介護施設の夜勤業務を紹介する密着動画で、夜間巡回や就寝前の服薬サポートを行う介護職員
介護施設の採用面談で夜勤動画を見せ、服薬サポートや夜間巡回の仕事内容を求職者に説明する職員
夜勤中の服薬サポートや夜間巡回の様子を動画で紹介し、求職者に介護現場の具体的なイメージを伝える採用シーン。

【概要】

ある社会福祉法人では、採用時に積極的に動画を活用しています。具体的には、次の内容が特徴的です。

1.就寝前の薬の服用のサポート、夜間帯の巡回の様子など、夜勤の現場について撮影します。この動画を求職者に見せて、具体的なシーンを伝えるようにしています。

2.24時間体制の介護では夜勤は不可欠ですが、未経験者にありのままを伝えることで、さまざまな現場を知ってもらい、採用にミスマッチを防いでいます。

【意見・感想・解説】

今回は、「夜勤の動画を事前に求職者に見せることで、ミスマッチを防ぐ」という取り組みを取り上げました。

確かに未経験者ですと、実際にどのような働き方をするのか不安です。そういう意味では、このように具体的な働き方を動画を通じて求職者に確認してもらうことは、とても意義があります。

なかには、動画を見て、「無理だ」とあきらめる人も出ると思います。ただ、採用後に無理だと思われるよりは、早めに採用辞退してもらった方が、採用後のトラブルを防げるメリットがあります。

このような動画の有効活用は、採用活動で非常に役立つと思います。とても参考になる事例です。

今回の事例を踏まえ、会社(社長)から社員へのメッセージおよび規程例を作成しました。ご参考ください。

会社から社員へのメッセージ例

社員の皆様へ

日々、利用者様の生活を支え、安心と安全を守るために力を尽くしてくださっている皆様に、心より感謝申し上げます。

介護の仕事は、目に見える業務だけで成り立っているものではありません。就寝前の服薬支援、夜間帯の巡回、利用者様への声かけ、緊急時への備えなど、一つひとつの行動の積み重ねが、利用者様とご家族の安心につながっています。特に夜勤業務は、少人数の中で責任ある判断が求められる場面も多く、皆様の誠実な対応に会社として深く敬意を表します。

今回、採用活動において業務内容を動画で伝える取り組みは、求職者に仕事の現実を正しく知っていただくためのものです。これは決して、現場の大変さを一方的に伝えるためではありません。むしろ、皆様が日々どれほど大切な役割を担い、どれほど真剣に利用者様と向き合っているかを、正しく伝えるための取り組みです。

採用時に仕事の内容をありのままに伝えることは、入職後のミスマッチを防ぎ、長く安心して働ける仲間を迎えることにつながります。そしてそれは、今いる社員の皆様の負担を少しでも減らし、職場全体をより安定させることにもつながると考えています。

会社は、社員の皆様を何より大切な存在だと考えています。新しい人材を採用することも重要ですが、それ以上に、今この職場を支えてくださっている皆様が安心して働き続けられる環境をつくることが、会社の大きな責任です。

そのためにも、採用活動では仕事の魅力だけでなく、責任や大変さも誠実に伝え、当社の考え方に共感し、長く共に歩んでくださる方を迎えていきたいと思います。現場を支える皆様の努力が正しく理解され、尊重される職場づくりを、これからも進めてまいります。

皆様一人ひとりの存在が、利用者様の安心を支え、会社の信頼を築いています。これからも無理を一人で抱え込まず、互いに支え合いながら、安心して働ける職場を一緒につくっていきましょう。

今後とも、皆様の声に耳を傾けながら、働きやすく、長く勤めたいと思える会社づくりに全力で取り組んでまいります。

代表取締役社長〇〇〇〇

採用動画活用制度規程例

(目的)
第1条 本規程は、当法人における採用活動において、業務内容を紹介する動画を活用することにより、求職者に対して職場や業務の実態を正しく伝え、採用後のミスマッチを防止することを目的とする。

(対象業務)
第2条 本規程に基づき動画で紹介する業務は、当法人が必要と認める業務とする。
2 前項の業務には、夜勤業務、就寝前の服薬支援、夜間帯の巡回、利用者への対応、職員間の引継ぎ、その他採用前に具体的な説明が必要と認められる業務を含むものとする。

(動画活用の基本方針)
第3条 採用動画は、求職者に対して業務内容を過度に美化し、または誤解を与えることなく、実際の業務内容を分かりやすく伝えることを基本方針とする。
2 採用動画は、応募を促す目的のみならず、求職者が自ら適性や勤務継続の可能性を判断するための資料として活用する。
3 採用動画の内容は、現場の実情に即したものとし、虚偽または著しく実態と異なる表現を行ってはならない。

(動画の撮影内容)
第4条 採用動画において撮影する内容は、採用担当部署および対象部署が協議のうえ決定する。
2 撮影内容には、次の事項を含めることができる。
1.夜勤開始時の準備および引継ぎの様子
2.就寝前の服薬支援の様子
3.夜間帯の巡回の様子
4.利用者への声かけおよび見守りの様子
5.緊急時または注意を要する場面における基本的な対応方法
6.その他、求職者に事前説明が必要と認められる業務

(個人情報およびプライバシーの保護)
第5条 採用動画の撮影および使用にあたっては、利用者、家族、職員その他関係者の個人情報およびプライバシーの保護を最優先とする。
2 利用者または職員の顔、氏名、居室、私物その他個人が特定される情報を撮影または公開する場合は、事前に本人または必要に応じて家族、後見人等の同意を得なければならない。
3 同意が得られない場合は、顔のぼかし、音声加工、後ろ姿での撮影、再現映像の利用等、個人が特定されない方法を講じるものとする。

(撮影時の手続き)
第6条 採用動画を撮影する場合、採用担当部署は、事前に撮影の目的、日時、場所、撮影内容、使用範囲、管理方法を明確にし、施設長または所属長の承認を得なければならない。
2 撮影に協力する職員に対しては、撮影の目的および使用方法を事前に説明し、同意を得るものとする。
3 利用者が関係する場面を撮影する場合は、業務の妨げとならないよう配慮し、利用者の尊厳を損なう撮影を行ってはならない。
4 撮影中に不適切な場面、個人情報、機密情報その他公開に適さない内容が含まれた場合は、当該部分を削除または編集しなければならない。

(動画の確認および承認)
第7条 作成した採用動画は、公開または求職者への提示前に、採用担当部署、対象部署の所属長および法人が指定する責任者が内容を確認するものとする。
2 確認にあたっては、次の事項を点検する。
1.業務内容が実態に即していること
2.求職者に誤解を与える表現がないこと
3.個人情報およびプライバシーへの配慮がなされていること
4.利用者の尊厳を損なう内容が含まれていないこと
5.法人の信用を損なう表現がないこと
3 前項の確認の結果、修正が必要と判断された場合は、採用担当部署が速やかに修正を行うものとする。

(求職者への提示方法)
第8条 採用動画は、会社説明会、施設見学、面接、採用ホームページ、求人媒体その他法人が適切と認める方法により求職者へ提示する。
2 夜勤業務その他勤務実態について特に理解が必要な職種については、可能な限り選考段階で採用動画を提示し、求職者が業務内容を理解したうえで応募または入職を判断できるよう努めるものとする。
3 採用担当者は、動画を提示した際、必要に応じて業務内容、勤務時間、休憩、緊急時対応、職員体制、教育体制等について補足説明を行うものとする。

(ミスマッチ防止のための説明)
第9条 採用担当者は、採用動画の内容について、求職者から質問があった場合には、誠実かつ正確に回答するものとする。
2 採用担当者は、求職者に対し、業務のやりがいだけでなく、夜勤、身体的負担、精神的負担、緊急対応の可能性等についても必要に応じて説明するものとする。
3 求職者が動画視聴後に応募辞退または選考辞退を申し出た場合であっても、これを不利益に取り扱ってはならない。

(動画データの管理)
第10条 採用動画のデータは、採用担当部署が適切に管理するものとする。
2 採用動画の保存場所、閲覧権限、使用範囲および保存期間は、法人が別途定める方法により管理する。
3 採用動画を外部の求人媒体、動画配信サービス、SNS等で使用する場合は、事前に法人が指定する責任者の承認を得なければならない。
4 使用目的を終了した動画、内容が現状と異なる動画、同意の撤回があった動画については、速やかに使用を停止し、必要に応じて削除または差替えを行うものとする。

(職員の協力)
第11条 職員は、採用動画の撮影または説明に協力を求められた場合、業務に支障のない範囲で協力するよう努めるものとする。
2 職員が撮影への参加を希望しない場合、法人はその意思を尊重し、これを理由として不利益な取扱いを行わない。
3 職員は、法人の許可なく採用動画を複製、転載、外部共有または私的利用してはならない。

(内容の見直し)
第12条 採用担当部署は、業務内容、勤務体制、法令、施設運営方針等に変更があった場合、採用動画の内容を見直すものとする。
2 採用動画の内容が現状と異なることが判明した場合は、速やかに修正、差替えまたは使用停止を行うものとする。
3 採用担当部署は、求職者および採用後の職員からの意見を参考にし、採用動画の改善に努めるものとする。

(所管部署)
第13条 本規程に関する所管部署は、採用担当部署とする。
2 採用担当部署は、対象部署、施設長、所属長その他関係者と連携し、本規程に基づく採用動画の適正な運用を行うものとする。

(附則)
第14条 本規程は、令和◯年◯月◯日より施行する。

顧問契約サービスのご案内

採用活動において、業務内容を動画で具体的に伝えることは、入職後のミスマッチを防ぎ、優秀な人材の確保及び定着につながる重要な取り組みです。一方で、動画撮影時の個人情報・プライバシー保護、同意取得、求人内容との整合性、職員への説明など、慎重に対応すべき労務上のポイントも少なくありません。

顧問契約では、こうした採用・定着に関する施策について、実務に即した助言を行うとともに、就業規則や社内規程、同意書、説明文書等の整備を通じて、トラブルの予防及び事後に適切かつ迅速な対応ができる体制づくりを支援します。

人材不足が続く中で、会社の考え方や現場の実態を誠実に伝え、長く働いてもらえる人材を迎えるためには、採用活動と労務管理を一体的に整えることが大切です。顧問契約を通じて、貴社の状況に応じた継続的なサポートを行います。

顧問契約の内容

  • 定期対面による、親身な対応
    貴社の人事労務の課題を深く理解し、現場目線で実践的な提案を行います。
  • ご相談に対する、迅速な回答
    メール・電話・オンラインなど最適な手段でスピーディーに対応します。
  • 就業規則の作成・改定
    最新法令を踏まえた規程整備でリスクを軽減します。
  • 書式や最新情報のご提供
    実務でそのまま使えるフォーマットと最新トレンドを随時共有します。

代表社員 坂本直紀の紹介

坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員

坂本直紀の詳しいプロフィールはこちら

坂本直紀の研修・セミナー実績はこちら

坂本直紀の書籍執筆実績はこちら

坂本直紀の雑誌執筆実績はこちら

坂本直紀のメディア取材実績はこちら