出産後に育休から復職を拒否され解雇された女性保育士が、マタハラによる解雇無効を訴え、東京高裁で解雇無効と判断されたことを示すイラスト
出産後の育休中に復職を拒否され解雇を告げられた女性保育士が、東京高裁で解雇無効とマタハラを認められた経緯を描いた漫画
育休中の女性保育士が復職を拒否され解雇された事案で、東京高裁は解雇を無効とし、マタハラに当たるとして慰謝料30万円などの支払いを命じました。

【概要】

女性保育士が出産後に、勤務先の保育園を解雇されました。これは「マタハラに当たる」などとして、女性保育士は保育園を運営する社会福祉法人を相手取り、解雇無効などを求めました。そして、東京高裁で控訴審判決がなされました。具体的には、次の内容が特徴的です。

1.一審に続き、高裁は解雇を「無効」としました。と同時に法人に、慰謝料30万円などの支払いを命じました。

2.育休中だった女性は復職を拒否され、子どもが1歳になる直前に解雇されています。

3.法人側は、「女性が園長に不適切な言動を繰り返したため、解雇した」などと主張しました。しかし高裁では、「解雇に相当する問題行動と評価するのは困難」と指摘しました。その上で、今回の解雇は、男女雇用機会均等法にも違反すると判断しました。

【意見・感想・解説】

今回は、マタハラに関して争われた事件について取り上げました。女性は解雇されたということですが、解雇が認められるにはハードルがあります。

そもそも、男女雇用機会均等法では、解雇について、次の通り規定しています。
(婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等)
第九条
4  妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。
ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない

今回は、この規定に該当するか否かが争点でしたが、労働契約法の規定もあり、解雇はなかなか認めれられないのが、我が国の現状です。そもそも産前産後休業、育児休業中といった労働義務が免除されている期間に解雇理由が発生するというのは、なかなか想像がつきません。正直、法人側の主張が認められることは厳しい面があるといえます。

近年、行政においてはハラスメント対策は、強化されており、さらに育児は法改正も予定されています。かかる状況下ですから、育児を行う社員に対して不当な扱いを行うことがないよう、注意する必要があります。

ハラスメント対策研修のご案内

妊娠・出産・育児休業等を理由とする不利益取扱いは、企業・法人にとって重大な法的リスクとなります。特に、復職拒否や解雇、配置転換、降格、嫌がらせなどは、マタニティハラスメントとして問題となる可能性があり、管理職や人事担当者には正しい知識と慎重な対応が求められます。

ハラスメント対策では、「知らなかった」「そのつもりはなかった」では済まされない場面があります。法令の理解だけでなく、現場で起こりやすい言動や対応ミスを具体的に学び、職場全体で予防に取り組むことが重要です。

坂本直紀の研修では、パワハラ・セクハラ・マタハラ・育児休業等に関するハラスメントをはじめ、管理職が押さえるべき実務上の注意点を、事例を交えながらわかりやすく解説します。ハラスメントのない職場づくりに向けて、ぜひ研修の実施をご検討ください。

 

ハラスメント対策研修例(管理職向け)

(1)ハラスメントによるリスク
(2)セクシュアルハラスメントとは
(3)パワーハラスメントとは
(4)妊娠、出産、育児休業等のハラスメントとは
(5)カスタマーハラスメントとは
(6)ハラスメントと労災
(7)ハラスメントをしないために
(8)怒りの感情コントロール
(9)適切な指導
(10)相談対応上の留意点
(11)ハラスメントを受けた場合
(12)ハラスメント防止規程解説
(13)職場内コミュニケーション
(14)グループワーク
(15)まとめ
一緒にハラスメントのない職場づくりを目指しましょう。

 

研修講師:坂本直紀の紹介

坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員
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