新入社員の自殺原因として長時間労働とパワハラが問題となった労災裁判を示すイラスト
長時間労働とパワハラに苦しむ新入社員の自殺をめぐり、遺族補償給付の不支給処分が取り消された労災裁判の漫画
大手建設業の新入社員が長時間労働や上司のパワハラによりうつ病を発症し自殺したとして、遺族補償給付の不支給処分が取り消された裁判

【概要】

8年前に、ある大手建設業の新入社員が自殺しました。裁判では、遺族補償給付の支給を認めなかった労働基準監督署の処分を取り消しました。具体的には、次の内容が特徴的です。

1.営業担当だった当時24歳の新人男性がうつ病を発症し、自殺しました。この社員の父親は、遺族補償給付の支給を認めなかった労働基準監督署の処分取消を求める訴えを提起しました。

2.男性が死亡する直前の時間外労働について、労働基準監督署が算定した1日1時間の休憩を十分とれる状況ではないとしました。

そして、時間外労働は連続した3か月間で1か月あたりおおむね100時間以上の基準に準ずると指摘しました。

3.上司の指導については、自殺した男性を呼び捨てにし、同僚の前で叱る行為などがパワハラにあたると認めました。

【意見・感想・解説】

今回は、社員の自殺が労災と認められた裁判例について取り上げました。

裁判では、3か月間の時間外労働が1か月あたり概ね100時間を超え、さらにパワハラも認定されました。この事例は、精神障害の労災認定基準に照らし合わせても、心理的負荷が「強」と判断される状況に該当します。

労災認定基準では、特に「発病直前の3か月間に、1月あたり概ね100時間以上の時間外労働を行っていた場合」は、心理的負荷が強いとされています。

今回のケースでは、この基準を満たしているだけでなく、パワハラも認定されており、労災が認められたことは妥当と考えられます。

さらに、若い社員が自ら命を絶ったという事実から、逸失利益(もしも生きていれば将来得られたであろう収入)についても問題となり、会社の安全配慮義務違反を理由とした民事上の損害賠償責任が問われる可能性があります。

⚠ 緊急時は 119(救急)/110(警察)
いのちの電話 0570-783-556(24h)
#いのちSOS 0120-061-338(24h・無料)
よりそいホットライン 0120-279-338(24h・多言語)

ハラスメント対策研修のご案内

若手社員が長時間労働とパワハラにより自ら命を絶ち、その後の裁判で労災と認定された今回の事例は、すべての企業にとって非常に重い教訓です。

「長時間労働+パワハラ」——この組み合わせは、最悪の結果を招きます。
特に新入社員や若手社員は経験が浅く、過重なプレッシャーや叱責に耐えきれず、心の限界を迎えてしまうことがあります。

坂本直紀によるハラスメント対策研修では、「パワハラと適切な指導の違い」「心理的安全性のある職場づくり」などを中心に、管理職やリーダー層が身につけるべき具体的な行動指針をわかりやすくお伝えします。

社員の命を守るための“予防”こそ、最も重要な経営判断のひとつです。
このような悲劇を繰り返さないためにも、職場全体での意識改革と仕組みづくりを始めましょう。

ハラスメント対策研修例(管理職向け)

(1)ハラスメントによるリスク
(2)セクシュアルハラスメントとは
(3)パワーハラスメントとは
(4)妊娠、出産、育児休業等のハラスメントとは
(5)カスタマーハラスメントとは
(6)ハラスメントと労災
(7)ハラスメントをしないために
(8)怒りの感情コントロール
(9)適切な指導
(10)相談対応上の留意点
(11)ハラスメントを受けた場合
(12)ハラスメント防止規程解説
(13)職場内コミュニケーション
(14)グループワーク
(15)まとめ
一緒にハラスメントのない職場づくりを目指しましょう。

研修講師:坂本直紀の紹介

坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員
坂本直紀の詳しいプロフィールはこちら
坂本直紀の研修・セミナー実績はこちら
坂本直紀の書籍執筆実績はこちら
坂本直紀の雑誌執筆実績はこちら
坂本直紀のメディア取材実績はこちら