介護職員が昼食中に利用者から呼びかけられる様子を描いたイラスト。休憩時間の実態に関する労基法違反の疑い。
昼食中の介護職員が利用者からの呼びかけに応じて手伝いに向かう様子を描いた漫画。休憩時間が実質的に確保されていない問題を表現。
昼休憩中にも関わらず、利用者からの「手伝って!」に応じる介護職員。これは本当に休憩と言えるのか?

【概要】

福岡・北九州西労働基準監督署は、ある介護事業会社を労働基準法違反の疑いで書類送検しました。今回のポイントは、休憩時間の取り扱いに関するものです。

1.労働時間が8時間を超える労働者に対し、1時間以上の休憩を与えなかったとして、労働基準法第34条(休憩)違反が疑われています。

2.会社側は、昼休憩として「1時間」を設定していました。しかし実際には、労働者は利用者の様子を見渡せるスタッフステーションで昼食をとる形となっていました。

3.労基署は、この状況を「休憩」ではなく、呼び出しに備えて待機する「手待ち時間」と判断しました。実際、利用者から着替えの補助などで呼ばれれば、その都度対応する必要があったためです。

4.いわゆる形式的な休憩設定ではなく、「実質的に労務から解放されていたかどうか」が問われました。

【意見・感想・解説】

今回の送検は、「休憩は“形式”ではなく“実態”で判断される」という労働基準法の原則を改めて示した事案です。

たとえ1時間の休憩を設定していても、利用者の見守りをしながら食事をとる状況では、法律上の休憩とは認められないとされています。

正直、人手不足が深刻な現場にとっては厳しい判断と言えます。

介護業界は慢性的な人員不足のため、休憩中でもスタッフステーションに“誰かがいなければならない”という状況が生じやすく、実質的に休憩が確保しにくい職場が多いと考えられます。

そのため現場では、「利用者対応」や「見守り体制」が必須となり、結果として職員同士の休憩時間が重なってしまうなど、運用面での課題も懸念されます。

対策としては、

・休憩中の“代替担当”を事前に決めるシフト運用

・業務分担の見直し

・短時間パートを活用した休憩時間の補完

などが挙げられます。

いずれにしても、休憩に関する送検事例が実際に出ている状況ですので、注意が必要です。

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代表社員 坂本直紀の紹介

坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員
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