就業規則本則 解説

表彰・懲戒

表彰

就業規則の記載例はこのような感じです。

(表彰)
第○条従業員が次のいずれかに該当する場合には、その都度、審査のうえ表彰する。
  1. 技術優秀、業務熱心で会社に貢献したとき
  2. 災害を未然に防止したとき、または災害の際に特に功労があったとき
  3. 職務上の発明、考案、意匠が優れていたとき
  4. 10年以上にわたり誠実に勤務した場合
  5. 前各号に準ずる善行または功労があると認められる場合
2前号の表彰は、賞状のほか賞品または賞金を授与してこれを行う。
3表彰は原則として会社の創立記念日に行う。

表彰の内容は、上記の記載例のとおり会社への貢献度や永年勤続、職務発明等があります。 ここで注意したいのが、職務発明、考案、意匠です。中でも職務発明については、青色発行ダイオードのように裁判で争われ、極めて高額な発明の対価が認められるケースもあります。 しかも、平成17年には、特許法の改正が行われ、職務発明についての対価について契約、勤務規則で定める場合の合理性の考え方が示されています。

具体的には、「対価を決定するための基準の策定に際して使用者等と従業者等との間で行われる協議の状況」、「策定された当該基準の開示の状況」、「対価の額の算定について行われる従業者等からの意見の聴取の状況」等を考慮することです。(特許法35 条4項) したがって、職務発明については極めて慎重な取扱が必要になってきます。

さて、表彰については、優秀な人材の確保・定着の観点から重要です。 表彰されて嬉しくない従業員は、まずいないと思います。表彰については、なるべく従業員のモチベーションの向上につながる工夫が必要です。

具体的には、表彰式には社長が感謝の気持ちをしっかり表すことです。また、賞品についても時代の流れに沿った適切なものを選択することです。昔は、置き時計などが多かったと思いますが、今は旅行券やスマートフォン、パソコンなどがいいかもしれません。 モデルには書いていませんが、QCサークル(小集団改善活動)を実践している企業であれば、その活動についてもきちんと表彰することが適切です。 表彰は、企業ごとで色々工夫してみるとよいでしょう。

懲戒

就業規則の記載例はこのような感じです。

(懲戒の種類)
第○条懲戒は、その情状により次の区分により行う。
  1. けん責(始末書を取り、将来を戒める)
  2. 減給(始末書を取り、1回の事案に対する額が平均賃金の1日分の半額、総額が1か月の賃金総額の10分の1の範囲で行う)
  3. 出勤停止(始末書を取り、10日間を限度に出勤を停止し、その期間中の賃金は支払わない)
  4. 降職(始末書を取り、役職を引き下げる)
  5. 諭旨解雇(始末書を取り、退職願の提出を勧告する)
  6. 懲戒解雇(予告期間を設けることなく即時解雇する)

(懲戒処分)
第○条次のいずれかに該当する場合は、減給、出勤停止または降職に処する。ただし、情状酌量の余地があれば、けん責にとどめることがある。
  1. 正当な理由なく、遅刻または欠勤を重ねたとき
  2. 過失により事故または災害を発生させ、会社に損害を与えたとき
  3. 就業規則や諸規定を遵守しないとき
  4. 素行不良で職場の風紀を乱したとき
  5. その他前各号に準ずる程度の不都合な行為を行ったとき

(懲戒解雇)
第○条次のいずれかに該当する場合は、懲戒解雇に処する。ただし、情状酌量の余地があれば、諭旨解雇または他の懲戒処分にとどめることがある。
  1. 無断欠勤が7日以上に及んだとき
  2. 遅刻、早退、欠勤を繰り返し、改善の見込みのないとき
  3. 素行不良で著しく職場の風紀を乱したとき
  4. 故意または重大な過失により災害または事故を発生させ、会社に重大な損害を与えたとき
  5. 就業規則、諸規程に違反した場合で事案が悪質または重大なとき
  6. その他前各号に準ずる程度の不都合な行為を行ったとき

この中で最も重いのが懲戒解雇ということになります。懲戒解雇の場合は、 退職金を不支給とする規定を設ける企業も多いと思います。 ただ、懲戒解雇=退職金不支給が必ず認められるわけではありません。 退職金は、功労報償的な性格(賃金の後払いとする考えもある)を有すると考えられますので、懲戒解雇となる懲戒事由があったとしても、こうした功労的な部分を全て打ち消すくらいの事由がなければ、全額不支給が認められるわけではありません。

最終的にはケースバイケースで減額または不支給 という取扱になります。 それから、懲戒処分で重要なのは始末書または顛末書をとることです。懲戒事由の証拠となるからです。できれば始末書が良いのですが、始末書は謝罪・反省を記載するものですから、強制的にとることはできません。しかし、少なくとも顛末書はとるようにしたほうがよいでしょう。

さて、優秀な人材の確保・定着の観点では、懲戒処分はきちんと実施することが適切です。例えば、遅刻・欠勤を繰り返すいいかげんな従業員がのさばっていれば、他の従業員にとって悪影響を及ぼします。また、いいかげんな従業員は、当然自社の顧客にも悪影響を及ぼします。 懲戒処分は、厳格に行うことが重要といえるでしょう。

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