
【概要】
先日、ある製薬大手の部長職の50代男性が自殺をしました。部長昇進に伴う仕事量の増加や、月100時間超の時間外労働による強いストレスが原因の過労自殺だったとして、労災認定されました。具体的には、次の内容が特徴的です。
1. 遺族側は、昇進直後の長時間労働や、死亡までの8年間に発生した8,000時間超の残業につき、申し立てを行いました。結果として、労基署は昇進後の長時間労働のみで労災に該当する、と判断しました。
2. 死亡した男性は当時、「管理監督者」として扱われていました。
【意見・感想・解説】
今回は、管理監督者である部長職の方が過労自殺した事件を取り上げました。
管理監督者も当然、労働者ですから、長時間労働による過労自殺が認められます。労基署は、精神障害による労災認定基準に基づき、発症前6か月以内の長時間労働および仕事の高負荷の側面から、心理的負荷の強度を「強」と判断し、労災と認定したのでしょう。今後は、企業の安全配慮義務違反として訴訟となるのか否か、注目されるところです。
さて、今回の注目ポイントは、「管理監督者の長時間労働」です。一般的に、役職が付いている立場の社員、つまり管理監督者は、労基法の労働時間や休日の適用を受けません。そのため、会社での労働時間管理が適切に行われない場合があります。今回の事件も、まさに管理監督者の長時間労働の状況が確認できない、という点で、同様のケースだと思います。
来月より、労働安全衛生法の改正で、管理監督者の労働時間把握が義務化されます。管理監督者についても適切に労働時間管理を進め、過重労働を防止していく必要があります。
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管理監督者であっても、長時間労働や過重な業務負荷によって健康障害が生じるリスクはあります。特に、昇進直後の業務量増加や責任の拡大は、本人が無理を重ねやすく、会社としても労働時間や業務負荷の実態を適切に把握することが重要です。
人事労務のトラブルは、発生してから対応するだけでなく、日頃から就業規則、労働時間管理、管理職の働き方、メンタルヘルス対策などを整備し、予防していくことが欠かせません。また、問題が発生した場合には、法的リスクや従業員への影響を踏まえ、適切かつ迅速に対応する必要があります。
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坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
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