退職金
退職金のメリット
まず、退職金は、会社が必ず支給しなければならないものではありません。 退職金は、就業規則でも相対的記載事項とされており、「退職金という制度を設けるなら、就業規則にも記載しなさいよ」というもので、退職金制度を設けることを強制しているわけではありません。
しかし、退職金制度は必要だというのが、私の自論です。退職金というのは、以下のメリットがあります。
- 長期雇用につながる:
退職金制度は、勤続年数が長くなればなるほど高くなるよう設定しているのが通常です。最近ではあまりにも年功的な色彩が強いため、見直しが進んでいるものの、基本的には、長年会社に貢献した人の功労に対する報酬という性格のものだと思います。したがって、長期雇用へとつながっていきます。 - 従業員の安心感につながる:
年金は、徐々に支給開始年齢が引き上げられ、今後は65歳支給が原則になります。この65歳支給が永遠に続くとは思えませんし、徐々に支給開始年齢を引き上げそうな嫌な予感がします。
老後のライフプランは、収入・支出・貯蓄のバランスが重要です。しかし、収入の柱の一つである年金は不安がある。支出は医療等でかなり発生するおそれがある。入院でもしたら大変ですね。
そうなると頼りになるのは貯蓄。そこで重要な役割を果たすのが退職金ということになります。「まとまったお金が定年になって入ってくる」これは、とても大きいです。安心感につながります。
以上のような、メリットはとても大きいです。したがって、退職金制度は必要だと考えています。
退職金と従業員のモチベーション
退職金は、会社が必ず支給しなければならないものではありません。 つまり、支給することが明確な場合は就業規則に記載しなければなりませんが、支給の有無については企業側の任意です。
ただ、「退職金」を支給する企業が多いのが実態です。これは、長年会社に貢献してきた人への功労に報いる性格があるからでしょう。また、賃金の後払い的だとする考えもあります。
ここで重要なことがあります。 優秀な人材の確保・定着の観点からすると、退職金制度を導入している企業は、従業員にこのことを積極的にアピールしなければなりません。 よく考えてください。退職金は必ず企業が支払う必要はないにもかかわらず、従業員のためを思って会社が負担を約束した制度です。ですから、「会社は従業員を大切している」ということを従業員に伝えておくことが大事です。
例えば、引越しの例を考えて見ましょう。結構、引越しの際に業者に「お疲れ様。これで、終わったらお茶でもしてください」といって、数千円のお金を担当者に渡すこともあると思います。いわゆる、チップみたいなものです。
ここで、重要なのが、このお金をいつ渡すかということなのです。つまり、引越し作業をする前か後かということです。
私は、この場合は、引越し作業をする前がよいと思っています。実際そうしています。そうすれば、作業員は「いいお客さんだ」と思ってくれます。ですので、重い家具を運ぶときも、傷をつけないように慎重に運んでくれるし、私のときはレイアウトまでアドバイスをいただきました。
「このようなものは、危険ですのでエアコンの前に置かない方がいいと思います。」等々です。 これが、引越し作業が終わった後でしたら、まずお金がもらえるとは知らないわけですから、いわゆる普通のお客さんになってしまいます。いわゆる特別扱いにはならないわけです。そして、感謝して帰るだけです。勿論、この担当者とは、おそらくもう会うことはないと思います。
勿論、お金を渡すことで、必ず業者の態度が大きく変わるかということは言い切れませんが、どうせ渡すなら、最初に渡した方が効果は大きいといえるでしょう。 退職金も同じことがいえます。若い人たちのなかには、退職金を意識して勤務している人は意外に少ないと思います。自分が何年働いたら退職金がいくらもらえるか等意識していない人は多いと思います。 そして、いざ退職するときになって、初めてわかります。これだけ退職金がもらえるんだと。これは、引越しの場合ですと後でお金を支払うのと同じことになります。
それよりも、退職金制度は従業員のモチベーション向上策のひとつとして位置づければいいと思います。すなわち、「長年会社に尽くし、それなりの職務を与えられ、きちんと成果を出せば、会社はそのことについてきちんと退職金として評価してくれる。」と日々従業員が感じてくれることが重要です。それでこそ、わざわざ会社が負担する意味があるのです。
退職金のポイント制
まず、ポイント制退職金とは、在職中の企業への貢献度に応じて毎年ポイントを付与し、これを累積したものにポイント単価を乗じて退職金額を算定する制度です。
ちょっと例を出してみます。 仮に、「(勤続ポイント+資格ポイント)×ポイント単価」でポイント制退職金とし、以下の内容で設計したとします。
- 勤続P/勤続年数1年あたり15ポイント
- 資格P/在任1年あたり 係長10ポイント、課長20ポイント、部長30ポイント
- ポイント単価/10,000円
この前提で、勤続40年で、係長職に10年、課長職に5年、部長職に10年就いた一人の社員の退職金は、以下のように計算されます。
(40年×15P)+(係長10年×10P)+(課長5年×20P)+(部長10年×30P)
= 600 + 100 + 100 + 300 = 1,100P
→ 1100P × 10,000円 = 1,100万円
このポイント制退職金のメリットですが、以下の内容があげられます。
- 在職中の貢献度を退職金に反映させやすい。そのため成果主義重視の発想に馴染みやすい特徴がある。
- 個人毎に退職金がどの程度貯まっているのか一目瞭然である。また、退職金が増加する仕組みが分かりやすいため、社員のモチベーションの向上につながる。
逆に、次のようなデメリットもあります。
- 退職金の計算を行う上で、過去の人事情報(役職、勤続年数等)をすべて把握して管理することが必要であるため、管理が煩雑である。
- この制度は確定給付型(退職金の金額が確定)の制度であるため、会社が運用リスクを負うことになる。
ポイント制退職金の導入の際は、こうしたメリットとデメリットを考慮して行う必要があります。
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モデル退職金規程(ポイント制) との併読で、より理解を深めていただけます。
