
【概要】
家具小売り大手の会社では、従業員の制服への着替え時間につき、賃金を支払っていませんでした。具体的には、次の内容が特徴的です。
1.勤務時はまず、シャツ、パンツ、靴を会社指定のものに着替えたのちに、「シフト時間の9分前からタイムカードを打刻できる」と指導されていたようです。
2.この会社では早速、新しいルールで、着替え時間を一律5分とし、出勤時、退勤時の計10分間を1日の労働時間に含めるようにしました。
3.これらは賃金に反映され、2023年9月から適用するとのことです。
【意見・感想・解説】
今回は、制服の着替えに要する時間が、労働時間に該当するか否かをめぐる問題を取り上げました。
まず、厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」には、次のような記載があります。
「労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる。
そのため、次のアからウのような時間は、労働時間として扱わなければならないこと。
~~~~~~~~~~
ア 使用者の指示により、就業を命じられた業務に必要な準備行為(着用を義務付けられた所定の服装への着替え等)や業務終了後の業務に関連した後始末(清掃等)を事業場内において行った時間
イ (略)
ウ (略)
~~~~~~~~~~
以上から、基本的には、今回のような制服一式(シャツ、パンツ、靴)を会社指定のものに着替える時間は、「就業を命じられた業務に必要な準備行為」に該当し、事業場内での準備行為は、労働時間とみなされることになります。
こうしたこともあり、今後は、着替えの時間を5分と定め、計10分間を労働時間としてカウントすることになりました。適切な対応だと考えます。
おそらく、タイムカードを打刻してから、5分以内で着替えて業務を開始するという運用になると思われます。ただ、冬で厚着をしていたり、仮に更衣室が狭くて混んでいると、5分だと意外と着替えは大変かもしれません。
運用状況によっては今後、改善が必要になるかもしれませんね。
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坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員
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