商店街で労基署職員が店舗関係者に労働基準法違反の改善指導を行う様子
上野労基署が商店街の店舗関係者に集団指導を行い、労働条件明示や有期契約ルールの確認を促す漫画
東京・上野労基署は、商店街の卸小売業や飲食店など300事業場を対象に自主点検表を送付し、労働条件明示違反の疑いがある店舗へ改善を促しました。

【概要】

今回は、最近の動向として、労基署による商店街の集団指導を取り上げます。東京・上野労基署は、商店街を対象に集団指導を行いました。集団指導では、店長等を呼出し改善を要請しました。具体的には以下のとおりです。

1.商店街に所在する卸小売業・飲食店などの店舗300事業場に自主点検表を送付しました。

2.従来から労働相談や申告が多い業種であり、労働条件に関するトラブルも目立っていました。

3.自主点検では労働条件を口頭のみで通知する等の労働条件の明示違反が疑われる事業場が約20%となっています。

4.パートやアルバイトを雇用している割合が高いため、有期労働契約のルールの認知度も調査しています。

【意見・感想・解説】

商店街に対する労基署の集団指導ですが、大変、悩ましいところです。

商店街は、通常、大型店等の競争激化により、厳しい経営環境に直面しています。また、後継者不足により、存続が難しい状況の店舗もあります。こうしたことから、商店街によっては、空き店舗が目立つようになってきています。

このように生き残りそのものに必死になっている状況下で、労働法を遵守するようにと指導されても、なかなか対応が難しい面もあります。

ただ、ここで大切なことがあります。それは、労働法の遵守を意識しておかなければ、後でとんでもないことに直面するリスクがあることです。典型的なのは未払い残業手当です。未払い残業手当は、残業したことにより受給できるいわば労働者の権利です。

これは、業種や経営の状況に関わらず、残業させれば基本的には発生するものです。そこの対応が不備であったため、ある日突然未払い残業手当の請求が来るリスクがあるということです。

また、当然、解雇すれば不当解雇で争われるリスクもあります。

従って、状況が厳しいことは理解できますが、自社を守るため、適切に労務管理をすることが重要です。