
【概要】
長崎市の広告制作会社に勤務する男性が、会社や上司らに損害賠償などを求めました。長崎地裁では「長時間、業務指導の範囲を逸脱した執拗ないじめ行為があった」とし、上司のパワハラ行為を認定しました。具体的には、次の内容が特徴的です。
1.この男性は、上司から明らかに達成困難な目標を与えられたり、長時間、叱責を受けたりしました。
2.上司が当男性の始末書が累積しているとして解雇をちらつかせたり、ミーティングから排除するなどしました。男性は会社の提訴に踏み切りました。
3.会社は男性に対し、提訴したことを非難する文書を送付していました。
4.この男性は適応障害と診断され、休職し、その後労災を認定されました。
5.判決では、パワハラ行為を認定し会社と上司らに計約2000万円の支払いを命じました。
【意見・感想・解説】
今回は、パワハラに関する裁判例を取り上げました。パワハラに関しては、昨今、非常にトラブルが増えているため、注意が必要です。
一般的に、以下の6つのパターンに該当した場合、パワハラのリスクが高まります。
1.身体的な攻撃
2.精神的な攻撃
3.人間関係からの切り離し
4.過大な要求
5.過小な要求
6.個の侵害
今回は、6つのうち3つのパターンに該当している為、パワハラと認定されても不自然ではない状況とあったといえます。
●明らかに達成困難な指示 = 過大な要求
●長時間、叱責、解雇を示唆 = 精神的な攻撃
●ミーティングから排除 = 人間関係からの切り離し
もちろん、社内で部下を育成する、社内の秩序を保つなどの目的で、適正な指導は必要不可欠です。しかし、この6類型に該当するような言動は、慎まなければなりません。今一度、社内でパワハラが行われていないか確認されてみるとよいでしょう。
ハラスメント対策研修のご案内
今回の事例では、達成困難な目標設定、長時間にわたる叱責、解雇を示唆する言動、会議からの排除、提訴したことへの非難文書の送付などが問題となり、裁判所は上司によるパワハラ行為を認定しました。
職場における指導は、業務上必要かつ相当な範囲で行われる必要があります。たとえ業績改善や勤務態度の是正を目的としたものであっても、人格を否定するような言動、過度な叱責、孤立させる対応、退職や解雇を不当に示唆する行為は、ハラスメントとして大きな問題に発展するおそれがあります。
また、従業員が適応障害を発症し、休職や労災認定につながった場合、企業には損害賠償責任だけでなく、社会的信用の低下や職場環境の悪化といった重大なリスクが生じます。管理職には、部下への適切な指導方法、叱責とパワハラの違い、相談を受けた際の対応、再発防止に向けた職場づくりについて、正しく理解しておくことが求められます。
坂本直紀の研修では、実際の裁判例や職場で起こりやすいケースをもとに、管理職が注意すべき言動、ハラスメントを防ぐための指導方法、相談対応の留意点をわかりやすく解説します。ハラスメントのない職場づくりを進めるために、ぜひハラスメント対策研修をご活用ください。
ハラスメント対策研修例(管理職向け)
(1)ハラスメントによるリスク
(2)セクシュアルハラスメントとは
(3)パワーハラスメントとは
(4)妊娠、出産、育児休業等のハラスメントとは
(5)カスタマーハラスメントとは
(6)ハラスメントと労災
(7)ハラスメントをしないために
(8)怒りの感情コントロール
(9)適切な指導
(10)相談対応上の留意点
(11)ハラスメントを受けた場合
(12)ハラスメント防止規程解説
(13)職場内コミュニケーション
(14)グループワーク
(15)まとめ
一緒にハラスメントのない職場づくりを目指しましょう。
研修講師:坂本直紀の紹介
坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員
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