過労死ライン未満の残業時間でも労災認定された大学医師の事例を示すアイキャッチ画像。研究室で疲弊する医師と労災認定のチェックマーク。
大学医師が研究と宿直勤務で疲弊し、過労死ライン未満の残業でも心理的負荷や休息不足を理由に労災認定された事例を描いた漫画画像。
残業時間が月80時間未満でも、研究業務に加えた宿直勤務、心理的負荷、十分な休憩・睡眠時間の不足が考慮され、医師の死亡について労災が認められました。

【概要】

ある大学の医師の残業時間が、いわゆる「過労死ライン」には達していませんでしたが、労災が認定されました。

具体的には、次の内容が特徴的です。

1.ある大学に研究者として勤務していた男性医師(当時44歳)が、大学構内の研究室で倒れているのが見つかり、翌日になって死亡が確認されました。

2.当初、津労働基準監督署は、医師が亡くなる2か月前から6か月前の平均残業時間が、いわゆる過労死ラインとされる80時間を超えていなかったため、労災認定しませんでした。

3.労働保険審査会では、労基署の判断を取り消し、労災を認めました。

この理由ですが、医師は通常業務の研究のほか大学の付属病院で宿直勤務を行うなど、一定の心理的負荷を伴う業務に従事し、十分な休憩や睡眠時間の確保が難しかったなどとしました。

【意見・感想・解説】

今回は、過労死による労災認定を取り上げました。

2021年9月に「脳・心臓疾患の労災認定基準」が改正され、長期間の過重業務の評価に当たり、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することが明確化されました。

今回は、2か月前から6か月前の平均残業時間が、いわゆる過労死ラインとされる80時間に達していなかったとしても、心理的負荷を伴う業務や睡眠不足等を考慮して、労災が認められました。

過労死ともなると、場合によっては使用者の安全配慮義務違反等の問題が生じます。

従って、会社としては、過労死ラインを超える残業はもってのほかですが、過労死未満であったとしても、勤務内容に問題ないか確認しておくと良いでしょう。

なお、雑誌「労務事情2022年7月15日号」において、「〈Q&A〉労災認定基準の改正と実務における必要知識」を寄稿しています。
法改正の詳細については、宜しければ、そちらでご確認ください。

https://www.e-sanro.net/magazine_jinji/romujijo/b20220715.html

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坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員

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