
【概要】
厚生労働省の「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会(第9回)」において、事務局がカスタマーハラスメント事例集を公開しました。具体的には、次の内容が記載されています。あまりにも強烈でしたので、2回に分けて業種別にご紹介します。
—– 情報通信業 —–
顧客がサポートデスクに、次のような言動を行いました。
・「可愛らしいね、ずっと話していたいよ~」「癒やされるね」「下の名前も教えて」などと、セクハラにあたる言葉をかけた。
・「徹夜で明日までに、バグを開発チームと直せ」「2000万円払え!」といった過剰な要求を行った。
・「頭悪いうえに性格悪い!」といった人格否定にあたる発言を行った。
・「殺すぞ」「家に火をつけるぞ」と脅迫にあたる発言を行った。
・「死ね」「馬鹿野郎」といった暴言を吐いた。
—– 運輸業、郵便業 —–
・運転見合わせ時に、お詫び放送を繰り返していたところ、旅客から「いつ発車するのか放送しろ」としつこく詰問を受けた。運転再開見込みがわからない旨を伝えたが、旅客は納得せず、スマホで車掌の対応を無断で動画撮影した。
・コールセンターに同一人物から短時間に繰り返し入電があった。内容は「殺すぞ」「センターに行く」などの不穏な暴言のほか、無言・無応答の入電も100 回以上あった(その後、殺人予告等により同人物は逮捕された)。
・ 旅客から「(電車が遅延したため)接続路線の最終電車に間に合わなかった。目的地までの一部区間はタクシーを利用した。その分を負担せよ。インターネットで流すぞ。社長もよく知っているぞ。」という苦情があった。社員は「タクシー代は負担できない」旨を繰り返し回答したが、納得しなかった。後日、当該旅客が同趣旨の要求を記載した書面を送付してきた。
・駅員がホームを巡回していたところ、点字ブロックの内側で撮影している旅客を発見した。危険であったため、下がるように注意喚起したが、そのまま続けたため再度注意喚起を行ったところ、「うるさい」「邪魔、どけ」と言いながら肘のあたりで突き飛ばされた。駅員は警察へ通報し、当該旅客と事情聴取を受けた後、被害届を提出した。
・駅員Aは、降車後ホームに居座ろうとした旅客を改札口へ向かうよう促していた。当該旅客は突然走り出し、ホームで泥酔者対応を行っていた駅員Bの左足甲部を背後から踏みつけたため、駅員Bは負傷した。さらに、駅員Aも背後から所持していた傘で臀部を突かれ負傷した。
・ 駅近隣のマンション居住者よりお客さまセンターに入電があり、「駅改修を行ったことで、以前にはなかった駅前スペースができ、ベンチが設置され、深夜まで喫煙や飲酒する者が増え、煙草の臭いや騒いでいる人がいるため迷惑している。」「駅前のスーパーのトラックが路上駐車をするようになった。」「改修工事を行うにあたり、このようなことを想定していなかったのが責任。早急に対策をしろ。」と、長時間にわたり何度も要求を繰り返し、時には暴言を吐いた。
—– 卸売業、小売業 —–
・顧客がプリペイドカードを購入後、返金を申し出たが、従業員が店舗で返金できない商品である旨を説明したところ、「店長を出せ」「店長権限で返金しろ」など同じ内容で長時間(2時間30分)詰問した。翌日も店舗で同様のやりとりがあった後、当該企業の本社代表電話への架電、及び同社本社へも来訪し、クレームを述べた。
・顧客が「20年前に購入した商品が動かなくなった」と、無償での修理を要求してきた。2日間、当該企業及び商品の輸入元へ執拗に架電し、長時間に渡り、「購入時にきちんとメンテナンスの説明を聞いていない」、「メンテナンスの注意書きを貰っていないため、説明に落ち度がある」等と主張を続け、無償での修理を要求した。
・顧客が商品の洗浄について、洗浄、ふき取り、乾燥を含めた工程が2時間かかることに激怒。「なぜ2時間もかかるのか説明しろ」等と、従業員を怒鳴り散らした。さらに2時間後、洗浄済みの商品を引き取りに来た際、「この商品は自分のものではなく、自分のものはもっと高額なものだ」「弁償しろ」等、終始支離滅裂な主張を繰り返した。
・顧客が従業員の手を触り、顔を近づけるなどした上で、繰り返し従業員の連絡先を聞いてきた。また、従業員が顧客に電話する際には、店舗からではなく従業員の携帯電話からかけるように強要した。
・顧客が揚げ足取りからの謝罪要求をしてきた。顧客の物品要求に対して従業員が対応出来ない旨を伝えると、土下座して謝らないと許さないと発言。従業員はそれを受け謝罪した。
・顧客がレジの接客態度が悪いことを理由に従業員を呼びつけ、従業員が到着すると胸ぐらを掴み15mほど引きずった上で、「俺は人を殺した事がある」などと発言し、暴力を振るった。従業員は警察を呼び対応した。
・顧客が購入した商品(時計)が不良品だったため修理受付を行ったが、顧客が納得しなかったため従業員は店舗で謝罪した。さらに、顧客が翌日自宅まで来て謝罪することを要求し、従業員は4日間深夜まで謝罪させられた。顧客はその間「誠意を見せろ!」の一点張りだった。対応した従業員はその後しばらくトラウマを抱え、売場に出ることに恐怖を感じた。
【意見・感想・解説】
今回は、カスハラ事例集(前編)を取り上げました。
一言でいえば「かなりやばい」といえます。
このようなカスハラについての対策は、録音、録画で証拠をおさえて警察に連絡することが原則です。
カスハラ客に対しては、「お客様は神様だ」と思ってはなりません。思い切って「害虫」と思い、毅然とした対応をしましょう。
一方で、ちょっとしたクレームから、カスハラに変わることもあります。したがって、まずはクレームを発生させないことが、カスハラの予防策にもなります。
今回は強烈な事例を紹介しましたが、こうしたカスハラ客はあくまでも、一部です。多くの客は、善良な人たちや、特に他意のない人たちです。
ですので、日頃から、自社が善良なお客から選ばれる存在になるために、丁寧に接することも大事です。
このようにバランスをとって対応することが重要です。
ハラスメント対策研修のご案内
今回ご紹介したカスタマーハラスメント(カスハラ)の事例は、もはや「ハラスメント」の域を超え、脅迫・暴行・ストーカー・セクハラ・人格攻撃など、刑事事件に発展しかねない深刻な内容ばかりです。
にもかかわらず、多くの現場では「顧客優先」の考え方が根強く、従業員が泣き寝入りする状況が後を絶ちません。
坂本直紀によるハラスメント対策研修では、「カスハラと正当なクレームの違い」「記録と証拠保全のポイント」「通報・警察対応の判断基準」「従業員を守る社内体制づくり」を、わかりやすく解説します。
「毅然とした対応」と「丁寧な接客」、その両立が今、企業に求められています。
貴社の現場力を高め、従業員を守るために、ぜひご活用ください。
ハラスメント対策研修例(管理職向け)
(1)ハラスメントによるリスク
(2)セクシュアルハラスメントとは
(3)パワーハラスメントとは
(4)妊娠、出産、育児休業等のハラスメントとは
(5)カスタマーハラスメントとは
(6)ハラスメントと労災
(7)ハラスメントをしないために
(8)怒りの感情コントロール
(9)適切な指導
(10)相談対応上の留意点
(11)ハラスメントを受けた場合
(12)ハラスメント防止規程解説
(13)職場内コミュニケーション
(14)グループワーク
(15)まとめ
一緒にハラスメントのない職場づくりを目指しましょう。
研修講師:坂本直紀の紹介
坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員
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