出戻り手形
実家の家業を継ぐため退職する社員に、リフォーム会社が出戻り手形を発行する漫画イラスト。2年以内なら同じ役職・条件で復職可能。
退職後2年以内なら同じ役職・条件で戻れる「出戻り手形」を発行し、家業を継ぐ社員の再雇用を支援する制度。

【概要】

あるリフォーム会社では、退職する社員に「出戻り手形」を発行しています。具体的には、次の内容が特徴的です。

1.退職後2年以内であれば、同じ役職・条件で同社に再就職が可能なことを示しています。

2.手形の有効期限を過ぎて再就職する場合は、新人と同じ扱いになります。

3.家業を継ぐために退職するスタッフが相次いだため、創設されました。

【意見・感想・解説】

今回は、「出戻り手形制度」を取り上げました。いわゆるカムバック制度ですね。

退職した理由が、「夫の転勤についていく」「育児や介護のため」という場合、事情が解消後、本人希望に基づき再就職を認めることはとても有効です。

なぜならば、社内での経験を有しているため、入社後の教育も最小限ですみますし、社内のメンバーとも気心が知れているからです。

また、退職後戻ってくるわけですから、気合いも入っているでしょう。会社への貢献意欲も期待できます。

そして、今回のように手形を発行することで、いわゆる会社がお墨付きを与えているわけですから、戻りやすくなります。とても参考になる事例です。

今回の事例を踏まえ、会社(社長)から社員へのメッセージおよび規程例を作成しました。ご参考ください。

会社から社員へのメッセージ例

社員の皆様へ

いつも日々の業務に真摯に向き合い、会社を支えてくださっていることに、心より感謝申し上げます。

会社にとって、社員の皆様一人ひとりは、かけがえのない大切な存在です。仕事の成果だけではなく、これまで積み重ねてこられた経験、仲間との信頼関係、職場に安心感をもたらしてくださるその存在そのものが、当社にとって大きな財産です。

人生には、さまざまな転機があります。配偶者の転勤、育児、介護、家業の事情など、自分の意思だけでは決めきれない事情により、やむを得ず退職を選ばなければならないこともあるでしょう。そうしたとき、会社を離れるという決断は、皆様にとっても大きな不安や葛藤を伴うものだと思います。

しかし当社は、退職が「縁の終わり」だとは考えていません。たとえ一度会社を離れることがあっても、事情が落ち着き、「もう一度この会社で働きたい」と思っていただけたときには、安心して戻ってきていただける職場でありたいと考えています。

その思いを形にしたものが、出戻り手形制度です。この制度は、会社が社員の皆様を大切に思い、これまでの貢献に敬意を持っているからこそ設けたものです。会社を離れることになっても、皆様が築いてこられた価値はなくなりません。当社は、その歩みをしっかりと受け止め、再び力を貸していただける日を心から歓迎します。

一度当社で働いた経験のある皆様が戻ってきてくださることは、会社にとっても大きな力です。仕事への理解があり、仲間との関係も築かれている皆様の存在は、職場にとって非常に心強いものです。そして何より、「戻ってきたい」と思っていただける会社であること自体が、私たちにとって大きな誇りです。

会社は、社員の皆様が長く安心して働ける環境づくりを、これからも大切にしてまいります。今この場で働いてくださっている皆様にも、やむを得ない事情で一度離れることになった皆様にも、「この会社は自分を大切にしてくれる」と感じていただけるよう、制度と職場風土の両面から支えていきます。

皆様とのご縁を一時的なものではなく、長く続く大切なつながりとして守っていくこと。それが会社の願いであり、社員の皆様の定着と安心につながるものと信じています。

これからも、社員の皆様一人ひとりを大切にする会社であり続けます。どうぞ安心して、それぞれの人生と仕事に向き合ってください。

代表取締役社長〇〇〇〇

出戻り手形制度規程例

(目的)
第1条 本規程は、退職した社員に対し、一定期間内における再就職の機会を付与する出戻り手形制度について必要な事項を定め、もって人材の有効活用および雇用の安定を図ることを目的とする。

(適用対象者)
第2条 本規程は、当社に正社員として勤務した者であって、次の各号のいずれかの事情により退職した者に適用する。
1.配偶者の転勤その他家庭の事情による場合
2.育児または介護のために退職する場合
3.家業の承継または家業従事のために退職する場合
4.その他会社が特に認めた場合

(制度の内容)
第3条 会社は、前条に定める対象者のうち、退職時の勤務成績、勤務態度その他を総合的に勘案し適当と認めた者に対し、出戻り手形を発行する。
2 出戻り手形の交付を受けた者は、退職後2年以内に再就職を希望するときは、原則として退職時と同一の役職および労働条件により再雇用されるものとする。
3 前項の定めにかかわらず、賃金体系、組織体制その他会社の事情により退職時と完全に同一の条件での再雇用が困難な場合は、本人と協議のうえ決定する。

(有効期間)
第4条 出戻り手形の有効期間は、退職日の翌日から起算して2年間とする。
2 有効期間を経過した後に再就職する場合は、新規採用者に準じて取り扱うものとし、役職、賃金その他の労働条件は新たに決定する。

(交付基準)
第5条 出戻り手形の交付基準は、次の各号のとおりとする。
1.退職時に懲戒処分中でないこと
2.退職時までの勤務成績および勤務態度が良好であること
3.所属長が制度利用に相当であると認めること
4.その他会社が制度の趣旨に照らし適当と認めること

(再就職の申出)
第6条 出戻り手形の交付を受けた者が再就職を希望するときは、有効期間内に会社へ申し出なければならない。
2 再就職の申出は、所定の再就職申請書を提出する方法により行うものとする。
3 会社は、申出を受けたときは、本人の希望時期、従事可能業務、健康状態その他必要事項を確認するものとする。

(再就職時の手続き)
第7条 再就職を行う場合の社内手続きは、次の各号のとおりとする。
1.本人は、会社所定の再就職申請書その他必要書類を提出すること
2.所属長および人事担当部門は、受入体制、配属先および労働条件案を確認すること
3.会社は、必要に応じて面談を実施し、就業可能性および配置の適正を審査すること
4.再就職を認める場合は、労働条件通知書その他必要書類を交付し、入社日を決定すること
5.社会保険、雇用保険その他法令上必要な手続きは、通常の入社手続きに準じて行うこと

(再就職の決定)
第8条 再就職の可否は、会社が審査のうえ決定する。
2 会社は、事業運営上やむを得ない事情がある場合、または受入れが困難と認められる場合には、再就職の時期を調整し、または再就職を認めないことがある。

(退職時の説明)
第9条 会社は、出戻り手形を交付する場合、退職者に対し、本制度の内容、有効期間、再就職申出の方法および有効期間経過後の取扱いについて説明するものとする。

(個人情報の取扱い)
第10条 会社は、本制度の運用にあたり取得した個人情報について、再就職審査その他本制度の運営に必要な範囲で適正に取り扱うものとする。

(補則)
第11条 本規程に定めのない事項については、就業規則その他会社の諸規程による。
2 本規程の運用に関し必要な事項は、別に定める。

(附則)
第12条 本規程は、令和◯年◯月◯日より施行する。

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代表社員 坂本直紀の紹介

坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員

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