産休取得を申し出た妊婦社員が上司らに叱責され、マタハラ認定を示すイメージ
妊娠を理由に産休取得を申し出た女性社員が職場で非難され、退職や精神的不調に追い込まれるマタハラのイメージ
妊娠後に産休を申し出た女性社員が職場で心ない言葉を受け、退職や精神的ストレスに追い込まれるマタハラ問題

【概要】

ある水道修理会社で、産前産後休業(産休)の取得を責めるなどのマタハラを受けたとして、女性の元社員が会社側に220万円の損害賠償を求めました。大阪地裁は、会社側に110万円の支払いを命じました。具体的には、次の内容が特徴的です。

1.この女性は、町役場で知り合った男性職員の後押しを受け、同町の水道修理会社に就職しました。その2カ月後の11月に、妊娠が判明しました。

2.会社とその男性職員に妊娠を報告しました。その後、会社を訪れたその男性職員が、女性に対して「俺の顔をつぶすんか!」「産休はあなたの幸せのためだけの休みや」などと発言しました。さらに、産休取得を責める発言もありました。叱責を知った社長も、産休を否定的に受け止めていたため、「女性が良好な環境で働く権利を侵害した」と認定しました。

3.女性は退職代行業者に依頼して、退職しました。その後、ストレスによる不安症とも診断されました。

【意見・感想・解説】

今回は、妊娠に関する不適切な発言を取り上げました。

妊娠・出産を申し出た社員に対する基本的な配慮を欠いた、極めて不適切な対応です。

まず、妊娠の報告を受けた際には、「おめでとうございます」と伝えることが基本です。

そのうえで、業務の引継ぎや休業中の対応を考えていく必要があります。

今回のように、最初の一言が責めるような言葉になってしまえば、本人は強い不安を抱え、会社への信頼も大きく損なわれてしまいます。

そもそも産前産後休業は、法律で保障された権利です。

その取得を責めたり、心理的な圧力をかけたりすることは、会社にとって重大な法的リスクになります。

また今回は、不適切な発言をした本人だけでなく、それを肯定的に受け止めた会社側の姿勢にも問題があります。

女性が安心して妊娠・出産を申し出られる職場づくりは、とても大切です。

ハラスメント対策研修のご案内

妊娠・出産に関する不適切な言動は、職場の信頼関係を大きく損ない、企業にとっても深刻な法的リスクにつながります。今回の事例のように、産前産後休業の取得を否定的に受け止めたり、本人に心理的な圧力をかけたりする対応は、マタニティハラスメントとして問題になるおそれがあります。妊娠・出産を申し出た社員が安心して働き続けられる環境づくりのためには、管理職をはじめ職場全体が正しい知識と対応方法を身につけることが重要です。坂本直紀の研修では、ハラスメントの基礎知識だけでなく、現場で起こりやすい具体的な言動や相談対応のポイントまで、実務に即してわかりやすく解説しています。ハラスメントのない職場づくりに向けて、ぜひ研修をご活用ください。

 

ハラスメント対策研修例(管理職向け)

(1)ハラスメントによるリスク
(2)セクシュアルハラスメントとは
(3)パワーハラスメントとは
(4)妊娠、出産、育児休業等のハラスメントとは
(5)カスタマーハラスメントとは
(6)ハラスメントと労災
(7)ハラスメントをしないために
(8)怒りの感情コントロール
(9)適切な指導
(10)相談対応上の留意点
(11)ハラスメントを受けた場合
(12)ハラスメント防止規程解説
(13)職場内コミュニケーション
(14)グループワーク
(15)まとめ
一緒にハラスメントのない職場づくりを目指しましょう。

 

研修講師:坂本直紀の紹介

坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員
坂本直紀の詳しいプロフィールはこちら
坂本直紀の研修・セミナー実績はこちら
坂本直紀の書籍執筆実績はこちら
坂本直紀の雑誌執筆実績はこちら
坂本直紀のメディア取材実績はこちら