
【概要】
あるブライダル大手の会社では、社員の奨学金返済を肩代わりを行っています。具体的には、次の内容が特徴的です。
1.制度名は「奨学金返済支援制度」です。勤続年数 5 年と 10 年の節目それぞれで、社員が抱える奨学金の未返済分(残余額)に対して、最大 100 万円(計 200 万円)を支給する制度です。
2.職場環境の向上、優秀な学生の確保、社員のモチベーションアップ、長期雇用促進を目的としています。
3.制度開始から5年間で63人が受給。当初予定の半分の期間で完済した社員からは、感謝の声があがっています。
【意見・感想・解説】
今回は、社員の奨学金返済を肩代わりする取り組みを取り上げました。
学生時代における、それぞれの家庭の事情は異なります。そのため、家庭が財政的に厳しい状況にあり、奨学金の返済に苦しんでいる社員を会社がサポートするのは、とても好感がもてます。
中には、不公平感を感じる社員もいるかもしれませんが、育った家庭環境によるところが大きいので、温かくみていただければと思います。
また、勤続年数が5年、10年としているのもポイントです。ある程度の長期雇用を前提とし、会社への貢献度が認められる社員を対象にするという面があります。
少子化で労働力人口が不足する中、こうした対応を打ち出していくことも採用面では有効と考えます。
今回の事例を踏まえ、会社(社長)から社員へのメッセージおよび規程例を作成しました。ご参考ください。
会社から社員へのメッセージ例
社員の皆様へ
いつもそれぞれの持ち場で力を尽くしてくださり、心より感謝申し上げます。
会社は、日々懸命に働いてくださる社員の皆様一人ひとりを、何より大切な存在だと考えています。私たちの事業は、社員の皆様の努力、誠実さ、そしてお客様や仲間を思いやる気持ちによって支えられています。会社の成長は、社員の皆様の頑張りがあってこそ成り立つものです。
一方で、仕事に真剣に向き合いながらも、学生時代の奨学金返済という負担を抱えている方がいることも、会社としてしっかり受け止めています。育ってきた環境や事情は一人ひとり異なります。だからこそ会社は、そうした背景も含めて社員を支え、少しでも安心して働き続けられる環境を整えることが大切だと考えています。
このような思いから、当社では奨学金返済支援制度を設けています。勤続5年で最大100万円、勤続10年で最大100万円、合計で最大200万円を支援することで、社員の皆様の将来設計や生活の安定に少しでも役立てていただきたいと願っています。
この制度には、単なる福利厚生ではない、会社としての明確なメッセージを込めています。それは、「社員の皆様に安心して長く働いてほしい」「会社は皆様の人生に寄り添い、支えていきたい」ということです。目の前の仕事だけでなく、その先の人生まで見据えて支援することが、これからの会社にとって必要な責任であると考えています。
会社は、社員の皆様がここで働いてよかった、この会社なら安心して将来を託せる、と感じられる職場づくりをこれからも進めてまいります。そして、皆様にもぜひ、仲間とともに力を合わせながら、この会社で長く活躍していただきたいと願っています。
今後とも、ともにより良い未来を築いていきましょう。
代表取締役社長〇〇〇〇
奨学金返済支援制度規程例
(目的)
第1条 本規程は、社員の奨学金返済に係る経済的負担を軽減し、職場環境の向上、優秀な人材の確保、社員のモチベーション向上および長期雇用の促進を図るため、奨学金返済支援制度に関する必要事項を定めるものとする。
(適用範囲)
第2条 本規程は、会社に勤務する社員のうち、会社が適当と認めた者に適用する。
2.前項の社員には、正社員のほか、会社が必要と認めた契約社員等を含めることがある。
3.休職中その他勤務実態がない期間の取扱いについては、別に定めるところによる。
(制度の内容)
第3条 本制度は、社員本人が返済義務を負う奨学金の未返済分(以下「残余額」という。)に対し、勤続年数5年および10年の節目において、会社が返済支援金を支給する制度とする。
2.5年勤務時の支援額は、残余額の範囲内で最大100万円とする。
3.10年勤務時の支援額は、残余額の範囲内で最大100万円とする。
4.前2項に基づく支援額の総額は、1人につき最大200万円とする。
(対象となる奨学金)
第4条 本制度の対象となる奨学金は、社員本人が学生時代に借り入れ、現に返済義務を負っているものとする。
2.教育ローンその他これに類する債務については、会社が特に認めた場合を除き、本制度の対象外とする。
3.対象となる奨学金の範囲、必要書類その他詳細は、別途会社が定める。
(受給資格)
第5条 本制度の支給を受けることができる者は、次の各号の要件をすべて満たす者とする。
1.支給基準日において継続して在籍していること。
2.勤続年数が5年または10年に達していること。
3.対象となる奨学金の残余額があること。
4.会社に対し、所定の申請書類を提出し、承認を受けていること。
5.懲戒処分中その他会社が不適当と認める事情がないこと。
(勤続年数の計算)
第6条 勤続年数は、入社日から起算し、会社の定める方法により計算する。
2.休職、欠勤その他の期間がある場合の勤続年数への算入の可否は、会社が個別に判断する。
(支給額の決定)
第7条 支給額は、社員が提出した奨学金残高証明書、返済予定表その他会社が必要と認める資料に基づき決定する。
2.支給額は、各支給時点における残余額を超えないものとする。
3.会社は、提出書類の内容を確認のうえ、必要に応じて追加資料の提出を求めることができる。
(申請手続)
第8条 本制度の適用を受けようとする社員は、会社所定の申請書に次の書類を添えて、会社が指定する期日までに申請しなければならない。
1.奨学金の返済状況または残高を証する書類
2.本人確認書類その他会社が必要と認める書類
3.前各号のほか、会社が指定する書類
2.申請に不備がある場合、会社は相当の期限を定めて補正を求めることができる。
3.社員が正当な理由なく補正に応じない場合、会社は申請を受理しないことがある。
(社内手続)
第9条 本制度の運用に関する社内手続は、次のとおりとする。
1.申請の受付は人事担当部門が行う。
2.人事担当部門は、提出書類の内容確認および受給資格の審査を行う。
3.必要に応じて、経理担当部門その他関係部門が内容確認を行う。
4.最終的な支給の可否および支給額は、会社が決裁する。
5.決裁後、人事担当部門は申請者に対して結果を通知する。
6.支給に関する記録は、会社所定の方法により保存する。
(支給方法)
第10条 会社は、支援対象となる奨学金について、原則として日本学生支援機構その他の奨学金返還先に対し、社員に代わって直接返還する方法により支援する。
(不支給および支給取消し)
第11条 社員が次の各号のいずれかに該当する場合、会社は支援金を支給せず、または支給決定を取り消すことができる。
1.申請内容に虚偽または不正があったとき。
2.必要書類を提出しないとき。
3.支給日以前に退職したとき。
4.その他会社が本制度の趣旨に照らして不適当と認めたとき。
2.前項により支給決定を取り消した場合において、すでに支給済みの金員があるときは、会社はその返還を求めることができる。
(制度の見直し)
第12条 会社は、社会情勢、採用環境、社員のニーズおよび会社の経営状況等を踏まえ、必要に応じて本制度の内容を見直すことができる。
2.会社は、制度を改廃する場合、社員に対して事前に周知するものとする。
(補則)
第13条 本規程に定めのない事項については、就業規則その他会社の定める諸規程による。
2.本規程の運用に関し必要な事項は、会社が別に定める。
(附則)
第14条 本規程は、令和◯年◯月◯日より施行する。
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代表社員 坂本直紀の紹介
坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員
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