一級建築士事務所で再入社した社員に「おかえり感謝支度金」を手渡す様子
一級建築士事務所で「おかえり感謝支度金」制度を説明し、再入社した社員を歓迎する漫画風イラスト
勤続3年以上で退職後に復帰した社員へ、再入社時に25万円または前職月給の70%を支給する「おかえり感謝支度金」制度を紹介しています。

【概要】

ある一級建築士事務所では、「おかえり感謝支度金」制度を導入しています。具体的には、次の内容が特徴的です。

1.この事務所では、社員のワークライフバランスの充実や、働きやすい環境づくりを目指し、様々な働き方改革や福利厚生の制度導入を行っています。

2.独自制度のひとつとして、おかえり感謝支度金があります。この制度のポイントは、以下の通りです。
・勤続3年以上の社員が再入社した際に、25万円もしくは前職月給の70%を支度金として再入社時に支給します。
・対象者は、3年以上勤続したのちに退職し、復帰した社員です。

【意見・感想・解説】

今回は、いわゆるカムバック制度の発展である「おかえり感謝支度金」を取り上げました。

退職した社員の再雇用を推進するカムバック制度は、多くの企業が実施しています。

しかし、今回のように、再雇用時に支度金を支給するケースは驚きです。実際に、制度スタート直後、すでに2人が制度を利用して戻ってきているようです。

さらに同社では、「出戻り手形」制度を導入しています。この制度は、一定の基準を満たし貢献度が高く、事情により退職をした社員に交付するというものです。そして、退職後2年以内の再入社であれば、原則退職前の役職・ポジションで復職ができることになります。

「おかえり感謝支度金」と「出戻り手形」により、確かに退職した社員が戻ってきやすくなりますね。

少子化による労働力人口の減少が懸念される中、優秀な社員の採用と定着は、とても重要な課題です。一見、変わった制度のようにみえますが、結果的に社員の確保と定着に寄与しています。とても参考になる事例です。

今回の事例を踏まえ、会社(社長)から社員へのメッセージおよび規程例を作成しました。ご参考ください。

会社から社員へのメッセージ例

社員の皆様へ

いつも日々の業務に真摯に向き合い、会社を支えてくださっていることに、心より感謝しています。

会社にとって、社員の皆様は単なる働き手ではありません。私たちにとって何より大切な存在であり、会社の成長をともにつくり上げるかけがえのない仲間です。皆様一人ひとりの努力や経験、思いやりが、職場の力となり、会社の未来を支えています。

だからこそ当社は、社員の皆様が安心して長く働き続けられる環境を整えることを、経営の大切な使命のひとつと考えています。働きやすさを高める制度づくりや福利厚生の充実に取り組むのも、社員の皆様の人生とキャリアを大切にしたいという思いからです。

今回の「おかえり感謝支度金」制度も、その考え方の延長にあります。人生の中では、結婚、出産、育児、介護、転居、学び直しなど、さまざまな事情によって一度会社を離れることがあります。しかし、それは決して縁が切れるということではありません。当社で力を尽くしてくださった皆様とのつながりは、退職後も大切にしていきたいと考えています。

そして、もし再び当社で働きたいと思っていただけたなら、私たちは心から「おかえりなさい」と迎えたいのです。これまで培ってきた経験や会社への理解は、何にも代えがたい財産です。再び仲間として戻ってきてくださることは、会社にとって大きな喜びであり、同時に職場にとっても大きな力になります。

当社は、社員を大切にする会社であり続けます。そして、皆様に長く安心して働いていただけることこそが、会社の持続的な成長につながると信じています。これからも、社員一人ひとりの声に耳を傾け、支え合い、成長し合える会社をともにつくっていきましょう。

皆様のこれまでの貢献に、改めて深く感謝するとともに、今後も末永く力を貸していただけることを心より願っています。

代表取締役社長〇〇〇〇

おかえり感謝支度金制度規程例

(目的)
第1条 本規程は、当社を退職した社員の再入社を促進し、優秀な人材の確保および定着を図るとともに、再入社する社員の新たな就業開始を支援するため、おかえり感謝支度金制度に関し必要な事項を定めるものとする。

(適用対象者)
第2条 本規程の適用対象者は、次の各号のすべてを満たす者とする。
1.当社において正社員として3年以上継続して勤務した後に退職した者
2.退職後、当社に再入社した者
3.再入社時において、会社が本制度の対象として認めた者

(支給内容)
第3条 会社は、前条の適用対象者に対し、再入社時におかえり感謝支度金を支給する。
2 支給額は、次のいずれかの額とする。
1.25万円
2.再入社直前の前職月給額の70%相当額
3 前項各号のうち、会社が個別に決定した額を支給するものとする。

(支給時期)
第4条 おかえり感謝支度金は、原則として再入社後最初の給与支給日に支給する。
2 ただし、会社が必要と認めたときは、再入社日に支給し、または別途定める日に支給することがある。

(支給要件)
第5条 おかえり感謝支度金の支給を受けるためには、再入社者が会社の定める採用手続を経て正式に採用されていることを要する。
2 再入社者が、再入社時点において誓約書その他会社が必要とする書類を提出していない場合は、会社は支給を保留することができる。

(不支給)
第6条 次の各号のいずれかに該当する場合は、おかえり感謝支度金を支給しない。
1.退職時に懲戒処分を受けていた場合またはこれに準ずる事情がある場合
2.再入社にあたり、経歴、職歴その他重要な事項について虚偽の申告をした場合
3.その他、会社が本制度の趣旨に照らし不適当と認めた場合

(社内手続)
第7条 本制度の適用を希望する者を再入社候補者として受け入れる場合、所属長は人事担当部門に申し出るものとする。
2 人事担当部門は、対象者の勤続年数、退職理由、再入社後の配属予定、支給額その他必要事項を確認し、所定の申請書を作成のうえ、会社の承認を受けるものとする。
3 おかえり感謝支度金の支給決定後は、人事担当部門が給与担当部門へ通知し、所定の支給手続を行うものとする。
4 制度の運用に必要な申請様式、承認手続その他の細目は、別に定める。

(制度の見直し)
第8条 会社は、社会情勢、採用状況、制度運用状況その他必要に応じ、本制度の内容を見直すことがある。

(主管部門)
第9条 本規程の主管部門は、人事担当部門とする。

(附則)
第10条 本規程は、令和◯年◯月◯日より施行する。

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代表社員 坂本直紀の紹介

坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員

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