
【概要】
ある設備会社の部長が異動させられ、その仕事内容は、草刈りだけを行うというものでした。この異動命令がパワハラに該当するとして元社員の男性が会社に約360万円の損害賠償を求め、大阪地裁に提訴しました。具体的には、次の内容が特徴的です。
1.この男性は統括部長を務めていましたが、労働組合の分会を社内に結成したのちメンテナンス事業部へ異動を命じられました。本人は、労働組合結成と異動との関わりを主張しています。
2.新たな業務は設備周辺の草刈りのみであり、上司が数メートル離れた場所で監視する中、毎日約6時間にわたって作業をしていました。
3.月給は、15万円ほど下がりました。その後不眠となり、ストレス障害と診断され10月から休職し翌年4月に復帰しました。しかしながら同じ作業の継続に耐えられなくなり、同年7月に退職しました。
【意見・感想・解説】
今回は、「部長」から「草刈り係」へ異動した元社員について取り上げました。提訴段階のため明言は出来ませんが、この内容通りの事実であれば、パワハラに該当すると考えられる事案です。
まず、パワハラについては以下の6類型があるといわれています。
1.身体的な攻撃/暴行・傷害 等
2.精神的な攻撃/脅迫・名誉毀損・ひどい暴言等
3.人間関係からの切り離し/隔離・仲間外し・無視
4.過大な要求/業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
5.過小な要求/業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
6.個の侵害/私的なことに過度に立ち入ること
今回のケースは、統括部長から草刈り係への異動ですから、「過小な要求」に該当する可能性が高いです。それにしても、このようなケースが現在の日本の組織で未だに生じていることに、驚きました。
パワハラに関しては、法制化されたこともあり、ますます対策が必要です。今一度、社内でパワハラが生じていないか確認してみるとよいでしょう。
ハラスメント対策研修のご案内
人事異動や配置転換は、企業運営上必要な場面があります。しかし、その目的や業務内容に合理性がなく、本人の能力や経験とかけ離れた業務を命じる場合には、パワーハラスメントに該当するおそれがあります。
特に管理職は、部下への指導、業務命令、配置転換、評価などに関わる立場であるため、どのような言動や対応がハラスメントと判断される可能性があるのかを正しく理解しておくことが重要です。
坂本直紀の研修では、パワーハラスメントの6類型をはじめ、実際の職場で起こりやすい事例をもとに、管理職として注意すべきポイントや適切な指導方法、相談対応の留意点について分かりやすく解説します。
ハラスメントを未然に防ぐためには、就業規則や防止規程の整備だけでなく、管理職一人ひとりが正しい知識を持ち、日々のマネジメントに活かすことが欠かせません。社内でのハラスメント防止意識を高める機会として、ぜひ研修の実施をご検討ください。
ハラスメント対策研修例(管理職向け)
(1)ハラスメントによるリスク
(2)セクシュアルハラスメントとは
(3)パワーハラスメントとは
(4)妊娠、出産、育児休業等のハラスメントとは
(5)カスタマーハラスメントとは
(6)ハラスメントと労災
(7)ハラスメントをしないために
(8)怒りの感情コントロール
(9)適切な指導
(10)相談対応上の留意点
(11)ハラスメントを受けた場合
(12)ハラスメント防止規程解説
(13)職場内コミュニケーション
(14)グループワーク
(15)まとめ
一緒にハラスメントのない職場づくりを目指しましょう。
研修講師:坂本直紀の紹介
坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員
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