高年齢者雇用
継続雇用制度
今回は、平成18年4月1日施行の改正高年齢者雇用安定法の概要を解説します。 まず、定年の定めをしている事業主は、65歳までの安定した雇用を確保するため、以下に示す3つの方法のいずれかを実施する必要があります。
- 1. 定年の引き上げ
- 現在の定年を65歳未満としている場合は、段階的または早期に定年を65歳に引き上げることです。
- 2. 継続雇用制度
- 60歳定年の後、希望に応じて再雇用または勤務延長することで、定年後も引き続いて雇用することです。
- 3. 定年の廃止
- 労働契約の終わりをなくすことです。したがって、労働者が一定の年齢に達しても退職させることはできません。
厚生労働省が、平成18年10月13日に「改正高年齢者雇用安定法に基づく、高年齢者雇用確保措置の実施状況について」を発表しました。具体的な内容は、以下のとおりです。
51人以上規模の企業を対象に調査し、以下の結果となりました。
/ 81,382社(84%)
内訳は、大企業では94%、中小企業では82%となります。
雇用確保措置の具体的内容
-
a)上限年齢
・65歳以上・・・76.3%
・62~64歳・・・23.7%
-
b)雇用確保措置の内訳
・継続雇用制度 ・・・85.9%
・定年の引き上げ ・・・12.9%
・定年の定めの廃止・・・1.2%
-
c)継続雇用制度の内訳
・希望者全員・・・39.1%
・基準該当者・・・60.9%(労使協定:42.1%、就業規則:18.8%)
このように、継続雇用制度を導入する企業が多いようです。 この理由としては、60歳で定年を迎えた労働者に対して、一旦退職させて再雇用しますと、労働条件の変更が容易なためです。
60歳以降の労働者は、多くの方が在職老齢年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付を受給する権利を有していますが、これらの制度は給料が低くなることが前提の制度です。したがって、嘱託というかたちで60歳時と比較して、給料を大幅に減少した上で再雇用するかたちが、とられています。
進路確認の重要性
進路選択確認の重要性について説明します。 まず、高年齢者が60歳になりますと、継続勤務か退職といういずれかの道を選択することになります。
継続勤務の場合は、会社の定める基準により、対象となる社員を選別することになるでしょう。また、場合によっては希望者全員の継続雇用することもあります。 ここで重要なのは、社員が退職という道を選んだ場合です。これにより、企業にとって大きな問題が生じます。
第一に、「要員計画」の面です。退職者が多ければ、部署によっては人材不足の問題ができてきます。
第二に、「熟練技能の伝承」の面です。熟練技能の伝承が終わっていない段階で退職されると、業務がうまく遂行できなくなります。
第三に、「人材の社外流出」の面です。60歳以降も是非残って欲しい人材が社外へ流出するのは、企業にとって大きな痛手です。
以上から、早い段階で進路確認を行うことが重要と言えます。
これにより、早めに継続雇用の意思の確認ができますので、要員計画が立てやすく、また早い段階から技能継承を行うという判断ができます。 さらに、優秀な人材が退職の意思表示を示しましたら、数年かけて会社の魅力を訴求することもできます。 進路確認は、重要といえるでしょう。
高年齢者のモチベーション向上
厚生労働省では、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構、財団法人高年齢者雇用開発協会との共催で、「高年齢者雇用開発コンテスト」を実施し、高齢者にとって働きやすい雇用環境を実現するための創意工夫の事例を毎年募集しています。
例えば、以下の取り組みが見られます。
- 定年年齢は60歳。定年後も希望者全員を、原則的にエルダー社員として65歳まで再雇用する制度を導入
- 高齢者が意欲的に自主保全活動、技能の伝承、社員教育など幅広い分野で活躍できるシステムの設置
- エルダー社員は、フルタイム勤務、週3日勤務、短時間勤務と多様な働き方が可能
- 中高年齢者の持つ能力・経験を若手に伝承するために、技術・経験を有する中高年齢者と栄養士・調理師の有資格者の新規採用者の老若混成チームを編成
- 新職場として特別養護老人ホーム等の給食委託業務を創出し、中高年齢者の能力と経験を活かせる職場を提供
- 継続雇用者の賃金制度もフルタイム勤務で業績に応じて定年到達時の80~100%、隔日勤務で公的給付を加味して70%。本人の希望により短時間勤務や隔日勤務が選択できる
- 人事管理制度は、階層組織にして、全体会議で職位を任命し、責任と権限を明確にした。人事考課制度は本人の納得性に配慮した公平性、客観性を期す多段階評価を行っている
このように、様々な取り組みが見られます。 ここでの重要なポイントは、次の内容と考えています。
- 1. 適正な評価と処遇:
- 高年齢者が60歳以降いきいきと働くことが、社内の活性化につながります。そのためには、高年齢者を一律に低い賃金で雇用するのではなく、社内の貢献度によって高年齢者の賃金等について、ある程度の格差を設けると有効です。
- 2. 多様なコース設計:
- 高年齢者は60歳以降もフルタイムで働きたい人、パートとして働きたい人など様々なニーズがあります。出来る限り、こうしたニーズに配慮する方がいいと思います。
- 3. 熟練技能の伝承:
- 高年齢者の熟練技能を若手社員に伝承することが重要です。そのためには、高年齢者による研修を社内で実施することが考えられます。また、可能な限り熟練技能をマニュアルの作成等を通じて標準化することも有効です。
- 4. 職務再設計:
- 高年齢者の体力等を考慮して、負担がかからず、かつ能力が生かせる適正な職務を再設計することも重要です。例えば、高年齢者向けの新しい職場を設けることも有効です。
