育児休業後に正社員から契約社員への転換を迫られた女性英語講師が、マタハラと雇い止めの違法性をめぐり会社を提訴したイメージ
保育園が見つからず育休延長を希望した女性社員が、契約社員への転換や雇い止めを迫られるマタハラ事例の漫画
育児休業後に正社員復帰を認められず、契約社員への転換や雇い止めを受けた女性社員の事例を描いた漫画。

【概要】

ある語学学校で勤務していた社員が、育児休業後に正社員から契約社員になることを迫られ、1年後に雇い止めにされました。そして、マタハラであり違法として、会社を被告とし、正社員の地位確認や慰謝料330万円等を求めて東京地裁に提訴しました。具体的には、次の内容が特徴的です。

1.女性は2008年に入社し、語学学校の英語講師として勤務しました。2013年3月に長女を出産し、14年9月に育休期間を終了しました。保育園が見つからなかったため休職を申し出ましたが、認められず、週3日の契約社員になるか、自主退職することを迫られました。

2.契約社員になったのは正社員への復帰が前提だったのに、正社員への復帰を拒否され、契約期間が満了した今年9月に雇い止めにされました。

【意見・感想・解説】

今回のケースは、育児休業後に正社員から契約社員になることを迫られ、1年後に雇い止めにされたことを不服として、訴訟になりました。

この会社の就業規則をみないと明確に判断できませんが、育児・介護休業法上では、保育所が見つからない等の特別の事情がある場合は、1年6ヵ月まで、育児休業を認めています。いいかえれば、法律を上回る制度を導入していない限りは、1年6か月で育児休業から復職できなければ、基本的にはそれ以上の育児休業を認める必要はありません。

このマタハラ訴訟における契約社員への転換は、出産後1年6ヵ月後の対応となりますので、会社側も反論の余地があるようにも思えます。今後の動向が注目されます。

また、こうしたケースでトラブルを防ぐには、会社側は、子が3歳未満であれば、短時間勤務や時間外労働の制限が法律上認められていますので、こうした制度について社員に説明することが必要になります。そうした制度を活用するのであれば、正社員としての地位を維持できます。

今回は契約社員に転換して勤務していたということです。契約社員の就業形態が週3日であり、1日の勤務時間の長さはわからないので明確には判断できませんが、もし、「短時間で残業なし」を前提として勤務するという判断がなされれば、正社員として勤務し続けたかもしれません。こうした点がきちんと対応できていたかも、裁判では判断されるかもしれません。

いずれにしても、今回のように、契約社員転換を継続勤務の条件とし、その後、すぐに雇止めされたのでは、確かに納得いかない面が出てくるでしょう。

人は感情で動きます。

仮に、法的にきちんと対応していたとしても、このような対応をしては会社に対して、「怒り」や「憎しみ」の感情が芽生えても不思議ではありません。特に、社員の退職をめぐる問題は、誠実かつ丁寧に対応する必要があります。