社員モチベーション向上策として改善提案制度を活用し、ムダ削減やコストダウンを検討する職場のイラスト
改善提案制度により現場の声を生かし、郵送業務の効率化や電気ポットの使用時間見直しでコストダウンを進める社員の漫画イラスト
改善提案制度は、社員一人ひとりの改善案を業務効率化やコスト削減につなげるボトムアップ型の人事労務施策です。

【概要】

今回から3回にわたり、改善提案制度について解説します。

まず、人事労務管理上大切なことは、トップダウンとボトムアップのバランスです。

トップダウンとは、経営者の意思を社員に浸透させることです。会社のビジョン、ミッションを明確にし、それらを達成するために経営戦略を策定します。そして、社員に、これらをわかりやすく伝える必要があります。

一方、ボトムアップとは、現場の考えを経営や組織管理にいかすことです。そして、このボトムアップの一つに改善提案制度があります。改善提案制度は、社員一人ひとりが改善内容を自ら提案していくことを特徴と
しています。

そして、社員の提案内容が実施されることで、例えば新商品開発に結びついたり、大幅なコスト削減効果を創出することにつながります。その結果、社員一人ひとりの経営への参加意識が芽生えることが期待できます。

次に、改善提案事例を説明しましょう、

A社では、「ムダ撲滅運動」を実施しています。具体的には、以下の通りです。

1.全従業員から業務上のムダを発見するとともに改善するための提案を受け付けています。

2.提案募集時期は年4回で、全社員が参加します。提案回毎に1人1件以上の提案が義務付けられています。

3.提案方法は、ムダ撲滅提案システムに提案名、問題点、改善案、効果額等を入力します。

4.報償金額は、効果金額で差をつけており、賞1,000円、鉄賞30,000円、銅賞50,000円、銀賞70,000円、金賞100,000円、特別賞200,000円となっています。

5.職場に推進者をおき、事務局からの連絡を基に活動を推進しています。

6.2000年下期の制度開始時から2008年7月までの提案件数は約4万件で、累積で47億円の効果を上げています。

実際の提案例としては、以下のようなものがあります。

<郵送業務の効率アップ>
郵便物の仕分けに手間取っていました。そこで、50音順の箱を設けて同じ送付先にまとめて発送するようにしました。手間と郵便代が削減できました。
削減効果:年間24万円

<電気ポットの保温時間を設定>
各所に給茶器があるにもかかわらず、各部門で電気ポットを1日中使用していた。保温時間を昼食時の1時間に限定
削減効果:年間120万円

このようにコストダウンを目的として、改善提案制度を実施して、様々な効果を上げています。

企業の利益は 「売上-費用」で算出されます。従って、費用の削減につながるので、こうした地道な拡大は、経営の業績に大きくプラスに寄与することになります。