
【概要】
厚生労働省の「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会(第9回)」において、事務局がカスタマーハラスメント事例集を公開しました。
前回は、事例集の前編を、業種別にご紹介しました。今回は、後編をご紹介いたします。
───── 宿泊業、飲食サービス業 ─────
・顧客が宿泊のたびに客室の清掃不備を指摘し、客室のグレードアップや、顧客の前での清掃を要求した。
・自動精算機での事前精算を案内されたことに不満を持った顧客が、従業員に対して大声で「おれは東京の不動産会社の社長だぞ」「お前なんかクビにしてやる」と発言。
・顧客が半額シールの付いた弁当を自身の過失で落とし販売不可能な状態となった。従業員が衛生の観点でその商品は販売できない旨伝えたところ、その商品を販売するか、もしくは他の商品を半額にすることを求め、店内で騒ぎ続けた。
・従業員が顧客にすぐに対応できない場合に、大声をあげて威嚇した。
───── 生活関連サービス業、娯楽業 ─────
・顧客の安全を配慮し、店員が客にサービス(靴の加工)を丁重に断ったところ、フロア全体に響き渡る程の大声で怒鳴り散らす、暴言を吐く、など2時間にわたり威圧的行動を取った。
───── 医療、福祉業 ─────
・利用者が看護師をたたく、つねる、唾をはく、看護師にものを投げる、看護に必要な物品を破損する等した。
・利用者やその家族が看護師に「看護の内容が適切でない」と批判したり、処置やケアに対して「下手くそ」と発言したり、「ばかやろう!」「帰れ!」など大声で怒鳴りつけた。
・看護師が利用者やその家族から、体型や年齢のことをしつこく聞かれたり、卑猥な話を繰り返しされたり、ケアに関係なく身体を触ることを強要されたり、身体の一部を触られたりした。
・看護師が利用者やその家族から、訪問時間外に居宅外で会うことを強要される、事務所で待ち伏せされる、ウェブカメラ・スマートホンで無許可に撮影される、自宅の場所をしつこく聞かれる等の行為を受けた。
・室内で顧客が従業員を抱き寄せたり、腕を掴みベッドに引っ張ろうとした。また、「一緒に寝よう」「ちゅっちゅしてほしい」などと発言して迫った。
・コロナ禍において、入院患者の見舞いに訪れた人物に対して、面会禁止の旨を説明したが、「それはわかっているんだ、ばか!」と暴言を吐かれた。
【意見・感想・解説】
今回の事例も、一言で表現するなら「非常に深刻」と言えます。
前回は、録音や録画による証拠の確保と警察への通報の重要性をお伝えしましたが、今回は異なる視点からの対策をご紹介します。
これらのカスハラ事例には、共通する点があります。それは「単独犯」であることです。
トラブルを起こす人が「怒鳴ったり、椅子を叩いたり」する場面が多いですが、重要なのは「一人で行動しているケースが多い」ということです。
そのため、こうしたカスハラ客に対しては、職場全体として複数人で毅然とした対応を取ることが有効です。
勢いがある相手でも、集団に囲まれるとおじけづく可能性があります。
ただし、このような対応を取るのは、あくまでカスハラを行う客に対してのみです。
正当なクレームを述べる顧客に対しては、丁寧な対応が必要です。
クレームとカスハラの区別を明確にしておくことが重要です。
ハラスメント対策研修のご案内
今回ご紹介したカスタマーハラスメント(カスハラ)の実例からも明らかなように、医療・福祉・接客の現場では、従業員が一方的な攻撃を受けるリスクが極めて高くなっています。
「怒鳴る」「暴力をふるう」「性的言動を繰り返す」「勤務外に付きまとう」などの行為は、業種を問わず日常的に発生しており、職員の心身に深刻な悪影響を与えるだけでなく、離職や人材不足の原因にもつながります。
坂本直紀によるハラスメント対策研修では、カスハラと正当なクレームの線引き、現場での初期対応、組織的な支援体制の構築など、実務に直結する内容をご提供しています。
「一人で抱えさせない」ことこそが、組織の義務です。
今こそ、職員を守る仕組みと意識改革を進めましょう。
ハラスメント対策研修例(管理職向け)
(1)ハラスメントによるリスク
(2)セクシュアルハラスメントとは
(3)パワーハラスメントとは
(4)妊娠、出産、育児休業等のハラスメントとは
(5)カスタマーハラスメントとは
(6)ハラスメントと労災
(7)ハラスメントをしないために
(8)怒りの感情コントロール
(9)適切な指導
(10)相談対応上の留意点
(11)ハラスメントを受けた場合
(12)ハラスメント防止規程解説
(13)職場内コミュニケーション
(14)グループワーク
(15)まとめ
一緒にハラスメントのない職場づくりを目指しましょう。
研修講師:坂本直紀の紹介
坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員
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