
【概要】
ある金属屋根製造メーカーでは、課題図書研修を実施しています。具体的には、次の内容が特徴的です。
1.会社が選定した課題図書リストがあります。社員は、その課題図書の中から年に4回、毎回1冊を購入して読み、感想文を提出します。
2.感想文を提出した場合、書籍代は会社が全額補助します。
3.同じ部署の社員が同じ本を読み、その中で得た気づきや学びを共有する研修も実施しています。
【意見・感想・解説】
今回は、「課題図書研修」を取り上げました。
会社が課題図書を示し、年4回の読書と感想文提出を求める仕組みです。
通常務務に追われていますと、自主的に読書の時間を確保することは、なかなか難しいものがあります。
しかし、このように会社の制度として位置づけることで、学ぶきっかけがつくれますね。
また、感想文の提出を条件に書籍代を全額補助する点も良い工夫といえます。単に本を読むだけではなく、感想文を書くことで、理解・学びがより深まります。
同じ部署で同じ本を読み、学びを共有することも意義があります。
職場で感想や気づきを共有することで、価値観のすり合わせやコミュニケーションの活性化にもつながります。
今回の事例を踏まえ、会社(社長)から社員へのメッセージおよび規程例を作成しました。ご参考ください。
会社から社員へのメッセージ例
社員の皆様へ
会社は、社員の皆様一人ひとりの成長と、安心して長く働き続けられる職場づくりを何よりも大切に考えています。仕事を通じて経験を積むことはもちろんですが、自ら学び、考え、仲間と共有する機会を持つことは、これからの時代においてますます重要になっています。
そのため当社では、課題図書研修を通じて、皆様が継続的に学ぶ習慣を身につけ、それぞれの成長を実感できる環境を整えていきたいと考えています。日々の業務に追われる中で、自主的に読書の時間を確保することは簡単ではありません。だからこそ、会社として学びのきっかけを制度として用意し、皆様の前向きな挑戦をしっかり支えていきたいのです。
感想文を提出した場合に書籍代を全額補助するのも、会社からの「学びを応援したい」という気持ちの表れです。本を読むことで新しい視点や気づきを得て、さらに感想文として言葉にすることで理解が深まり、それが実務にも生かされていくことを期待しています。
また、同じ部署の仲間が同じ本を読み、感じたことや学んだことを共有する時間は、知識を増やすだけでなく、互いの考え方を知り、信頼関係を深める大切な機会でもあります。こうした積み重ねが、より働きやすく、助け合える職場づくりにつながっていくと信じています。
ぜひ、本制度の趣旨をご理解いただき、一つひとつの学びを皆様自身の成長、そして職場全体の力へとつなげていただければと思います。会社はこれからも、皆様とともに歩み、皆様の努力をしっかり支えてまいります。
代表取締役社長〇〇〇〇
課題図書研修規程例
(目的)
第1条 本規程は、社員の自発的な学習意欲を尊重しつつ、知識向上、思考力の涵養及び職場内の学びの共有を促進するために実施する課題図書研修について必要な事項を定めるものとする。
(適用対象)
第2条 本規程は、課題図書研修への参加を希望し、会社所定の手続きを行った社員に適用する。
2.会社は、社員に対し、本研修への参加を強制しないものとする。
(課題図書の選定)
第3条 会社は、研修の対象となる課題図書をあらかじめ選定し、課題図書リストとして社員に周知するものとする。
2.参加社員は、各実施回において、前項の課題図書リストの中から1冊を選定し、これを購入のうえ読むものとする。
(研修の実施回数)
第4条 課題図書研修は、原則として年4回実施するものとする。
2.各回の募集時期、感想文の提出期限その他必要な事項は、会社がその都度定め、社員に周知するものとする。
(参加申込み)
第5条 課題図書研修への参加を希望する社員は、会社が定める方法により、各実施回ごとに参加の申込みを行うものとする。
2.参加申込みの期限その他必要な事項は、会社が別に定める。
(感想文の提出)
第6条 参加社員は、各回ごとに課題図書を読了した後、所定の期日までに感想文を提出するものとする。
2.感想文の様式、記載事項、提出方法その他必要な事項は、会社が別に定める。
3.感想文には、課題図書から得た学び、業務への活用方法その他会社が必要と認める事項を記載するものとする。
(書籍購入費用の補助)
第7条 会社は、参加社員が各回の課題図書として選定した書籍について、感想文の提出が確認できた場合に限り、当該書籍代の全額を補助するものとする。
2.書籍代の補助を受けようとする参加社員は、会社が定める方法により、領収書その他必要書類を提出しなければならない。
3.感想文の提出がない場合は、書籍代の補助は行わないものとする。
(学びの共有)
第8条 会社は、参加社員のうち同一部署に属する者が同じ課題図書を読んだ場合、当該図書から得た気づき、学びその他の内容を共有する機会を設けることがある。
2.前項の共有の場への参加は、原則として任意とする。
3.実施方法、日程、運営方法その他必要な事項は、会社が別に定める。
(社内手続き)
第9条 課題図書研修への参加申込み、課題図書の選定報告、感想文の提出、書籍代補助の申請その他必要な社内手続きは、会社の定める方法により行うものとする。
2.参加社員は、前項の手続きにあたり、会社が求める書類、記録又は情報を正確に提出するものとする。
3.会社は、提出された感想文、申請書類その他必要書類について内容を確認し、書籍代補助の可否その他必要な決定を行うものとする。
(不利益取扱いの禁止)
第10条 会社は、社員が課題図書研修に参加しないことを理由として、不利益な取扱いをしないものとする。
(遵守事項)
第11条 参加社員は、課題図書研修の趣旨を理解し、適正にこれに取り組むものとする。
2.感想文その他提出書類に虚偽の記載があった場合又は不正に書籍代の補助を受けた場合には、会社は補助金の返還を求めることができる。
(所管)
第12条 本規程の所管部署は、会社が定める部署とする。
2.本規程の運用に関し必要な事項は、所管部署が別に定める。
(附則)
第13条 本規程は、令和◯年◯月◯日より施行する。
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代表社員 坂本直紀の紹介
坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員
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