病院の電子カルテ更新業務に追われる男性職員と、違法な長時間労働の疑いで書類送検される医療機関を描いたイラスト
電子カルテ更新業務に追われる医療センター職員と、自己申告の勤務記録とパソコン使用履歴の差から違法な長時間労働が疑われる場面を描いた漫画
医療センター職員の自殺をめぐり、記録上は36協定内だった残業時間について、パソコン使用履歴から月150時間超の時間外労働が指摘された事案。

【概要】

ある医療機構の医療センターの男性職員が、2016年に自殺しました。労働基準監督署は、職員に違法な長時間労働をさせたとして、医療機関と当時の上司を労働基準法違反の疑いで、書類送検する方針を固めました。具体的には、次の内容が特徴的です。

1.自殺した男性職員は、センターで電子カルテのシステム更新業務に携わっていました。

2.勤務時間は上司に自己申告する仕組みであり、36協定では時間外労働時間を「3か月で120時間以内」と規定していました。

3.記録上の残業時間は協定枠内に収まっていました。しかし、職員の死後、労基署が職員のパソコンの使用履歴を調べたところ、時間外労働時間が月150時間以上に達したケースがあったと指摘しました。

【意見・感想・解説】

今回は、36協定違反で書類送検する事例を取り上げました。

36協定には「限度時間を記入すること」とされています。書面で締結した限度時間を超過して勤務すれば、不適切な36協定ということになり、是正勧告の対象になってしまいます。こうしたことから、36協定違反にならないように、社員にアラートを出して、限度時間を超えないように残業させる企業もあります。

一方、人手不足により、一人ひとりの業務量が増大する中、「残業を削減する」といっても、難しい面があります。それゆえ、今回のような過少申告となっても不思議ではありません。

しかしながら、こうした過少申告が常態化すると、人事部などの本部の責任者が気付かないうちに、現場の過重労働が進んでしまいかねません。そうなると、今回のように、”長時間労働がもたらした自殺”という最悪のリスクが生じてしまいます。

従って、人事部としては必要に応じて、記録上の残業と実態に乖離がないか確認し、問題があるようであれば、早めに是正を図る必要があります。

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今回の事例のように、記録上の残業時間と実際の労働時間に乖離がある場合、会社が現場の過重労働を正しく把握できず、重大な労務トラブルにつながるおそれがあります。特に、自己申告制による労働時間管理では、過少申告が生じていないかを定期的に確認し、パソコンの使用履歴や入退館記録なども踏まえて、実態に即した管理を行うことが重要です。

顧問契約では、36協定の運用、労働時間管理、長時間労働対策、メンタルヘルス対応などについて、トラブルを未然に防ぐための体制づくりを支援します。また、万が一問題が発生した場合にも、事後に適切かつ迅速な対応ができるよう、実務に即した助言を行います。

さらに、過重労働の防止は、単に法令違反を避けるためだけではありません。働きやすい職場環境を整えることは、優秀な人材の確保及び定着にも直結します。人材不足が深刻化する中で、安心して働ける労務管理体制を構築することは、企業の持続的な成長に欠かせない重要な課題です。

労働時間管理や36協定の運用に不安がある場合は、早めに専門家へご相談ください。

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代表社員 坂本直紀の紹介

坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員

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