
【概要】
労働者が、経費を不正請求すれば、会社に経済的損害を与えることにつながります。
そして、一般的には、経費の不正請求は「詐欺罪」に該当します。
<刑法>
(詐欺)
第246条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
こうした不正行為については、懲戒処分の対象になります。
一方で、懲戒処分は罪刑法定主義が適用されるため、就業規則に懲戒事由を明記しておく必要があります。
不正請求に関する懲戒事由の規定例は、以下の通りです。
<就業規則規定例>
●業務上の報告等を偽り、会社に対して重大な損害・影響を及ぼした場合
●社内において傷害、窃盗、横領、詐欺等、刑法犯に該当する行為があった場合 等
また、悪質な場合は、懲戒解雇が認められる場合があります。
以下は、虚偽の申請を行い、業務とは何ら関連のないタイ国へ旅行したり、取引先負担でウィークリーマンションを手配させて宿泊したにもかかわらず、会社へ宿泊費を請求したことにより、懲戒解雇が認められた裁判例です。
<裁判例>
原告Xの一連の行為(工事代金の架空請求等による詐欺。虚偽申請のうえでの海外旅行、宿泊費の不正請求)は、いずれも刑事上の犯罪を構成するか、それに匹敵するものである。
職務外における私的な素行言動が大きく会社の信用を失墜させ、または不利益を及ぼした場合等に該当することが明らかである。
そして、本件懲戒解雇を無効というべき証拠はないから、原告Xの本訴請求はいずれも理由がない。
(ダイフク事件 東京地裁 平成22年11月9日)
【意見・感想・解説】
経費の不正請求は、会社に直接的な損害を与えるだけでなく、労使間の信頼関係を大きく損なう行為です。実際に不正が発生した際に適切な懲戒処分を行えるよう、就業規則に具体的な懲戒事由を定めておくことが重要です。
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坂本 直紀(さかもと なおき)
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