転職エージェント会社で上限のない有給休暇制度について説明を受ける社員と、ワークライフバランスを象徴するカレンダーや休暇のイラスト
転職エージェント会社で、有給休暇の上限撤廃やワークライフバランス、事前申請による休暇取得について話し合う社員の漫画イラスト
ワークライフバランスを重視し、有給休暇日数の上限をなくした転職エージェント会社の制度を説明する漫画イメージ。

【概要】

ある転職エージェントサービスの会社では、有給休暇日数の上限をなくしました。
具体的には、次の内容が特徴的です。

1.この会社では、社員のワークライフバランスを重視しています。そして、有給休暇の上限を撤廃しました。

2.適切なタイミングで休暇取得できる環境を提供するものの、チームに影響を及ぼさないよう、事前に申請を行うこととしています。

【意見・感想・解説】

今回は、有給休暇の日数に上限をなくした事例を取り上げました。

かなり、性善説的な制度です。上限がないということは、ほぼ毎日有給休暇を取得したとしても、制度上は有効となります。

おそらく、「そんな社員は出てこないであろう」という前提に立っているものと思われます。

ただ、不思議なもので、社員数が増えれば増えるほど、いずれ少なくとも1人の社員が社内の制度を悪用して混乱が生じることもあります。

ワークライフバランスを重視した福利厚生の充実は、これからの人事労務管理上、とても大切になります。一方で、行き過ぎた福利厚生の充実は、社員間でトラブルを生じさせるリスクもあります。

注意する必要があります。

今回の事例を踏まえ、会社(社長)から社員へのメッセージおよび規程例を作成しました。ご参考ください。

会社から社員へのメッセージ例

社員の皆様へ

当社は、会社の成長を支えている最も大切な存在は、社員の皆様一人ひとりであると考えています。皆様が安心して働き、心身ともに健やかに毎日を過ごせることは、会社にとって何より重要です。そのため当社は、仕事と私生活の調和を大切にし、より働きやすい環境づくりを進めてまいります。

このたび、有給休暇の取得に関する社内運用上の上限を設けない制度を導入することとしました。これは、社員の皆様がそれぞれの事情や生活に合わせて、必要なときにしっかり休みを取り、安心して働き続けられる環境を整えたいという思いからです。

もちろん、この制度は、皆様一人ひとりの誠実さと、仲間への思いやりのうえに成り立つものです。まとまった休暇を取得する際には、チームや業務への影響にも配慮し、事前申請や引継ぎなど、必要な対応をしっかり行っていただくことをお願いいたします。お互いに支え合い、気持ちよく働ける職場であることが、この制度を活かす大切な前提です。

今後も、社員の皆様と会社がともに成長し、互いに信頼し合える関係を築いていけることを願っています。引き続き、ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

代表取締役社長〇〇〇〇

有給休暇上限撤廃制度規程例

(目的)
第1条 本規程は、社員のワークライフバランスの向上を図るとともに、業務運営との調和を保ちながら有給休暇を適切に取得できる環境を整備するため、有給休暇上限撤廃制度に関する取扱いを定めるものとする。

(適用対象)
第2条 本規程は、当社の就業規則その他関連規程に基づき年次有給休暇の付与を受ける社員に適用する。
2 年次有給休暇の付与要件、付与日数その他法令上必要となる事項については、労働基準法その他関係法令および当社就業規則の定めるところによる。

(制度の基本方針)
第3条 当社は、社員が必要に応じて適切な時期に有給休暇を取得できるよう配慮し、有給休暇の活用を推進する。
2 本制度は、社員の自律的かつ誠実な運用を前提とする。

(取得上限の取扱い)
第4条 当社は、社員の有給休暇の取得について、社内制度上の一律の取得上限を設けない。
2 前項は、法令に基づき付与された年次有給休暇を超えて無制限に休暇を付与する趣旨ではなく、取得の促進を目的として社内運用上の制限を設けないことを意味する。
3 有給休暇の取得は、法令、就業規則および本規程の定めに従い、適正に運用するものとする。

(事前申請)
第5条 社員が有給休暇を取得しようとするときは、あらかじめ会社の定める方法により申請を行い、所属長の承認を受けなければならない。
2 前項の申請にあたっては、取得予定日、取得日数その他会社が必要と認める事項を申し出るものとする。
3 社員は、やむを得ない事情がある場合を除き、業務の引継ぎ、関係者への連絡その他必要な対応を行ったうえで申請するものとする。

(会社による調整)
第6条 会社は、社員から有給休暇の申請があった場合において、当該取得時季に休暇を付与することが事業の正常な運営を妨げると認められるときは、法令の定めに従い、取得時季の変更その他必要な調整を行うことがある。
2 会社は、特定の時期に申請が集中した場合、部署間の調整、取得日の変更依頼その他円滑な業務運営に必要な措置を講ずることがある。

(禁止事項)
第7条 社員は、本制度の趣旨に反し、正当な業務上の配慮を欠く態様で法定を超える有給休暇を取得し、または申請してはならない。
2 社員が、業務運営に著しい支障を生じさせる行為を行った場合は、就業規則に基づき必要な指導または措置を行うことがある。

(社内手続き)
第8条 有給休暇の取得に関する社内手続きは、次のとおりとする。
1.社員は、会社所定の申請方法により、原則として取得希望日までに申請を行う。
2.所属長は、申請内容、業務状況およびチームへの影響を確認のうえ、承認または必要な調整を行う。
3.人事担当部門は、本制度の運用状況を必要に応じて確認し、制度の適正な運用に努める。
4.申請方法、申請期限その他運用上必要な事項は、別に定める社内ルールによる。

(制度運用上の見直し)
第9条 会社は、本制度の運用状況、業務上の必要性、社員の利用状況その他諸般の事情を勘案し、必要に応じて本規程の内容を見直すことがある。

(附則)
第10条 本規程は、令和◯年◯月◯日より施行する。

顧問契約サービスのご案内

有給休暇制度のように、社員の働きやすさを高める施策は、企業の魅力向上に直結します。一方で、制度設計や運用方法を誤ると、社員間の不公平感や現場の混乱を招き、思わぬトラブルにつながることもあります。

そのため、企業経営においては、日頃から人事労務の課題を整理し、トラブルの予防に努めることが重要です。さらに、万一問題が生じた場合にも、状況に応じて適切かつ迅速な対応を行うことで、会社の信頼と職場の安定を守ることができます。

また、働きやすい環境づくりや納得感のあるルール整備は、優秀な人材の確保及び定着の面でも欠かせません。採用競争が激しくなる中で、安心して働ける職場づくりを進めることは、企業の持続的成長に直結します。

顧問契約では、就業規則や社内ルールの整備、日常的な労務相談、制度導入時の実務対応まで、貴社の実情に合わせて継続的にサポートいたします。人事労務の不安を抱えたままにせず、安心して経営に専念できる体制づくりにぜひお役立てください。

顧問契約の内容

  • 定期対面による、親身な対応
    貴社の人事労務の課題を深く理解し、現場目線で実践的な提案を行います。
  • ご相談に対する、迅速な回答
    メール・電話・オンラインなど最適な手段でスピーディーに対応します。
  • 就業規則の作成・改定
    最新法令を踏まえた規程整備でリスクを軽減します。
  • 書式や最新情報のご提供
    実務でそのまま使えるフォーマットと最新トレンドを随時共有します。

代表社員 坂本直紀の紹介

坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員

坂本直紀の詳しいプロフィールはこちら
坂本直紀の研修・セミナー実績はこちら
坂本直紀の書籍執筆実績はこちら
坂本直紀の雑誌執筆実績はこちら
坂本直紀のメディア取材実績はこちら