
概要
今回のテーマは、「事後の迅速かつ適切な対応」です。
[ 義務の内容 ]
職場におけるカスハラに係る相談の申出があった場合、その事案に係る事実関係の迅速かつ正確な確認及び適正な対処として、次の措置を講じなければならない。
● 事案に係る事実関係の迅速かつ正確な確認:
なお、行為者が、他の事業主が雇用する労働者又は他の事業主(その者が法人である場合は、その役員)である場合もあります。
その場合は、必要に応じて、他の事業主に事実関係の確認への協力を求めることも含まれます。
迅速かつ正確に確認していると認められる例は、次のとおりです。
- 被害者に対する配慮のための措置の内容を踏まえ、管理監督者等がその場で事実関係を確認し対応すること
- 相談窓口の担当者、関係部門又は専門の委員会等が、相談者から事実関係を確認すること
・その際、相談者の心身の状況や当該言動が行われた際の受け止めなどその認識にも適切に配慮すること
・必要に応じて、周囲の労働者から事実関係を聴取し、録音・録画等の客観的な証拠を確認する等の措置を講ずること
・録音・録画等の客観的な証拠を確認する際は、個人情報保護法等を遵守し、顧客等の個人情報を適切に取り扱うこと
・必要かつ可能な場合には行為者からも事実関係を聴取することも考えられる。
- 事実関係を迅速かつ正確に確認しようとしたが、確認が困難な場合、調停の申請その他中立な第三者機関に紛争処理を委ねること
● 職場でカスハラが確認できた場合の、速やかな被害者に対する配慮のための措置の実施:
措置を適正に行っていると認められる例は、次のとおりです。
- 被害者に対する配慮のための措置の内容を踏まえ、事案の内容や状況に応じ、管理監督者等が被害者に代わって対応すること
・被害者と行為者を引き離すこと等の措置を講ずること
・暴行、傷害、脅迫などの犯罪に該当し得る言動については警察へ通報すること
- 事案の内容や状況に応じ、行為者に対応する担当者の変更又は複数人で対応すること
・被害者と行為者を引き離すための配置転換を行うこと
・管理監督者又は事業場内産業保健スタッフ等による被害者のメンタルヘルス不調への相談対応等の措置を講ずること
・暴行、傷害、脅迫などの犯罪に該当し得る言動については警察へ通報すること
・法的な手続が必要な場合には法務部門等と連携し、弁護士へ相談すること
- 調停その他中立な第三者機関の紛争解決案に従った措置を被害者に対して講ずること
● 職場におけるカスハラに関する方針の再度の周知・啓発:
必要な場合、カスハラ発生の原因や背景となった商品・サービス・接客等における問題や顧客等とのコミュニケーションの不足などの改善を図る等の再発防止に向けた措置を講じます。
必要に応じて、接客等における慣行の見直しなどの、職場環境の改善や組織風土の見直しを行うことも考えられます。
あわせて、必要に応じて事案の内容や対応経緯を記録し、個人情報の取扱いに留意して関係部門に共有し、再発防止に活用することも考えられます。
職場におけるカスハラに係る言動の行為者が、他の事業主が雇用する労働者又は他の事業主(その者が法人である場合は、その役員)である場合もあります。
その場合、必要に応じて、他の事業主に再発防止に向けた措置への協力を求めることも含まれます。
また、職場におけるカスハラが生じた事実が確認できなかった場合も、同様の措置を講じます。
再発防止措置を講じていると認められる例は、次のとおりです。
- 職場におけるカスハラには毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針及び職場におけるカスハラへの対処の内容を、社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等に改めて掲載し、配布等すること
- 労働者に対して職場におけるカスハラには毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針を定め、その上で、職場におけるカスハラへの対処の内容を周知・啓発するための研修、講習等を改めて実施すること
意見・感想・解説
カスタマーハラスメントが発生した場合は、現場の担当者だけに対応を任せず、組織として迅速に事実関係を確認することが重要です。
特に、相談者の心身の状態に配慮しながら、関係者への聴取や録音・録画などの客観的な証拠を確認し、事案の内容に応じた適切な対応を行う必要があります。また、暴行や脅迫など犯罪に該当する可能性がある場合には、警察や弁護士などの外部機関との連携も欠かせません。
事案への対応後は、対応経緯を記録し、商品・サービス、接客方法、職場環境などに改善すべき点がないかを検証することが大切です。カスハラの事実が確認できなかった場合でも、相談を契機として方針や対応体制を見直すことが再発防止につながります。
ハラスメント対策研修のご案内
カスタマーハラスメントへの対応では、管理職や相談窓口担当者が、事実確認の進め方、被害者への配慮、警察や弁護士との連携方法を理解しておく必要があります。
坂本直紀の研修では、事例やグループワークを通じて、現場で迷わず組織的に対応するための実践的なポイントをお伝えします。
ハラスメント対策研修例(管理職向け)
(1)ハラスメントによるリスク
(2)セクシュアルハラスメントとは
(3)パワーハラスメントとは
(4)妊娠、出産、育児休業等のハラスメントとは
(5)カスタマーハラスメントとは
(6)ハラスメントと労災
(7)ハラスメントをしないために
(8)怒りの感情コントロール
(9)適切な指導
(10)相談対応上の留意点
(11)ハラスメントを受けた場合
(12)ハラスメント防止規程解説
(13)職場内コミュニケーション
(14)グループワーク
(15)まとめ 一緒にハラスメントのない職場づくりを目指しましょう。
研修講師:坂本直紀の紹介
坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員 坂本直紀の詳しいプロフィールはこちら 坂本直紀の研修・セミナー実績はこちら 坂本直紀の書籍執筆実績はこちら 坂本直紀の雑誌執筆実績はこちら 坂本直紀のメディア取材実績はこちら









