内部通報後に専門外部署へ配置転換された社員が報復人事を受け、裁判で配転無効と判断された事例を解説するアイキャッチ画像
上司の取引先技術者引き抜きをコンプライアンス窓口に内部通報した社員が、報復的な配置転換や低評価を受け、二審で配転無効と損害賠償が認められた事例の漫画解説画像
社内のコンプライアンス窓口に上司の行為を通報した社員が、専門外部署への異動や不当な低評価を受けたとして争い、二審で配転無効と損害賠償が認められた事例です。

【概要】

今回は、内部通報と配転無効について取り上げます。社内のコンプライアンス窓口に上司の行為を通報した社員が配置転換などの報復を受けたとして裁判になりました。一審では請求が棄却されましたが、二審では配転無効として社員の逆転勝訴になりました。具体的には以下のとおりです。

1.社員は、非破壊検査機器の販売などを担当していましたが、上司が取引先から技術者を引き抜こうとしていたことを知り、社内のコンプライアンス窓口に通報しました。

2.窓口の担当者は、社員の名前と通報内容を上司に伝え、社員は専門外の部署に異動になりました。

3.配転後の人事評価も不当に低く、新人同様の勉強やテストなどをさせられ、不当な嫌がらせを受けたと指摘。

4.昇格、昇給の機会を事実上奪われたとして、精神的苦痛や賞与減額分を損害と認めました。

5.同社と上司に計220万円の支払いを命じました。

【意見・感想・解説】

今回は配転無効の裁判例を取り上げました。

まず、配転ですが、原則として、権利の濫用にならなければ、会社は社員に対して配転命令についての権限を有しているといえます。しかし、不当な動機すなわち権利の濫用で配転を行った場合は、配転が認められないことになります。この不当か否かが、なかなか判断が難しく、今回でも一審と異なる判決がでてきました。

ただ、今回、会社側がまずかったのは、社内コンプライアンス窓口の担当者が上司に通報内容を知らせて、その後、通報した社員を配転させたことです。窓口では、通報したり相談した社員に被害が生じないように秘密裏に対応するのが、基本です。このようなことでは、誰も窓口に相談する人はいなくなります。

現在、ハラスメントやメンタルヘルスに関して、相談窓口を設けている会社も多いと思います。その場合にも、相談してきた社員に対して、このような対応をとらないように気をつける必要があります。