
【概要】
福岡のある明太子の製造・販売会社では、「地域役員手当制度」を導入しています。具体的には、次の内容が特徴的です。
1.地域活動への参加支援として、PTA や町内会の役員、スポーツ教室の監督等を務めている社員に対して、「地域役員手当」を支給しています。
2.「社外での経験をとおして、リーダーシップを磨いてほしい」との思いから導入されました。
3.金額の上限は、5,000円です。役割によって支給額が変わります。
【意見・感想・解説】
今回は、地域役員手当制度を取り上げました。地域社会への貢献を意識した制度です。
こうした地域のために尽力する会社の姿勢は、社員一人ひとりも強く感じることがあると思います。地方の会社ならではの取り組みですね。
以前、私は広島の府中市に転勤したことがあるので実感しているのですが、地方は地域密着は強いものがあります。
したがって、こうした会社の地域貢献を好意的に感じる地元の方が多いと思います。
活動の結果、企業イメージが向上し、さまざまな効果につながると思われます。とても参考になる事例です。
今回の事例を踏まえ、会社(社長)から社員へのメッセージおよび規程例を作成しました。ご参考ください。
会社から社員へのメッセージ例
社員の皆様へ
いつもそれぞれの持ち場で力を尽くしていただき、心より感謝申し上げます。
会社は、日々の仕事に真摯に向き合う皆様の努力はもちろんのこと、地域の中で誰かのために時間を使い、責任ある役割を担ってくださっている姿も、とても大切な価値だと考えています。
PTA活動、町内会活動、地域のスポーツ教室や子どもたちを支える取り組みなどは、決して簡単なことではありません。仕事と家庭の両立に加え、地域での役割まで引き受けることは、大きな負担も伴うものです。それでも地域のために一歩踏み出してくださる皆様の存在は、会社にとって大きな誇りです。
そうした思いから、当社では地域で活躍する社員の皆様を応援するため、「地域役員手当制度」を設けています。この制度には、単に手当を支給するという意味だけではなく、会社は社員一人ひとりの生き方や挑戦を大切に思っている、という私たちの意思を込めています。
地域での経験は、思いやり、調整力、責任感、リーダーシップなど、多くの力を育ててくれます。そしてその力は、必ず職場の仲間との協力や、お客様へのより良い対応にもつながっていきます。会社は、社員の成長を職場の中だけでなく、人生全体の広がりの中で支えていきたいと考えています。
皆様が安心して長く働き続けられる会社であるためには、仕事だけを評価するのではなく、その人自身の歩みや、家庭・地域を含めた日々の頑張りにも目を向けることが大切です。会社はこれからも、社員の皆様をかけがえのない存在として大切にし、一人ひとりが誇りと安心を持って働ける環境づくりに努めてまいります。
地域を支える皆様の活動に、心から敬意を表します。そして、これからも皆様がこの会社で力を発揮し、いきいきと活躍し続けてくださることを願っています。会社は、これからも皆様とともに歩み、皆様を大切にし続けます。
代表取締役社長〇〇〇〇
地域役員手当制度規程例
(目的)
第1条 本規程は、社員が地域社会においてPTA、町内会その他の地域活動に積極的に参画し、役員等の立場で貢献することを支援するとともに、当該活動を通じて培われるリーダーシップ、協調性及び責任感を社内における成長にもつなげることを目的として、地域役員手当の取扱いについて定めるものとする。
(適用対象者)
第2条 本規程は、会社に在籍する社員のうち、地域活動において役員、代表者、世話役、監督その他これらに準ずる立場を務める者に適用する。
2.前項の地域活動には、次の各号に掲げるものを含む。
1.PTA活動
2.町内会又は自治会活動
3.地域のスポーツ教室、少年団その他地域団体の運営活動
4.前各号に準ずる活動で、会社が適当と認めたもの
(手当の趣旨)
第3条 地域役員手当は、社員の地域社会への貢献を評価し、その活動を奨励するために支給するものであり、地域における経験を通じて社員がリーダーシップ等を養うことを期待して支給する。
(支給要件)
第4条 地域役員手当は、社員が現に地域活動において一定の役割を担い、継続的に活動している場合に支給する。
2.前項の支給を受けようとする社員は、会社に対し、活動内容、役職名、活動期間その他必要事項を申告しなければならない。
3.会社は、必要に応じて、役員就任通知、委嘱状、団体の案内文書その他活動実態を確認できる資料の提出を求めることができる。
(支給額)
第5条 地域役員手当の支給額は、社員が担う役割、責任の程度、活動の継続性その他の事情を総合的に勘案して決定する。
2.地域役員手当の支給額は、月額5,000円を上限とする。
3.具体的な支給額区分は、次の各号を目安として会社が個別に決定する。
1.地域団体の代表者、会長その他これに準ずる職責を担う場合
2.副会長、役員、幹事、委員その他運営上重要な役割を担う場合
3.監督、世話役、取りまとめ担当その他前二号に準ずる役割を担う場合
(支給期間)
第6条 地域役員手当は、会社が支給対象として認定した期間について支給する。
2.活動への就任、退任、変更又は終了があった場合は、その事実に応じて支給開始、減額又は支給終了を行うものとする。
(社内手続き)
第7条 地域役員手当の支給を希望する社員は、所定の申請書に必要事項を記入のうえ、所属長を経由して会社に申請しなければならない。
2.所属長は、申請内容を確認のうえ、活動の実態、業務への影響その他必要事項について意見を付して会社に提出するものとする。
3.会社は、申請内容を審査し、支給の可否及び支給額を決定し、本人に通知する。
4.支給対象者は、活動内容、役職又は活動状況に変更が生じた場合には、速やかに会社へ届け出なければならない。
5.会社は、必要に応じて支給内容を見直し、又は更新手続きを求めることができる。
(不支給及び返還)
第8条 次の各号のいずれかに該当する場合は、地域役員手当を支給せず、又は既に支給した手当の全部若しくは一部の返還を求めることがある。
1.申請内容に虚偽又は重大な誤りがあった場合
2.実際には活動していないことが判明した場合
3.地域役員としての立場を失ったにもかかわらず届出を行わなかった場合
4.その他会社が不適当と認めた場合
(補則)
第9条 本規程に定めのない事項については、会社が個別に判断する。
2.本規程の運用に関し必要な事項は、会社が別に定めることができる。
(附則)
第10条 本規程は、令和◯年◯月◯日より施行する。
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地域活動を支援する制度づくりは、社員を大切にする会社の姿勢を社内外に伝える有効な取組みです。一方で、このような制度を導入・運用する際には、対象範囲や支給要件、申請手続き、支給額の考え方などを明確にしておかなければ、社内での不公平感や運用上の混乱を招くおそれがあります。
また、制度設計が不十分なまま運用を始めてしまうと、想定外のトラブルが起こった際に適切な対応が難しくなることもあります。だからこそ、あらかじめ実務に即したルールを整え、トラブルの予防を図るとともに、問題が生じた場合にも事後に適切かつ迅速な対応ができる体制を整えておくことが重要です。
さらに、社員の地域での活躍や人としての成長を支える会社の姿勢は、働く安心感や会社への信頼感につながります。こうした積み重ねは、優秀な人材の確保及び定着の面でも大きな意味を持ちます。給与や労働条件だけではない「この会社で長く働きたい」と思える環境づくりこそが、これからの人材戦略においてますます重要になります。
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代表社員 坂本直紀の紹介
坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員
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