
【概要】
前回解説した通り、インターンシップで就業体験等に参加する学生の労働者性が認められれば、賃金の支払い義務が発生します。
以下の行政解釈があります。
「一般に、インターンシップにおいての実習が、見学や体験的なものであり使用者から業務に係る指揮命令を受けていると解されないなど使用従属関係が認められない場合には、労働基準法第9 条に規定される労働者に該当しないものであるが、直接生産活動に従事するなど当該作業による利益・効果が当該事業場に帰属し、かつ、事業場と学生との間に使用従属関係が認められる場合には、当該学生は労働者に該当するものと考えられ、また、この判断は、個々の実態に即して行う必要がある」(平9. 9.18 基発636)
また、商船大学の実習生に関するものですが、以下の行政解釈があります。
労働者性の判断において参考になります。
「標記のことについては、昭和23年1月15日付け基発第49号に基づき取り扱ってきたところであるが、最近の実態調査等によると、商船大学及び商船高等専門学校が機関関係の学科、課程の学生に対し民間の事業場に委託して行う工場実習は、一般に左記のような実態にあるものと認められるので、今後、この工場実習を受ける実習生については、当該事業場との関係において原則として労働者ではないものとして取り扱われたい。
なお、一般の大学の工学部等の学生又は工業高等専門学校の学生で工場実習を受けるものについては、実習の目的、内容、方法等が様々であると考えられるので、個々の実態に即して判断すべきであるが、これらの実習生であっても、下記と概ね同様の実態にある場合においては、原則として労働者ではないものとして取り扱って差し支えない。
記
1. 実習の目的及び内容
(1)商船大学及び商船高等専門学校(以下「大学等」という。)が機関関係の学科、課程の学生に対し民間の事業場に委託して行う工場実習(以下「実習」という。)は、大学等の教育課程の一環として、これらの学生に船舶職員法(昭和26年法律第149号)に定める甲種二等機関士(現行、三級海技士(機関))等の海技従事者国家試験の受験資格として必要な乗船履歴(その一部は工場における実習をもって代えることができる。)を取得させるために行われるものであること。
(2)実習の実施に当たっては、大学等から委託先事業場に対し所定の教育実習委託費が支払われていること。
(3)大学等は、工場実習規程等により実習期間、実習科目、実習の実施体制、実習の履修状況の把握、成績の報告、表彰、制裁等について定めており、実習は、原則として、これに従って行われること。
ただし、各実習科目についての具体的な実習方法等は、通常、委託先事業場に任せられていること。
2. 実習の方法及び管理
(1)実習は、委託先事業場の従業員で大学等から実習の指導を委嘱されたもの(以下「指導技師」という。)の指導の下に行われていること。
(2)実習は、通常、現場実習を中心として行われており、その現場実習は、通常、一般労働者とは明確に区別された場所で行われ、あるいは見学により行われているが、生産ラインの中で行われている場合であっても軽度の補助的作業に従事する程度にとどまり、実習生が直接生産活動に従事することはないこと。
(3)実習生の欠勤、遅刻、早退の状況及び実習の履修状況は、通常、まず指導技師によって把握・管理されているが、工場実習規程等に定める所定の手続を経て、最終的には大学等において把握・管理されていること。
(4)実習生の実習規律については、通常、委託先事業場の諸規則が準用されているが、それらに違反した場合にも、通常、委託先事業場としての制裁は課されないこと。
3. 実習手当等
実習生には、通常、委託先事業場から一定額の手当が支給されているが、その手当は、実習を労働的なものとしてとらえて支払われているものではなく、その額も1日300円ないし500円程度で、一般労働者の賃金(あるいは最低賃金)と比べて著しく低いことから、一般に実費補助的ないし恩恵的な給付であると考えられること。
なお、実習生には、委託先事業場から手当のほか交通費等が支給され、あるいは委託先事業場が寮費等を負担している場合もあるが、これらの給付あるいは負担も、一般に同様の性格のものと考えられること。
したがって、参加学生への賃金支払い有無は、「労働者性が認められるか否か」で変わります。
労働者性の判断は、上記行政通達の内容が参考になる面があります。
なお、労働者性が認められ、賃金を支給する場合は、最低賃金を下回らないように注意する必要があります。
【意見・感想・解説】
インターンシップという名称だけで、当然に無給にできるわけではありません。実際の内容が見学・体験を中心とした教育的なものであるか、それとも企業の指揮命令のもとで通常の業務や生産活動に従事しているかなど、実態に即した判断が重要です。受入れ前に、実習内容や指導方法、勤務時間の管理方法などを整理しておくことが望まれます。
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