
【概要】
あるソフトウェア・サービス事業を行う会社では、若年層ジョブマッチング制度を設けています。具体的には、次の内容が特徴的です。
1.新卒入社3年目の社員全員に対し、社内求人への応募、または現在の部署に継続して所属することを自ら選択する権利が付与されます。
2.権利は2年間繰り越すことができます。該当者はまず制度を利用するか否かを宣言します。
3.利用希望者は、自己PRシートを作成して社内求人に応募し、面談を行います。
4.他部署に応募して合格した場合、現部署には該当者の異動を拒否できません。
【意見・感想・解説】
今回は、若年層ジョブマッチング制度について取り上げました。なかなか興味深い制度です。
若手社員にとっては、自分自身でキャリアパスを選ぶことにつながります。自己成長意欲が高い社員は、比較的、社内求人への応募を行うかもしれませんね。
一方で、現部署は気が気ではありません。極端なケースですと、配属された若手社員が他部署への異動を希望するかもしれません。
合格すれば、現部署は異動を拒否できないので、現部署は大変なことになりますね。
当たり前の話ですが、パワハラなどが常態化し、ギスギスした職場にならないように注意する必要があります。
今回の事例を踏まえ、会社(社長)から社員へのメッセージおよび規程例を作成しました。ご参考ください。
会社から社員へのメッセージ例
社員の皆様へ
当社は、社員一人ひとりの成長と安心を何よりも大切に考えています。皆様が日々それぞれの持ち場で力を尽くしてくださっていることが、会社の成長を支える大きな原動力です。心から感謝しています。
このたびの若年層ジョブマッチング制度は、若手社員の皆様が自らの意思で将来のキャリアを考え、挑戦したい道を選べるようにするために設けたものです。会社は、社員が「この会社で成長したい」「この会社で長く働きたい」と思える環境を整えることが重要であると考えています。
今の部署で専門性を深めることも、大切な選択です。また、新たな部署へ挑戦し、自分の可能性を広げることも、前向きで価値ある選択です。どちらを選ぶ場合であっても、会社はその意思を尊重し、皆様が安心して働き続けられるよう支えてまいります。
制度を利用することによって、周囲に気を遣ったり、不安を感じたりすることがあってはなりません。会社は、社員の意思表示や挑戦を理由とした不利益な取扱いを決して許しません。誰もが互いを尊重し、前向きに成長できる職場であることを、これからも大切にしていきます。
社員の皆様が自分らしく力を発揮し、将来に希望を持ちながら働けることは、会社にとって何よりの願いです。そして、皆様に「ここで働き続けたい」と感じていただける会社であるよう、職場環境の整備、人材育成、適切な配置に今後も真摯に取り組んでまいります。
会社は、これからも社員一人ひとりを大切にし、その成長と挑戦に寄り添い続けます。皆様が安心して長く活躍できる会社を共につくっていきましょう。
代表取締役社長〇〇〇〇
若年層ジョブマッチング制度規程例
会社として、若手社員一人ひとりが自らの意思でキャリアを考え、主体的に成長の機会を選択できる環境を整えることは重要であると考えています。
本制度は、若年層社員の挑戦意欲を尊重するとともに、社内における適材適所の配置および人材活用を促進することを目的として設けるものです。
社員の皆さんには、本制度の趣旨を理解し、自らの将来を見据えた前向きな選択につなげていただくことを期待します。
(目的)
第1条 本規程は、若年層社員に対し、自らの意思によって今後のキャリア形成の方向性を選択する機会を付与し、もって社員の成長意欲の向上および社内における適正配置の実現を図ることを目的とする。
(適用対象)
第2条 本規程の適用対象者は、新卒入社後3年目に到達した社員とする。
2.前項の「新卒入社後3年目」とは、会社が別途定める基準日において判定するものとする。
(制度の内容)
第3条 対象社員は、次のいずれかを自ら選択することができるものとする。
1.社内求人に応募すること。
2.現に所属する部署に継続して所属すること。
(利用権利の繰越し)
第4条 前条第1項第1号に定める社内求人への応募に係る権利は、対象社員がこれを行使しない場合であっても、2年間に限り繰り越すことができる。
2.繰越期間中の社員は、会社が定める時期に制度利用の意思を表明するものとする。
3.繰越期間満了までに権利を行使しなかった場合は、当該権利は消滅するものとする。
(利用意思の表明)
第5条 対象社員は、会社が指定する期日までに、若年層ジョブマッチング制度を利用するか否かについて、所定の方法により所属長および人事担当部門に申告しなければならない。
2.制度を利用しない旨を申告した場合であっても、前条に定める繰越期間内においては、改めて利用を申告することができるものとする。
3.申告の手続その他必要な事項は、会社が別に定める。
(応募手続)
第6条 制度の利用を希望する社員は、会社所定の自己PRシートを作成し、社内求人に応募しなければならない。
2.応募を行う社員は、募集要項その他会社が定める応募条件を確認のうえ、所定の期日までに必要書類を提出するものとする。
3.人事担当部門は、応募書類を受理したときは、選考に必要な手続を行うものとする。
(選考および面談)
第7条 社内求人への応募者に対しては、書類選考および面談その他会社が必要と認める選考を実施する。
2.面談は、応募先部署および必要に応じて人事担当部門が実施するものとする。
3.選考基準、選考方法その他必要な事項は、各求人内容に応じて会社が別に定める。
(異動の決定)
第8条 応募者が選考の結果、応募先部署に合格した場合は、会社は当該社員の異動を決定するものとする。
2.前項の場合において、現所属部署は、会社が決定した異動を拒否することができない。
3.異動日その他必要な事項は、業務運営上の必要性を踏まえ、会社が決定する。
(現所属部署および関係部署の協力義務)
第9条 現所属部署の上長その他関係者は、本制度の趣旨を尊重し、対象社員の意思表明、応募、面談および異動に関し、適切に協力しなければならない。
2.現所属部署は、制度利用を理由として、対象社員に不利益な取扱いをしてはならない。
3.会社は、本制度の運用にあたり、職場環境の悪化、嫌がらせ、ハラスメントその他不適切な行為が生じないよう必要な措置を講ずるものとする。
(不利益取扱いの禁止)
第10条 会社は、社員が本制度の利用意思を表明し、または社内求人に応募したことを理由として、賃金、評価、配置その他の労働条件について不利益な取扱いを行わない。
2.社員は、本制度の利用に関連して、他の社員に対する嫌がらせ、誹謗中傷その他職場秩序を害する行為をしてはならない。
(制度運用の所管)
第11条 本制度に関する運用、周知、申告受付、応募管理、選考調整その他の事務は、人事担当部門が所管する。
2.人事担当部門は、制度の適正な運用のため、必要に応じて関係部署と協議し、運用細則を定めることができる。
(相談窓口)
第12条 社員は、本制度の利用、手続、職場対応その他本制度に関する事項について、人事担当部門に相談することができる。
2.会社は、制度利用に伴う不安、異動前後の職場環境、ハラスメント等に関する相談に適切に対応するものとする。
(附則)
第13条 本規程は、令和◯年◯月◯日より施行する。
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代表社員 坂本直紀の紹介
坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員
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