セクハラ発言をした男性上司からの誘いや贈り物に悩む女性社員が、精神疾患を発症し労災認定された事例を表すイラスト
既婚の男性上司から海外旅行への同行や好意を示すメールを受けた女性社員が、人事部に相談しても十分に対応されず苦しむセクハラ事例
男性上司からの不適切なメールや誘いに悩んだ女性社員が、人事部へ相談後も十分な保護を受けられず、精神疾患を発症して労災認定された事例です。

【概要】

ある銀行子会社の元女性社員が、上司のセクハラ発言などにより、精神疾患を発症した結果、労災認定されました。具体的には、次の内容が特徴的です。

1.この女性社員は入社2年目に、50代の男性上司(既婚)から、「海外旅行に同行したい」「こんな気持ちは家内と出会ってから初めて」などのメールを何度も受け取りました。

2.女性はこのことを、人事部の社員に相談。それにもかかわらず、その後もこの上司は、女性を食事に誘ったり、女性の自宅近くの駅まで来てプレゼントを渡していました。

3.この女性は重度のストレス反応と診断され、労基署は当件を労災と認定しました。

4.理由としては、女性は相談した人事部から配置転換を強要されたり、人事部も公平な判断をする立場でありながら、女性の相談に対し上司をかばう発言をしていたようです。

【意見・感想・解説】

今回は、セクハラで労災認定された事件を取り上げました。人事部に相談したにもかかわらず、行為者をかばい、結果的にセクハラがエスカレートし、精神障害に追い込まれたものです。決してあってはならないことです。行為者は当然のことですが、人事部も猛省し、再発防止に努めていただきたいと思います。

まず、被害者から相談を受けたら、客観的な立場で対応する必要があります。今回は、性的な内容を含むメールが送られてきていますので、証拠は存在している状況です。したがって、相談者の同意を得てから行為者ヒアリングを行い、適切に処分し、セクハラを発生させないようにするのが、本来の手順および対応です。

適切に対応していれば、この女性は、精神障害に罹患しなかったかもしれません。人事部など、相談窓口となる部門や担当者は、客観的かつ中立的に対応するべきです。

このように労基署に労災認定され、社名が公表されると、社会的な悪影響が出るかもしれません。認識を新たにしていただきたいと思います。

ハラスメント対策研修のご案内

セクシュアルハラスメントは、行為者本人の問題にとどまらず、会社の相談対応や再発防止体制の不備によって、被害が深刻化することがあります。特に、相談を受けた人事部門や管理職が、客観的・中立的な立場で対応できなかった場合、被害者の心身に大きな影響を及ぼすだけでなく、労災認定や企業名の公表など、会社全体の信用にも関わる重大な問題へ発展するおそれがあります。

ハラスメント防止のためには、管理職や相談窓口担当者が、ハラスメントの基本知識を理解するだけでなく、相談を受けた際の初動対応、事実確認の進め方、行為者への対応、被害者への配慮、再発防止策までを実践的に学ぶことが重要です。

坂本直紀の研修では、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント、カスタマーハラスメントなどについて、法的リスクや労災との関係も踏まえながら、管理職として取るべき適切な対応をわかりやすく解説します。

ハラスメントを未然に防ぎ、相談があった場合にも適切に対応できる職場体制を整えるために、ぜひハラスメント対策研修をご活用ください。

 

ハラスメント対策研修例(管理職向け)

(1)ハラスメントによるリスク
(2)セクシュアルハラスメントとは
(3)パワーハラスメントとは
(4)妊娠、出産、育児休業等のハラスメントとは
(5)カスタマーハラスメントとは
(6)ハラスメントと労災
(7)ハラスメントをしないために
(8)怒りの感情コントロール
(9)適切な指導
(10)相談対応上の留意点
(11)ハラスメントを受けた場合
(12)ハラスメント防止規程解説
(13)職場内コミュニケーション
(14)グループワーク
(15)まとめ
一緒にハラスメントのない職場づくりを目指しましょう。

 

研修講師:坂本直紀の紹介

坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員
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