家電量販店で男性店長から叱責を受け、精神的に追い詰められるパート女性社員のイラスト
家電量販店で競合店の価格調査を命じられ、負担を訴えるパート女性社員と指示を続ける男性店長の漫画
競合店の価格調査を5~6時間かけて行うよう指示され、苦痛を訴えたパート女性社員の自殺をめぐり、裁判所が精神的苦痛への慰謝料を認めた事例。

【概要】

ある家電量販店の店舗で働いていたパート社員(女性)が自殺したのは、当時の男性店長によるパワハラが原因として、訴訟がありました。具体的には、次の内容が特徴的です。

1.遺族が同社と元店長に計約7千万円の損害賠償を求めたところ、大津地裁は家電量販店へ、計110万円の支払いを命じました。

2.自殺した女性は、元店長から競合店舗の価格調査業務への配置換えを打診されましたが、その業務内容は、5~6時間かけて価格調査を行うというものでした。女性は、調査業務が苦痛であることを元店長に訴え、約3時間に及ぶ話し合いをしました。その翌朝、女性は自宅で自殺しました。

3.裁判では、元店長が指示した競合店の価格調査が「業務の適正な範囲を超えた過重なもので、強い精神的苦痛を与える」としました。これにより、精神的苦痛に対する慰謝料を認めました。

【意見・感想・解説】

今回は、パート社員がパワハラで自殺したとして争われた裁判を、報道記事からご紹介しました。

個人的には、競合店舗の価格調査業務は、小売店では誰かが実施すべき業務と思われます。そのため、一概に「不当な業務変更」とはいえないように思います。

とはいえ、仮にこのような煩雑な価格調査業務をこれまで誰も実施しておらず、このパート社員にだけ押し付けたとなると、確かに精神的苦痛による慰謝料が認められることは、頷ける面もあります。また、上長との3時間の話し合いは非常に長時間に及んでおり、そこで、何らかの精神的苦痛を与えられた可能性も否定できません。

原告側は、控訴する方針ということですので、今後、そのあたりの詳細が明確になると思われます。

この事件で、私たちが学ぶべきことは、一つ間違えれば「パワハラを受けた」と感じた社員が、離職やメンタル不調などを生じ、場合によっては自殺につながってしまうということです。この方はもしかしたら、メンタル耐性が弱かった方かもしれません。そのような人に厳しく接しすぎると、最悪の事態が生じてしまうこともあります。

特に管理職の方は、こうした点に注意しておく必要があります。

⚠ 緊急時は 119(救急)/110(警察)
いのちの電話 0570-783-556(24h)
#いのちSOS 0120-061-338(24h・無料)
よりそいホットライン 0120-279-338(24h・多言語)

ハラスメント対策研修のご案内

職場におけるパワーハラスメントは、受けた本人に強い精神的苦痛を与えるだけでなく、企業にとっても損害賠償、信用低下、人材流出などの重大なリスクにつながります。特に管理職による業務指示や配置転換の打診は、業務上必要なものであっても、その伝え方や負担の程度によっては、ハラスメントと評価される可能性があります。

管理職には、部下に対して適切に業務を指示する力だけでなく、相手の受け止め方や心理的負担に配慮しながら対応する力が求められます。また、長時間にわたる面談や一方的な説得、本人が苦痛を訴えている業務への対応などは、慎重に判断しなければなりません。

坂本直紀の研修では、パワハラ・セクハラ・マタハラ・カスハラなどの基本知識に加え、管理職が日常の指導や面談、相談対応の場面で注意すべきポイントを、具体例を交えてわかりやすく解説します。ハラスメントを未然に防ぎ、安心して働ける職場づくりを進めるために、ぜひハラスメント対策研修をご活用ください。

 

ハラスメント対策研修例(管理職向け)

(1)ハラスメントによるリスク
(2)セクシュアルハラスメントとは
(3)パワーハラスメントとは
(4)妊娠、出産、育児休業等のハラスメントとは
(5)カスタマーハラスメントとは
(6)ハラスメントと労災
(7)ハラスメントをしないために
(8)怒りの感情コントロール
(9)適切な指導
(10)相談対応上の留意点
(11)ハラスメントを受けた場合
(12)ハラスメント防止規程解説
(13)職場内コミュニケーション
(14)グループワーク
(15)まとめ
一緒にハラスメントのない職場づくりを目指しましょう。

 

研修講師:坂本直紀の紹介

坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員
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