
【概要】
ある製薬会社では、「さん付け呼称」を推進しています。具体的には、次の内容が特徴的です。
1.「権力を振りかざして威張っても何も生み出せない」との考えから、現会長が1995年に導入しました。「今日から私も『●●さん』です」のキャッチフレーズで社内に浸透させました。
2.ちなみに●●姓が多いため、会長はKさん、社長はAさんと、それぞれの名前のイニシャルで呼んでいます。
【意見・感想・解説】
今回は、「さん付け呼称」について取り上げました。
まずは、「相手の名前を覚えて名前を言う」が基本です。決して、相手の嫌がる名前をつけて呼んだりしてはいけません。
そして、今回のように役職に関係なく、『●●さん』という呼び方は、とても好感が持てます。職場内の心理的距離が近づきますね。
声もかけやすくなると思います。とても参考になる事例です。
今回の事例を踏まえ、会社(社長)から社員へのメッセージおよび規程例を作成しました。ご参考ください。
会社から社員へのメッセージ例
社員の皆様へ
いつもそれぞれの持ち場で力を尽くしてくださり、心より感謝しています。
会社は、日々の成果だけでなく、皆様一人ひとりの存在そのものを大切にしています。職場は、ただ仕事をする場所ではありません。互いに尊重し合い、安心して声をかけ合い、自分らしく力を発揮できる場所であってほしいと、私たちは考えています。
そのために、当社では役職や立場にとらわれすぎず、互いを「さん付け」で呼び合う文化を大切にしていきます。名前を呼ぶことは、相手を一人の人格として尊重することの第一歩です。肩書ではなく、人として向き合うことが、風通しのよい職場、相談しやすい職場、働き続けたいと思える職場づくりにつながると信じています。
上司だから偉い、部下だから遠慮する、そのような関係ではなく、立場は違っても互いに敬意を持って接することのできる会社でありたいと思います。何気ない呼びかけひとつが、安心感を生み、信頼関係を育て、チームワークを強くしていきます。
これからも、一人ひとりを尊重し合いながら、皆様とともによりよい会社を築いていきたいと考えています。どうか安心して力を発揮し、遠慮なく声を届けてください。会社は、これからも皆様を大切にし続けます。
代表取締役社長〇〇〇〇
さん付け呼称制度規程例
(目的)
第1条 本規程は、社員同士が互いの人格を尊重し、円滑なコミュニケーションを促進するとともに、役職や立場にかかわらず対等で良好な職場関係を築くため、社内における呼称の取扱いについて定めることを目的とする。
(適用範囲)
第2条 本規程は、当社の役員、正社員、契約社員、パートタイマー、アルバイトその他当社の業務に従事するすべての者に適用する。
(基本原則)
第3条 社員は、相手の人格および個性を尊重し、社内においては原則として相手の氏名に「さん」を付して呼称するものとする。
2.呼称の運用にあたっては、相手に不快感や不利益を与えるあだ名、蔑称その他不適切な呼び方をしてはならない。
3.役職名のみを用いた呼称その他相手との心理的距離を不必要に広げる呼称については、業務上特に必要な場合を除き、常用しないものとする。
(イニシャル呼称の取扱い)
第4条 同一の姓の者が複数在籍している場合その他業務上識別の必要がある場合には、本人の意思を確認のうえ、氏名のイニシャルに「さん」を付した呼称を用いることができる。
2.前項の呼称は、相手の人格を尊重し、親しみと敬意を損なわない範囲で使用するものとする。
3.イニシャル呼称を使用する場合であっても、本人が希望しないときはこれを強制してはならない。
(禁止事項)
第5条 社員は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
1.相手が嫌悪感を抱く名称、あだ名その他不適切な呼称を用いること。
2.役職、年齢、性別、雇用形態その他の属性を理由として、威圧的または差別的な呼称を用いること。
3.呼称を通じて相手を侮辱し、排除し、または職場環境を害すること。
4.本規程の趣旨に反し、呼称を利用してハラスメントに該当する行為を行うこと。
(管理監督者の責務)
第6条 管理監督者は、本規程の趣旨を理解し、自ら模範となって適切な呼称を実践するとともに、職場内における円滑な運用に努めなければならない。
2.管理監督者は、呼称に関する問題が生じた場合には、速やかに事実確認を行い、必要な指導、助言その他の対応を行うものとする。
(社内手続き)
第7条 社員は、自身の呼ばれ方について希望がある場合には、所属長または人事担当部門に申し出ることができる。
2.所属長または人事担当部門は、前項の申出を受けたときは、本人の意思を尊重し、必要に応じて所属部署内へ周知するものとする。
3.呼称に関して不適切な事案が発生した場合には、社員は所属長、人事担当部門または当社が別に定める相談窓口に相談し、または申告することができる。
4.会社は、前項の相談または申告があった場合には、関係者への確認その他必要な調査を行い、改善に向けた措置を講ずるものとする。
5.会社は、相談または申告を行ったことを理由として、当該社員に不利益な取扱いをしてはならない。
(教育および周知)
第8条 会社は、本規程の趣旨および適切な呼称の重要性について、必要に応じて研修、会議、掲示その他の方法により社員へ周知するものとする。
2.社員は、会社が実施する前項の周知または研修に協力するものとする。
(見直し)
第9条 会社は、職場環境の変化、社員の意見その他の事情を踏まえ、必要に応じて本規程の内容を見直すものとする。
(附則)
第10条 本規程は、令和◯年◯月◯日より施行する。
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代表社員 坂本直紀の紹介
坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員
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