長期間労働と36協定違反により、貨物運送業の会社が是正勧告に応じず書類送検された事例を示すアイキャッチ画像
36協定の上限93時間を超え、月152時間・140時間の違法な時間外労働や100時間超の残業が発覚し、是正勧告後も改善されず書類送検された貨物運送業の事例
貨物運送業で36協定の上限を超える長時間労働が確認され、複数回の是正勧告にも改善が見られなかったため、会社と代表取締役が書類送検された事例です。

【概要】

東京・池袋労働基準監督署長は、違法な時間外労働をさせたとして、ある貨物運送業の会社および代表取締役を労働基準法第32条(労働時間)違反の疑いで東京地検に書類送検しました。具体的には、次の内容が特徴的です。

1.労働者2人に対して、36協定で定めた1ヵ月93時間の限度時間を超えた、違法な時間外労働をさせていました。

2.1ヵ月当たりの時間外労働数は、1人が約152時間、もう1人が約140時間でした。

3.同労基署の臨検監督を通して、調査対象の約3割に当たる10人以上の労働者一人あたりに、1ヵ月当たり100時間を超える時間外労働が認められました。

4.監督署は企業に複数回是正勧告をしましたが改善されなかったため、書類送検しました。

【意見・感想・解説】

今回は、長時間労働による書類送検のケースを取り上げました。

現在は、長時間労働に関する規制が強化されており、労基署の指導も厳格されています。月に残業時間が100時間を超え、さらに36協定の限度時間を超えているとなると、さすがに是正勧告されても不思議ではありません。

ここで非常に問題なのは、「企業が再三の勧告に従わなかった」ところにあります。そうなれば、さすがに労基署も黙っておらず、書類送検に踏み切るでしょう。法違反をしないことが最も望ましいのですが、万が一、労基署に法違反を指摘されたら、迅速に是正することが重要です。

私はこれまで、様々な会社の、是正勧告を受けた際のサポートをしてきましたが、書類送検されたケースはありません。その大きな理由としては、重大な違反でなかったこともありますが、迅速かつ適切に是正報告していたためだと思います。是正勧告の場合には、しっかり是正報告をすることが大切です。

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今回のように、36協定で定めた上限時間を大幅に超える時間外労働が常態化していた場合、労働基準監督署からの是正勧告にとどまらず、書類送検に至ることがあります。特に、複数回の是正勧告を受けても改善が進まない場合、企業名や代表者名が公表されるリスクもあり、会社の信用に大きな影響を及ぼしかねません。

長時間労働の問題は、単に労働時間を管理するだけでは解決できません。36協定の適切な締結・運用、勤怠管理の見直し、業務量や人員配置の確認、管理職への指導など、実務に即した継続的な対応が必要です。トラブルを未然に防ぐためにも、また万一問題が発生した後に適切かつ迅速に対応するためにも、専門家による定期的な確認と助言が重要になります。

さらに、過重労働は従業員の健康障害や離職にもつながり、優秀な人材の確保及び定着にも大きな支障をきたします。安心して働ける労務管理体制を整えることは、法令遵守だけでなく、会社の持続的な成長のためにも欠かせません。

坂本直紀 社会保険労務士法人では、企業の実情に応じて、労働時間管理、36協定、就業規則、労使トラブル対応、人材定着に向けた職場環境整備まで、継続的にサポートしています。労務リスクを早期に把握し、問題が大きくなる前に対策を講じたい企業様は、ぜひ顧問契約をご検討ください。

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坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員

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