
【概要】
裁量労働制で働き、心疾患で死亡した社員について、東京・三田労働基準監督署が過労死として労災認定しました。具体的には、次の内容が特徴的です。
1.この社員は、市場の動向を分析し、ネットを通して顧客にリポートを発信していました。勤務実態は、午前3時ごろに起床して海外市場の動向を分析し、午前6時ごろに出社していました。1日のリポート数は午後5時半までに30を超えていました。早朝出勤しているにもかかわらず「他の従業員より早く帰るな」と注意されたり、高熱でも出勤を命じられたりしていました。
2.遺族側は調査し、発症前1カ月の残業を133時間、発症前2~6カ月の平均残業時間を108時間と判断して、
労基署に労災認定を申請し、労災認定されました。
3.遺族側は会社側に損害賠償を求める訴訟を準備しています。
【意見・感想・解説】
今回は、裁量労働制で勤務していた社員が、過労死で労災認定された事件を取り上げました。
裁量労働でありながら、過労死の労災認定がなされるのは、異例のケースです。
ただ、勤務実態をみますと、本人に時間配分等の裁量があったとは疑わしい面があり、裁量労働制として、適切に対応していなかった可能性があります。従って、今後は、過労死による安全配慮義務違反の損害賠償請求とともに、裁量労働制が不適切とし、残業代の未払い請求について、訴訟を提起するかもしれません。
実際に訴訟を準備しているようですので、今後の動向が注目されます。
さて、裁量労働制であっても、当然のことですが社員の健康管理はとても重要です。
そもそも、裁量労働制を用いる場合は、社員の勤務状況に応じて健康及び福祉を確保するための措置を行うことが求められています。今回の事件のように、社員が過労死になるようでしたら、こうした措置が不十分であったといわれても仕方がありません。勿論、安全配慮義務の観点からも問題があります。
社員は会社の宝です。
会社としては、社員の健康にできる限り配慮し、こうした過労死という問題が生じないように、適切に対応する必要があります。









