家族時短制度を表すイラスト。育児、介護、ペットの世話、同居人のケガの付き添いなど、多様な家族を支える柔軟な短時間勤務制度を紹介。
家族時短制度の利用条件を説明する漫画イラスト。育児・介護に加え、猫や金魚などのペットの世話、けがをした同居の友人への付き添いにも使える柔軟な時短勤務制度を紹介。
社員が「家族」と考える相手であれば、子どもや親の介護だけでなく、ペットや同居人のサポートにも利用できる家族時短制度。

【概要】

あるECアパレル企業では、「家族時短制度」を設けています。具体的には、次の内容が特徴的です。

1.育児や介護はもちろんのこと、ペットや同居人など社員が「家族」と認識する人やペットのサポートが必要な場合は、1日最大2時間の時短利用を可能とします。

2.時短は、30分単位から利用できます。

3.動物でも種類の制限を決めておらず、魚なども可としています。

また、「部屋をシェアしている友人がケガをして通勤が大変だから付き添う」ということでも、家族というくくりに入れば利用可となります。

【意見・感想・解説】

今回は、家族時短制度を取り上げました。

動物は何でもOK、友人もOKということですので、驚きました。対象の幅が広いので、家族の証明は難しく、悪用しようと思えばできそうですが、まさに性善説での対応ですね。とても素晴らしいです。

もしかしたら悪用する社員が出てくるかもしれませんが、基本的にほとんどの社員は善人だと思います。

したがって、会社としては、悪用する社員に目を向けるのではなく、多くの善人である社員に会社への帰属意識を醸成させ、貢献意欲を高めてもらうことを心掛ける必要があります。人事労務管理で、重要かつ心がけていくべきことと考えます。

今回の事例を踏まえ、会社(社長)から社員へのメッセージおよび規程例を作成しました。ご参考ください。

会社から社員へのメッセージ例

社員の皆様へ

当社は、社員一人ひとりの人生や日々の暮らしを、かけがえのない大切なものだと考えています。会社にとって最も重要な財産は、他でもない皆様自身です。毎日それぞれの持ち場で力を尽くし、会社を支えてくださっていることに、心より感謝しています。

仕事に真剣に向き合うためには、安心して働ける環境が必要です。しかし、人生には育児や介護だけでなく、ペットの世話、同居している方の支援、身近な大切な存在を支えるために時間が必要になる場面があります。そうした事情は人それぞれであり、どれもその人にとって大切な責任であり、愛情の表れです。

当社は、そのような社員の皆様の現実にしっかり寄り添いたいと考えています。だからこそ、会社の制度は形式だけで区切るのではなく、「その人にとって大切な存在を支えるために必要な時間」をきちんと認めるものでありたいと思っています。

私たちは、社員の皆様を信頼しています。制度は疑うためにあるのではなく、安心して働き続けてもらうためにあります。誰かの事情に寄り添える会社であることは、そこで働くすべての人にとっての安心につながります。そして、その安心感こそが、長く働きたいという気持ちや、会社への信頼、仲間への思いやりを育てていくものだと信じています。

これからも、社員一人ひとりを大切にする会社として、皆様が「ここで働き続けてよかった」と思える環境づくりに真剣に取り組んでまいります。皆様の存在が、会社の成長の原動力です。今後とも、ともに支え合いながら、より良い会社を築いていきましょう。

代表取締役社長〇〇〇〇

家族時短勤務制度規程例

(目的)
第1条 本規程は、社員が育児・介護に限らず、ペットや同居人等のサポートを必要とする場合に、柔軟な働き方を実現し、仕事と生活の両立を図ることを目的とする。

(定義)
第2条 本規程における「家族」とは、社員が継続的に生活上の関係性を有し、支援が必要と認識する者または動物をいう。
2.前項には、配偶者、子、親族に限らず、同居人、友人、ペット(種類を問わない)を含むものとする。

(適用対象者)
第3条 本規程は、全社員に適用する。

(時短勤務の内容)
第4条 対象社員は、1日あたり最大2時間の範囲で勤務時間を短縮することができる。
2.時短勤務は、30分単位で利用することができる。

(利用事由)
第5条 本制度は、次の各号のいずれかに該当する場合に利用することができる。
1.育児または介護のために支援が必要な場合
2.ペットの世話、通院対応その他の支援が必要な場合
3.同居人、友人その他社員が家族と認識する者について支援が必要な場合
4.前各号のほか、会社が必要と認めた場合

(申請手続)
第6条 本制度を利用しようとする社員は、原則として事前に所定の申請書により上長へ申請し、承認を得なければならない。
2.やむを得ない事情により事前申請が困難な場合は、事後速やかに申請し、承認を得るものとする。

(承認)
第7条 上長は、申請内容および業務運営への影響を確認のうえ、本制度利用の可否を判断するものとする。
2.会社は、制度の適正な運用を図るため、必要に応じて申請内容の確認を行うことがある。

(勤務管理および賃金の取扱い)
第8条 時短勤務を利用した時間についての勤怠管理は、会社所定の方法により行うものとする。
2.時短勤務を利用した時間に対する賃金の取扱いは、賃金規程その他の社内規程の定めるところによる。

(禁止事項)
第9条 社員は、本制度を不正または不適切な目的で利用してはならない。
2.会社は、不正利用が認められた場合には、本制度の利用停止その他必要な措置を講ずることがある。

(社内手続き)
第10条 本制度に関する申請様式、承認フロー、勤怠処理その他必要な事項は、別途社内手続きに定める。
2.社員および管理職は、本制度の趣旨を理解し、円滑な運用に努めなければならない。

(附則)
第11条 本規程は、令和◯年◯月◯日より施行する。

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今回のように、柔軟な制度設計や社員へのメッセージ、実際の規程整備を進める際には、単に制度をつくるだけでなく、運用面まで見据えておくことが重要です。特に、人事労務の分野では、日頃から適切な助言を受けながら制度を整備しておくことで、トラブルの予防につながるだけでなく、万一問題が発生した場合にも、事後に適切かつ迅速な対応を行いやすくなります。

また、社員一人ひとりの事情に配慮した職場づくりを進めることは、安心して働ける環境の整備につながり、優秀な人材の確保及び定着という観点からも大きな意味があります。制度の内容、社内への伝え方、規程への落とし込みまで一貫して整えることが、企業の信頼性向上にも結びつきます。

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代表社員 坂本直紀の紹介

坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員

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