
【概要】
あるIT企業では、リゾートワーク制度を導入しています。具体的には、次の内容が特徴的です。
1.年1回の社内エントリーを経て、合格した人が参加できる研修制度です。
2.場所は会社が提携している場所から選択します。
3.滞在期間中1日は、研修プログラムへの参加に充てることとし、その他の日は、テレワーク、有給消化いずれも可能です。必ず滞在中に現地の学校でオリジナルの授業を行うことになります。そして、その内容を会社のブログで公開します。
4.社員だけでなく、同行する家族の分も手当を支給します。
【意見・感想・解説】
今回は、リゾートワーク制度を取り上げました。研修制度とはいえ、家族同行も可能ですので、福利厚生制度も兼ねている感じですね。
それにしても、現地の学校で授業を行うというのが興味深いです。
ある社員は、佐渡島で、リフレーミング(視点を変えて捉え直すこと)の授業を高校生に行ったとのことです。
このように学生に対して、授業を行うことは専門用語はなるべく使用せず、わかりやすく説明することが大事です。そして、理解し、関心をもってもらうため、どのようにすればよいか創意工夫することにもなりますね。
かなり、鍛えられます。研修効果が期待できます。
また、終了後は、じっくり観光もできますので、良いリフレッシュにもなります。教育訓練とリフレッシュがセットになっている取り組みは面白いです。とても参考になる事例です。
今回の事例を踏まえ、会社(社長)から社員へのメッセージおよび規程例を作成しました。ご参考ください。
会社から社員へのメッセージ例
社員の皆様へ
当社は、社員一人ひとりの挑戦と成長を、何よりも大切にしています。日々の業務に真摯に向き合い、会社を支えてくださっている皆様の存在こそが、当社の力の源です。
このたび当社では、社員の皆様に新たな学びと気づき、そして心身のリフレッシュの機会を提供するため、リゾートワーク制度を導入します。本制度は、提携先のリゾート地で研修に参加しながら、テレワークや休暇を組み合わせて過ごすことができる制度です。さらに、ご家族の同行も可能とし、社員本人だけでなく、日頃から支えてくださっているご家族にも配慮した内容としています。
現地では、学校でオリジナルの授業を行い、その内容を社内外に発信していただきます。自分の知識や経験を、相手にわかりやすく伝えることは、皆様自身の成長にもつながります。また、普段とは異なる環境に身を置くことで、新しい視点や発想が生まれ、今後の仕事にも必ず良い影響をもたらしてくれるものと期待しています。
会社は、社員の皆様が安心して長く働き続けられる職場づくりを大切にしています。働くことと学ぶこと、そして人生を豊かにすることを両立できる環境を整えていくことは、会社の大切な役割であると考えています。これからも、社員の皆様とそのご家族を大切にしながら、魅力ある職場づくりを進めてまいります。
ぜひ本制度の趣旨をご理解いただき、積極的に活用してください。皆様が当社でいきいきと働き、成長し、安心して未来を築いていけるよう、会社としてこれからもしっかり支えてまいります。
代表取締役社長〇〇〇〇
リゾートワーク制度規程例
(目的)
第1条 本規程は、社員に対し、リゾート地における研修、テレワークおよび休暇の機会を提供することにより、能力開発、業務効率の向上、心身のリフレッシュならびに福利厚生の充実を図ることを目的とする。
(適用対象者)
第2条 本規程は、会社に在籍する社員のうち、会社が別に定める応募条件を満たし、社内エントリーを経て参加を認められた者に適用する。
(制度の内容)
第3条 本制度は、会社が提携するリゾート地に滞在し、所定の研修、テレワーク、休暇その他会社が認める活動を行う制度とする。
2.本制度は、年1回実施するものとする。
3.参加者は、会社の定める期間および条件に従い、本制度を利用しなければならない。
(参加の申請および選考)
第4条 本制度の利用を希望する社員は、会社が指定する期間内に、所定の申請書その他必要書類を提出し、社内エントリーを行わなければならない。
2.会社は、申請内容、本人の業務状況、制度利用の目的、研修効果その他必要な事項を総合的に審査し、参加者を選考する。
3.選考結果は、会社が申請者に通知する。
(利用場所)
第5条 本制度において利用できる場所は、会社が提携する施設または地域の中から、会社が認めた場所とする。
2.参加者は、会社の承認を受けた場所以外で本制度を利用してはならない。
(滞在中の活動)
第6条 参加者は、滞在期間中、少なくとも1日を会社の指定する研修プログラムへの参加に充てなければならない。
2.前項以外の滞在日については、会社の承認を得たうえで、テレワークまたは年次有給休暇の取得により過ごすことができる。
3.参加者は、滞在期間中、現地の学校において会社が認めるオリジナルの授業を実施しなければならない。
4.前項の授業内容については、参加者は会社の指示に従い、会社のブログその他会社が指定する媒体において公開するものとする。
(勤務の取扱い)
第7条 滞在期間中にテレワークを行う日は、通常の勤務日として取り扱う。
2.年次有給休暇を取得する日は、就業規則その他関連規程の定めに従う。
3.研修プログラム参加日および会社が業務として認めた授業実施日は、勤務したものとして取り扱う。
(同行家族)
第8条 参加者は、会社が認める範囲において、家族を同行させることができる。
2.同行を認める家族の範囲、人数その他必要事項は、会社が別に定める。
3.同行家族は、本制度の運営を妨げてはならず、参加者は同行家族の行動について必要な配慮を行うものとする。
(手当の支給)
第9条 会社は、参加者に対し、会社が別に定める基準により手当を支給する。
2.前項の手当には、参加者本人分のほか、会社が認めた同行家族分を含めることができる。
3.手当の支給額、支給方法および支給時期は、会社が別に定める。
(費用負担)
第10条 本制度に関し会社が負担する費用の範囲は、会社が別に定める。
2.会社が負担しない費用については、参加者が負担するものとする。
3.参加者が自己都合により参加を中止し、または会社の指示に反して費用を発生させた場合は、会社はその全部または一部を参加者に負担させることがある。
(服務および遵守事項)
第11条 参加者は、滞在先においても、就業規則、情報セキュリティ規程その他会社の諸規程を遵守しなければならない。
2.参加者は、会社の信用を害し、または提携先、現地学校その他関係者に迷惑を及ぼす行為をしてはならない。
3.参加者は、授業実施、ブログ掲載その他本制度に関連して取得した個人情報、機密情報等を適切に取り扱わなければならない。
(実施報告)
第12条 参加者は、制度利用終了後、会社が指定する期限までに、所定の報告書その他必要書類を提出しなければならない。
2.会社は、参加者に対し、制度利用の成果、授業内容、業務実施状況その他必要事項について報告を求めることができる。
(社内手続き)
第13条 本制度の利用にあたっては、参加希望者は所定の申請書、研修計画書、同行家族に関する届出書その他会社が必要とする書類を提出し、所属長の確認を受けたうえで、会社の承認を得なければならない。
2.テレワークを行う場合は、あらかじめ業務内容、連絡方法および勤務状況の報告方法を会社へ届け出なければならない。
3.年次有給休暇を取得する場合は、所定の手続きにより事前申請を行わなければならない。
4.同行家族分の手当支給を受けようとする場合は、対象者、人数その他必要事項を事前に申請し、会社の確認を受けなければならない。
5.制度利用終了後は、参加者は報告書、精算書類その他会社が求める書類を速やかに提出しなければならない。
(制度利用の取消し等)
第14条 会社は、参加者が本規程に違反した場合、業務上の必要が生じた場合その他制度運営上やむを得ない事由がある場合には、参加承認を取消し、または制度利用の中止を命ずることができる。
2.前項の場合において、会社は必要に応じて手当の不支給、返還請求その他必要な措置を講ずることができる。
(主管部門)
第15条 本制度の主管部門は、会社が指定する部門とし、制度運営、申請受付、選考事務、報告管理その他必要な業務を行う。
(附則)
第16条 本規程は、令和◯年◯月◯日より施行する。
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このように、社員の成長機会や福利厚生を兼ねた新しい制度づくりは、企業の魅力向上につながる一方で、運用ルールが曖昧なままでは思わぬトラブルを招くことがあります。たとえば、対象者の選考基準、研修日と労働時間の整理、テレワーク時の勤怠管理、家族同行時の費用負担や安全配慮、情報管理などは、事前に明確にしておくことが重要です。制度設計の段階から専門家が関与することで、トラブルの予防につながり、問題が生じた場合にも適切かつ迅速に対応しやすくなります。
また、こうした制度は、社員にとって「この会社で長く働きたい」と感じる大きなきっかけにもなります。採用が難しい時代においては、給与や待遇だけでなく、成長支援や働きやすさ、家族への配慮といった観点を含めた職場環境づくりが、優秀な人材の確保及び定着に直結します。制度を導入して終わりではなく、自社に合った形で継続的に運用し、安心して活用できる仕組みにしていくことが大切です。
顧問契約では、こうした新しい人事制度や福利厚生制度の導入支援はもちろん、就業規則・関連規程の整備、実務運用上の助言、社員への周知方法まで、企業の実情に応じて継続的にサポートしています。制度を安心して運用し、企業価値の向上につなげていきたいとお考えの際は、ぜひご相談ください。
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代表社員 坂本直紀の紹介
坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員
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