します懲戒処分に結びついていきます。

第二に、お互いに協力して職場の秩序の維持に努めることです。いわゆるチームワークです。成果主義が進みますと個人の業績向上のみを意識し、職場の雰囲気が悪くなることが懸念されます。私は、小集団活動のようなチームワークが会社を活性化する上で重要だと考えています。そういう意味で、チームワークについても記載した方がよいといえるでしょう。

第三に、業務に専念することです。例えば、就業時間中にパソコンを私的利用したりすることは禁止するべきです。当たり前の話ですが、基本給は、所定労働時間に対して支払うものです。したがって、基本給をもらっている以上、原則として所定労働時間は、業務に専念する必要があります。

以上のように、何気ない条文ですが、ざまざまな論点が入っていることがわかります。この基本原則をもとに、次の条文から服務規律について細かく記載することになります。

服務の遵守事項

服務の遵守事項については、「基本的遵守事項」と「個別的重要遵守事項」に区分した方がよいと考えています。

まず「基本的遵守事項」ですが、社員が守るべき当然のことを指します。例えば、「酒気を帯びて就業しない」、「無断欠勤、遅刻はしない」ということがあげられます。当たり前のことですが、こうしたことも就業規則にきちんと記載していた方が、トラブルを未然防止する上で重要です。

次に、「個別的重要遵守事項」ですが、これは、まず現在会社がCSR(企業の社会的責任)を推進する上で、特に重要だと考えるものが該当します。例えば、「個人情報保護の管理」などがあります。

加えて、別途詳細に記載しておいた方が良い内容があげられます。例えば、「セクシュアル・ハラスメントの防止」、「パソコンやスマートフォンの使用」、「(副業を認めていない場合は)二重就業の禁止」があります。

このように、「基本的遵守事項」と「個別的重要遵守事項」に区分して記載した方が、より明確になります。当然、社員教育を行う場合は、「個別的重要遵守事項」の内容を重視することになります。

また、あまりにもボリュームが多くなる内容については、別規程を設けることもあります。例えば「個人情報管理規程」、「セクシュアルハラスメント防止規程」です。本則にいれるか、別規程に定めるかは、いずれも一長一短です。 あまり別規程を多く作成すると管理が大変になるため、別規程は賃金規程、パートタィマー就業規則等最小限にとどめるという考えもあります。

また、逆に本則があまりにも厚くなりすぎると読みにくいので、できるだけ別規程を作成する、という考えもあります。

したがって、どちらにするかは、企業の考え方により異なってくると思います。

いずれにしても、服務の遵守事項は、以前も記載しましたが企業にとって重要な内容です。パソコンや携帯電話の普及により、新しい服務面の課題も生まれてきています。したがって、現在の服務規律で問題がないかどうか、一度見直してみて、不備があれば修正することが適切です。

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