
【概要】
あるデジタルマーケティング支援会社では、社内で感謝や称賛のポイントを贈りあう制度を導入しています。具体的には、次の内容が特徴的です。
1.制度名は「You Are The One」です。「〇〇してくれてありがとうございます!」、「〇〇達成、すごいですね!」などのメッセージを、ポイントとともに相手に贈ります。
2.具体的には、社内の専用プラットフォームを通じて、メンバー一人ひとりに、月1,000ポイントが付与されます。毎月その中から、相手へ贈るポイント数を、都度任意で決めていきます。贈られたポイントは、半期に一度、”ピアボーナス”として給与に反映されます。
【意見・感想・解説】
今回は、感謝や称賛のポイントを贈りあう制度を取り上げました。いわゆる”サンクスカード”のデジタル版ですね。
こうして、感謝のメッセージがたくさん届けば嬉しくなるものです。モチベーションも上がります。
さて、こうした制度はメリットばかりのように感じますが、以下の点も留意しておくとよいでしょう。
1.贈る相手は偏らないこと
特定の人ばかり集中し、一方で、全く感謝のメッセージが贈られてこない人がいると、逆にギスギスしてしまいます。職場の管理者は、社員全員が感謝のメッセージが届くように気を配っておく必要があるといえるでしょう。
2.贈られる人だけではなく、贈る人にもメリットを与えること
今回は、ポイントを付与された人がメリットを受ける仕組みですが、ポイントを付与する人もメリットが得られるようにするとよいでしょう。褒めるということは、相手の長所をみつけて、高く評価することです。そして、褒められた人は、自信につながりますから、そうしたきっかけをつくった人も高く評価されるべきです。
今回の事例を踏まえ、会社(社長)から社員へのメッセージおよび規程例を作成しました。ご参考ください。
会社から社員へのメッセージ例
社員の皆様へ
いつもそれぞれの持ち場で力を尽くしてくださり、心より感謝申し上げます。
会社は、日々の成果だけでなく、皆様一人ひとりの誠実な取り組み、仲間を思いやる姿勢、そして職場をより良くしようとする行動に、深い価値を感じています。私たちは、会社の成長は社員の皆様の力によって支えられていると考えており、社員の皆様こそが会社にとって何より大切な存在です。
仕事は、一人だけで成り立つものではありません。誰かの支え、協力、気配り、挑戦が積み重なって、はじめて大きな成果につながります。だからこそ、日々の「ありがとう」や「助かりました」「素晴らしい取り組みでした」という気持ちを、きちんと伝え合える職場であることは、とても大切です。
当社が社内感謝・称賛ポイント制度を導入するのは、単にポイントを贈り合うためではありません。社員同士が互いの良い行動や努力に目を向け、認め合い、励まし合える風土を育てるためです。そしてその積み重ねが、安心して働ける環境づくりにつながり、「この会社で長く働きたい」と思える職場をつくっていくと、私たちは信じています。
皆様には、日々の業務の中で感じた感謝や称賛を、ぜひ言葉にして届けていただきたいと思います。大きな成果だけでなく、小さな気配りや地道な努力にも目を向け、互いを尊重し合う文化を一緒につくっていきましょう。
会社は、これからも社員の皆様が安心して働き続けられる環境づくりに努めてまいります。頑張る人が報われること、仲間を大切にする人が大切にされること、そして一人ひとりが自分らしく力を発揮できることを、会社として真剣に支えていきます。
皆様がこの会社で働くことに誇りを持ち、将来にわたって安心して活躍できるよう、私たちはこれからも社員の皆様を大切にし続けます。今後とも、互いに感謝と敬意を持ちながら、より良い職場をともにつくっていきましょう。
代表取締役社長〇〇〇〇
社内感謝・称賛ポイント制度規程例
(目的)
第1条 本規程は、社員同士が感謝および称賛の気持ちをメッセージとポイントにより伝え合う制度を定めることにより、相互尊重の風土を醸成し、社員の意欲向上および組織活性化を図ることを目的とする。
(制度名)
第2条 本制度の名称は、「You Are The One」とする。
(適用対象)
第3条 本規程は、会社が適用を認める全社員に適用する。
2.会社は、雇用形態、役職、所属その他の事情を考慮し、対象者の範囲を別に定めることができる。
(制度内容)
第4条 本制度は、社員が他の社員に対し、感謝、称賛、ねぎらいまたは成果に対する評価のメッセージを、ポイントとともに社内の専用プラットフォームを通じて送る制度とする。
2.メッセージの内容は、業務上の協力、成果達成、周囲への貢献、模範的行動その他会社が本制度の趣旨に合致すると認める内容とする。
(ポイントの付与)
第5条 会社は、本制度の対象となる各社員に対し、毎月1,000ポイントを付与する。
2.付与されたポイントは、当月内において他の社員へ任意の数を送ることができる。
3.月ごとの未使用ポイントの取扱いについては、会社が別に定める運用ルールによるものとする。
(ポイントの送付方法)
第6条 社員は、社内の専用プラットフォーム上で、送付先社員、メッセージ内容および送付ポイント数を入力し、ポイントを送付するものとする。
2.ポイントの送付は、業務に関連する事実または行動に基づき、誠実かつ公平に行わなければならない。
3.会社は、制度の適正運用のため、必要に応じてメッセージ内容およびポイント送付状況を確認することができる。
(受領ポイントの取扱い)
第7条 社員が受領したポイントは、半期に一度、会社の定める基準に基づき、ピアボーナスとして給与に反映する。
2.給与への反映時期、換算方法、支給方法その他必要事項は、会社が別に定める。
3.受領ポイントが給与へ反映される場合は、賃金として関係法令および会社の給与規程に従い取り扱うものとする。
(適正利用)
第8条 社員は、本制度を会社の目的に沿って適正に利用しなければならない。
2.次の各号に掲げる行為をしてはならない。
1.私的な見返りを目的としてポイントを送付し、または受領すること。
2.特定の社員に対し不合理にポイントを集中させ、または排除すること。
3.談合、交換条件その他不適切な合意に基づきポイントを送付すること。
4.虚偽または不適切な内容のメッセージを投稿すること。
5.その他本制度の趣旨を損なう行為をすること。
(管理者の責務)
第9条 所属長その他会社が指定する管理者は、本制度が特定の社員に偏ることなく、職場全体の相互承認を促進するよう運用状況を把握し、必要な助言または指導を行うものとする。
2.管理者は、感謝や称賛の機会が著しく偏在しないよう配慮し、全社員が前向きに参加できる職場環境の整備に努めるものとする。
(送付者の評価)
第10条 会社は、ポイントを受領した社員のみならず、他の社員の良い行動や成果を見つけ、積極的に称賛した社員についても、その姿勢および行動を評価の参考とすることがある。
2.前項の具体的な評価方法は、会社が別に定める人事評価制度その他の運用基準によるものとする。
(社内手続き)
第11条 本制度の導入、変更、停止または廃止を行う場合は、会社がその内容を定め、必要に応じて社員に周知するものとする。
2.社員は、本制度の利用に当たり、会社が定める利用方法、申請方法、確認方法その他の社内手続きに従わなければならない。
3.ポイントの付与漏れ、誤送付、操作誤りその他運用上の問題が生じた場合は、社員は速やかに所属長または会社が指定する担当部門へ申し出るものとする。
4.会社は、前項の申出内容を確認し、必要に応じて訂正その他の対応を行うものとする。
(個人情報等の取扱い)
第12条 会社は、本制度の運用に伴い取得する社員情報、送受信履歴その他の情報を、制度運用、給与反映、分析および職場環境改善の目的の範囲内で利用するものとする。
2.会社および社員は、本制度の運用を通じて知り得た他の社員に関する情報について、適切に取り扱わなければならない。
(委任)
第13条 本規程に定めのない事項および本規程の施行に必要な事項は、会社が別に定める。
(附則)
第14条 本規程は、令和◯年◯月◯日より施行する。
顧問契約サービスのご案内
感謝や称賛を伝え合う制度は、職場の一体感や前向きなコミュニケーションを育てるうえで有効です。一方で、運用方法を誤ると、ポイント付与の偏り、不公平感、評価制度との整合性、賃金としての取扱いなど、思わぬトラブルにつながることもあります。
そのため、制度の導入時にはもちろん、導入後も継続的に運用状況を確認し、トラブルの予防を図ることが重要です。万一、社員間の不満や制度運用上の問題が生じた場合にも、事後に適切かつ迅速な対応を行うことで、職場の信頼関係を守りやすくなります。
また、社員同士が感謝や称賛を伝え合える職場は、安心感や働きがいを高め、優秀な人材の確保及び定着にもつながります。人材採用が難しい時代だからこそ、制度を整えるだけでなく、社員が安心して長く働ける職場環境をつくることが、企業経営においてますます重要になっています。
顧問契約では、こうした制度設計・規程整備・運用上の留意点について、貴社の実情に応じて具体的に助言いたします。人事労務の課題を日常的に相談できる体制を整えることで、問題の未然防止と、より良い職場づくりを力強くサポートいたします。
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代表社員 坂本直紀の紹介
坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員
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