
【概要】
厚生労働省は、令和6年度の「過労死等の労災補償状況」を取りまとめました。これは、過重な業務によって発症した脳・心臓疾患や、強い職場ストレスに起因する精神障害についての労災認定の状況をまとめたものです。
今回は、このうち「精神障害」に関するデータを取り上げます。特徴的なポイントは、次の通りです。
1.精神障害による労災請求件数は3,780件で、前年度より205件増加しました。
2.労災の支給決定件数は1,055件で、前年度より172件の増加となりました。
3.支給決定の多かった出来事は、以下の3つです。
・「上司等から身体的・精神的攻撃などのパワーハラスメントを受けた」224件
・「仕事内容や仕事量に大きな変化があった」119件
・「顧客・取引先・施設利用者などから著しい迷惑行為を受けた」108件
【意見・感想・解説】
今回は、令和6年度における精神障害に関する労災補償について、取り上げました。
注目すべきは、支給決定件数の最多が「上司等からの身体的・精神的攻撃(パワハラ)」で224件に上り、2位(119件)を大きく上回っている点です。
このことは、パワハラが発生し、それが原因で精神障害を発症した場合、労災として認定される可能性が高いことを示しています。
労災として認定されると、言い換えれば、労働基準監督署が「パワハラによって精神障害が発症した」と認めたことになります。
この判断は、企業にとって非常に重い意味を持ちます。
なぜなら、労災認定が下りたことで、企業が安全配慮義務を怠ったとされ、民事上の損害賠償請求につながる可能性があるからです。
さらに、こうした情報がSNSで拡散されれば、「ブラック企業」としてのレッテルが貼られ、企業イメージの大きな失墜にもつながりかねません。
パワハラへの対応は、極めて重要な人事労務上の課題といえるでしょう。
また、「顧客・取引先・施設利用者などからの著しい迷惑行為」、いわゆるカスハラも、支給決定件数で3番目に多くなっており、企業としての対応が強く求められるといえるでしょう。
顧問契約サービスのご案内
精神障害による労災支給の増加、とりわけパワハラや業務変化、カスハラ(顧客等からの迷惑行為)による案件の増加は、企業にとって深刻なリスクです。
こうしたトラブルは、発生前の予防と発生後の迅速かつ適切な対応が極めて重要となります。
また、健全な職場環境の整備は、優秀な人材の確保と定着にも直結します。
当法人では、労務リスクを最小限に抑え、安心して経営に集中できるよう、貴社の実情に即した顧問契約サービスをご提供しています。
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代表社員 坂本直紀の紹介
坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員
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