36協定の限度時間を超え最大162時間の残業を行わせた金融機関が労基法違反の疑いで書類送検された事例を示すアイキャッチ画像
36協定の限度45時間を超えて実際には121時間から最大162時間の残業があり、PC記録調査で未払い残業代2億9000万円が判明した事例を解説する漫画画像
上司から「残業は45時間以内で申告」と指示される一方、実際には最大162時間近い時間外労働があり、PC記録などから実態が確認された労基法違反の事例です。

【概要】

熊本労働基準監督署は、36協定で定めた限度時間を超えて最大162時間の時間外労働を行わせたとして、ある金融機関と取締役執行委員(労務担当)、部長、副部長を労基法違反の疑いで熊本地検に書類送検しました。具体的には以下の通りです。

1.この会社では、本部の労働者1人に対して、平成24年7月1日~9月30日までの期間において36協定で定めた1ヵ月当たり45時間の限度を超えて最低121時間、最大162時間の時間外労働を行わせていた疑いがもたれています。

2.時間外労働は、上長の承認を得た後に実績を申告する自己申告制をとっていました。限度時間の範囲内で収めるよう指示していた経緯もあり、「限度時間を超える申告がしにくい雰囲気があったと監督署では、みています。

3.また、この会社では、全行員を対象に、時間外・休日労働の実態調査を行った結果、パソコンの使用記録等を参考に実際の労働時間を算出しました。そして、未払いにつき合計2億9000万円を支給しています。

【意見・感想・解説】

今回は、熊本労働基準監督署による書類送検に関して取り上げました。

36協定違反ということですが、かなりの長時間労働です。こうした実態が明るみに出れば、労働基準監督署はさすがに無視できないでしょう。書類送検もやむを得ないところです。

さて、今回のポイントは、自己申告制をとっていたが、きちんと申告されていなかったということです。これは、とても重要なことを示唆しています。つまり、経営者や人事部等が、労働時間の記録を見る限り、問題ないであろうと思っていても、実態が異なる場合があるということです。

その結果、長時間労働が原因で過労死や過労自殺になったり、今回のように監督署による厳しい対応や割増賃金の追加払いのリスクが生じます。自己申告制をとっている会社は、今一度問題がないかチェックされるとよいでしょう。