
【概要】
IT関連会社から子会社の食品会社に出向中の男性が自殺しました。男性の両親が、両社や両社で社長を兼ねる男性に約1億円の損害賠償を求めた訴訟があり、東京地裁は自殺との因果関係を認め、2つの会社とその代表に約6,000万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。具体的には、次の内容が特徴的です。
1.判決では、男性は2011年10月に出向し、商品管理など経験のない業務を担当しました。その後、精神障害を発症し、2011年12月に自殺しました。
2.死亡1か月前の時間外労働は約186時間に上りました。
3.裁判官は、「月170時間以上の時間外勤務が2か月続いて消耗していた」として過労による自殺と認めました。そのうえで「会社の代表や直属の上司は男性の労働時間を把握していなかった」などと指摘しました。
4.弁護団によりますと、出向元の賠償責任を認めた判決は初めてということです。
【意見・感想・解説】
今回は、過労自殺に関する訴訟を取り上げました。
まず、月に約186時間もの時間外労働は、さすがに問題です。会社としては、労働時間を適正に把握する義務があり、また、社員に対する安全配慮義務を有しています。過労ともなれば、このように精神障害に罹患し自殺念慮が生じ、自殺してしまうリスクが生じます。
労働時間を適正に管理し、残業を抑制し、過労という問題が生じないように適切に対応する必要があります。
そして、今回のケースで、特徴的なのは出向元にも責任を認めたことです。在籍出向の場合は、確かに出向元と出向先で雇用関係が成立しますが、安全衛生の場合は、一般的には出向先での就業規則が適用されますので、出向元にまで、責任が及ぶとした判決は、インパクトがあります。
従って、在籍出向の場合は、出向元が出向社員の状況を管理することが求められていることを示唆している面があります。
あくまでも地裁の判断ですので、スタンダードと言えませんが、確かに過労については、司法、行政いずれも厳しく対応する傾向が出ていますので、出向社員の安全配慮については出向元においても、ある程度状況を把握しておいた方が適切であると考えます。
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