カスハラ指針の雇用管理上の措置義務として、相談者のプライバシー保護と相談を理由とする不利益取扱いの禁止を解説するイラスト
カスハラ対策について業種に合った対応や同業者との連携、他社労働者への配慮を話し合う職場のイラスト
カスハラ対策では、業種・業態に応じた対応に加え、同業者との連携や他社の労働者への配慮など、組織横断的な取組も重要です。

概要

今回のテーマは、これまで解説した内容と併せて講ずべき措置です。

[ 義務の内容 1 ]

職場におけるカスハラに係る相談者等の情報は、当該相談者等のプライバシーに属するものである。

相談への対応又はカスハラに係る事後の対応に当たっては、相談者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講ずる。その旨を、労働者に対して周知する。

なお、相談者等のプライバシーには、性的指向・ジェンダーアイデンティティ(性自認)等の機微な個人情報も含まれるものであること。

●プライバシー保護について措置を講じていると認められる例:

- 相談者等のプライバシー保護のために必要な事項を、あらかじめマニュアルに定め対応すること。

- 相談者等のプライバシー保護のために、相談窓口の担当者に必要な研修を行うこと。

ー プライバシー保護の措置を講じていることを、社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等に掲載し、配布等すること。

[ 義務の内容 2 ]

労働者が職場におけるカスハラに関し相談をしたことなどを理由として、解雇その他不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。

●不利益な取扱いをされない旨について、措置を講じていると認められる例:

ー 就業規則等で、カスハラの相談等を理由として、労働者が解雇等の不利益な取扱いをされない旨を規定し、労働者に周知・啓発をすること。

ー 社内報等の啓発資料に、カスハラの相談等を理由として、解雇等の不利益な取扱いをされない旨を記載し、労働者に配布等すること。

意見・感想・解説

カスタマーハラスメントに関する相談制度を実効性のあるものにするためには、「相談窓口を設ける」だけでは十分ではありません。相談した内容が周囲に知られてしまうのではないか、相談したことで会社から不利益な扱いを受けるのではないかという不安があれば、従業員は安心して相談できないからです。

特に、相談者のプライバシーには、性的指向やジェンダーアイデンティティ(性自認)など、慎重な取扱いが求められる情報が含まれる場合があります。相談担当者だけでなく、管理職を含め、情報の取扱いについて共通認識を持つことが重要です。

また、「相談したことを理由に不利益な取扱いをしない」という方針は、就業規則等に定めるだけでなく、従業員に分かりやすく周知する必要があります。制度を整えることと、その制度を安心して利用できる職場環境をつくることの両方が、カスタマーハラスメント対策には求められます。

ハラスメント対策研修のご案内

カスタマーハラスメント対策を適切に進めるためには、相談者のプライバシー保護や不利益取扱いの防止について、管理職や相談担当者が正しく理解し、適切に対応できる体制を整えることが重要です。

坂本直紀の研修では、カスタマーハラスメントをはじめとする各種ハラスメントの基礎知識から、相談対応、適切な指導、職場内コミュニケーションまで、実務に即して分かりやすく解説します。

 

ハラスメント対策研修例(管理職向け)

(1)ハラスメントによるリスク
(2)セクシュアルハラスメントとは
(3)パワーハラスメントとは
(4)妊娠、出産、育児休業等のハラスメントとは
(5)カスタマーハラスメントとは
(6)ハラスメントと労災
(7)ハラスメントをしないために
(8)怒りの感情コントロール
(9)適切な指導
(10)相談対応上の留意点
(11)ハラスメントを受けた場合
(12)ハラスメント防止規程解説
(13)職場内コミュニケーション
(14)グループワーク
(15)まとめ
一緒にハラスメントのない職場づくりを目指しましょう。

 

研修講師:坂本直紀の紹介

坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員
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