
【概要】
和歌山県立高校の男性教諭(30代)が、2009年に自殺を図りました。この自殺について、地方公務員災害補償基金和歌山県支部審査会が、2019年9月に「公務災害」と認定しました。当公務災害の認定は、民間の労災認定に該当するものです。具体的には、次の内容が特徴的です。
1.男性は、恒常的な持ち帰り残業に加え、部活動指導による長時間勤務により、うつ病を発症していました。
2.審査会では、持ち帰り残業のほか、部活を巡る生徒の保護者からの苦情などにより、強い心理的負荷があったと認めました。
【意見・感想・解説】
今回は、30代の男性が自殺を図り、公務災害が原因と認定されたケースを取り上げました。
まず、一般的に、[長時間労働]→[メンタル不調]→[自殺念慮]→[自殺]といった流れが、最悪のパターンになります。このように、過重労働やハラスメントは、一つ間違えれば今回のような「自殺」という最悪の事態を発生させてしまうことになるため、注意が必要です。
そして、今回は、「持ち帰り残業」について公務災害認定の面で、心理的負荷を強くさせる要因として判断している点が、注目されます。持ち帰り残業については、家で仕事をするため、公私の区別がつきにくく、労働時間としてカウントしていないケースが多いのではないかと、個人的には考えています。
ただ、今回のように「持ち帰り残業を放置し」、その結果、社員が自殺したとしたならば、過重労働として労災認定されるリスクがあります。そうなれば、場合によっては、会社の安全配慮義務違反が問われ、民事上の損害賠償にもつながるかもしれません。
今一度、貴社の「持ち帰り残業」の状況について確認してみるとよいでしょう。
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持ち帰り残業や部活動指導、保護者対応などが重なり、強い心理的負荷が認められた今回の事案は、企業においても決して他人事ではありません。職場での長時間労働や過重な業務負担、社外・顧客対応によるストレスを放置すると、メンタル不調や休職、労災認定、さらには安全配慮義務違反に基づく損害賠償リスクにつながる可能性があります。
特に、持ち帰り残業は労働時間として把握されにくく、会社が実態を十分に認識しないまま問題が深刻化することがあります。だからこそ、日頃から労働時間管理、業務配分、相談体制、メンタルヘルス対策を整備し、トラブルを予防するとともに、万が一問題が発生した際には、適切かつ迅速に対応できる体制を構築しておくことが重要です。
また、過重労働を防ぎ、安心して働ける職場環境を整えることは、優秀な人材の確保及び定着にも直結します。人材不足が続く中、従業員が心身ともに健康に働ける会社づくりは、企業の成長に欠かせない重要な経営課題です。
当法人の顧問契約サービスでは、労働時間管理、メンタルヘルス対応、就業規則の整備、ハラスメント・労務トラブルへの対応など、人事労務に関する課題について継続的にサポートいたします。貴社の実情に合わせて、リスクを未然に防ぎ、問題発生時にも迅速に対応できる体制づくりをご支援します。
顧問契約の内容
- 定期対面による、親身な対応
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坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員
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