賃金規程
諸手当
諸手当の代表的なものとしては、家族手当、住宅手当、営業手当、精皆勤手当、役職手当、通勤手当があります。 勿論、諸手当の導入は企業独自で決めるのであり、上記の手当で不必要なものはなくし、またこれ以外の手当を設ける場合もあるでしょう。 ここでは、家族手当、役職手当について取り上げます。家族手当の就業規則記載例は以下のとおりです。
| (家族手当) | |
|---|---|
| 第○条 | 家族手当は次の家族を扶養する従業員に支給する。この場合の扶養とは健康保険法上の被扶養者を意味する。
|
| 2 | 家族手当は、従業員が扶養家族をもった月の翌月から支給を開始し、扶養家族がいなくなった月まで支給する。 |
| 3 | 従業員は、扶養家族に変更があった場合は、遅滞なく会社に届け出なければならない。 |
金額は、企業独自で決めることですので空白にしました。平成17年版「中小企業の賃金事情」(東京都中小企業振興公社)では、配偶者で約11,000円、子供には、大体4,000~5,000円程度でしたので、この辺を参考にするとよいでしょう。また、最近は女性の社会進出により、夫婦共働きは当たり前のようになってきました。そのため、配偶者が妻の場合でも収入が高い方もいると思います。 こうした方に手当ては不要と思われますので、例えば「健康保険法上の被扶養者」は条文に入れておいた方がいいでしょう。
次に役職手当の就業規則記載例は以下のとおりです。
| (役職手当) | |
|---|---|
| 第○条 | 役職手当は、次の区分に基づき支給する。
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| 2 | 役職手当は、事由が発生した月の翌月から支給を開始し、役職に該当しなくなった月まで支給する。 |
| 3 | 役職手当は、一賃金計算期間中において3日以上欠勤した場合は、支給しない。 |
役職手当も家族手当同様、企業独自で決めるものです。平成17年版「中小企業 の賃金事情」(東京都中小企業振興公社)では、部長が約70,000円、課長が約 45,000円、係長が約20,000円です。ただ、同一役職でも支給額を異なるかたちにしていれば、この金額よりも平均支給額が上昇している傾向もあります。この辺を参考にすると良いでしょう。
完全月給と日給月給
まず、両者の違いですが、完全月給とは、賃金が月額で決まっており、休んでも遅刻しても減額されないものです。一方、日給月給とは、賃金が月額で決まることは同じですが、休んだり遅刻すれ ば、その分減額されるものです。 モデル賃金規程では、課長以上の役職者には完全月給、それ以外の従業員には日給月給としています。規定例は以下のとおりです。
| (職位別の賃金の支払形態) | |
|---|---|
| 第○条 | 従業員は職位に基づき、賃金の支払い形態を以下のとおりとする。
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この理由ですが、まず部長以上を時間外労働の適用除外の管理監督者とするために、賃金の支払い形態を明確に従業員と区別しています。
管理監督者の判断を示す通達の一部では、「管理監督者であるか否かの判定に当 たっては、賃金等の待遇面についても無視しえず、基本給、役付手当等においてその地位にふさわしい待遇がなされているか否か・・・」とあります。そういう意味で、賃金の支払い形態を明確に区分しておくことは、有効だと思います。 ただ、部長といっても部下がいなかったり、ルーチンワークのみで実態が管理監督者と異なる場合は、管理監督者として認められませんので、その点は注意が必要です。 また、完全月給は欠勤しても減額されないことが原則ですが、例外もあります。 例外としては以下の内容が考えられます。
| (完全月給者に対する賃金の減額) | |
|---|---|
| 第○条 | 完全月給者が、次の各号に該当した場合は、その期間中は賃金を日割で減額する。
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以上のように管理監督者とその他の従業員を完全月給と日給月給と区別し、役職手当の違いを行うことで、管理監督者性を高めることになりますので、労務管理上適切になると思われます。
昇給
まず、昇給についての基本的な考えですが、理想は毎年昇給することが従業員のためになりますが、企業の業績悪化等の不測の状態があれば、必ず昇給できるわけではありません。企業の体力に合わせて考えなければなりません。
また、場合によっては降給もありえます。成果主義型賃金を徹底させていけば、毎年の評価で基本給が減少するケースもあるでしょう。また、先ほどのように企業の業績が悪化すれば、降給しなくてはいけない状況も出てきます。
以上の点はあらかじめを賃金規程で明確にしておく必要があります。こうした規定がない状態で昇給停止や降給を行うと不利益変更という問題が発生するからです。 モデル賃金規程の記載例は以下のとおりです。参考にして下さい。
| (基本給の改定) | |
|---|---|
| 第○条 | 基本給の見直しは、毎年4月1日に行う。 |
| 2 | 会社の業績または従業員の勤務実績が良好である場合は、昇給を実施する。昇給は、 従業員の人事考課を考慮して個別に決定する。 |
| 3 | 会社の業績または従業員の勤務実績が良好でない場合は、賃金改定を実施しないこともある。また、降給することもある。降給は、従業員の人事考課を考慮して個別に決定する。 |
また、臨時の昇給という規定もあるといいと思います。会社への貢献度が著しく高い従業員には、それなりの処遇をすることが適切といえます。例えば、以下のような規定が考えられます。
| (臨時の昇給) | |
|---|---|
| 第○条 | 臨時の昇給は、次の各号に該当する者について行うことがある。
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賞与
まず、モデル賃金規程では以下の内容としています。
| (賞与の支給時期) | |
|---|---|
| 第○条 | 賞与は会社の業績及び従業員の勤務成績に応じて、次の支給対象期間中に欠勤日がない者について、毎年7月及び12月に支給する。
但し、会社がやむを得ない欠勤と認めた場合は、支給対象外としないことができる。 [支給月] [支給対象期間] 7月 : 前年○月○日~当年○月末日 12月 : 当年○月○日~当年○月末日 |
| 2 | 賞与の支給日は、毎年会社が定めるものとする。 |
| 3 | 支給対象者は、支給日現在、在職している者とする。 |
| 4 | 但し、会社の営業成績の低下その他やむを得ない事由が生じたときは、会社は、支給日の変更または賞与を支給しないことができる。 |
上記の規定のポイントは以下のとおりです。
賞与は従業員のモチベーションを高めることと生活面で大きな役割を有していますので、原則として支給します。しかし、第4項のように、会社の営業成績の低下等の特段の事情が生じた場合は、支給しなくてもよいようにします。
次に、支給対象者は、支給対象期間中の欠勤がなく、支給日現在在職している者としました。このため「賞与をもらえるはずなのにもらえない」というトラブルを防止することができます。 そして、賞与の支給額を決定する際は、賞与のポイント制が有効だと思います。賞与のポイント制とは、わかりやすくいえば、決められた賞与原資の総額を獲得ポイントに応じて配分していくことです。
例を示します。今回は賞与のポイント制を理解してもらうことを目的としていますので、評価ポイントの数字をおおざっぱに設定します。実際には、細かい分析をした上で、細かく設定することになります。
例:賞与支給総額:1億5000万円、賞与支給対象者250人、基本給は職能給のみ、賞与は職能資格等級別(計4等級)に成果に応じてポイントを以下のとおり付与して各人別に決定する。
職能等級別ポイント例(しつこいですけど、おおざっぱな数字です)
・4等級・・A評価:30P、B評価:25P、C評価:20P
・3等級・・A評価:25P、B評価:20P、C評価:15P
・2等級・・A評価:20P、B評価:15P、C評価:10P
・1等級・・A評価:15P、B評価:10P、C評価:5P
このとき、賞与支給対象者250人全員のポイント合計が5,000Pとなりました。 したがって、ポイント単価は30000円です(1億5000万円÷5000P)。 仮に、Aさんは、3等級でA評価だとします。そのときの獲得Pは、25Pになります。 このときのAさんの賞与は、25(獲得P)×30000円(ポイント単価)ですので、75万円となります。B評価の場合、60万円ということになります。
このように、評価に応じて賞与の支給額に差をつけることになります。したがって、成果主義にむいた制度といえます。 また、会社の賞与支給原資の枠内での配分になりますので、会社側のコスト面での追加負担はなく、導入しやすいともいえます。
したがって、賞与のポイント制はとても良い制度だと思います。似たような制度として退職金のポイント制もあります。 毎月支払う賃金については、成果主義導入は従業員の生活面の配慮、労働条件の不利益変更という面があるため難しいため、賞与で成果に応じた格差を設けると有効だと思います。
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モデル賃金規程 との併読で、より理解を深めていただけます。
