
カスハラと安全配慮義務について
今回は、カスタマーハラスメント(カスハラ)と「安全配慮義務」との関係について解説します。
労働契約法における安全配慮義務
労働契約法では、次のように規定されています。
(労働者の安全への配慮)
第5条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
ここでいう「生命、身体等の安全」には、肉体的な安全だけでなく、心身の健康も含まれています。
そのため、企業が十分なカスハラ対策を講じていない場合、社員から安全配慮義務違反を理由に損害賠償請求を受ける可能性があります。
安全配慮義務違反に関する判例
具体的な事例として、長崎市内の保育園で働いていた44歳の女性保育士が、自ら命を絶ったケースがあります。
園を運営する社会福祉法人に対し、2021年に長崎地裁は約3,500万円の損害賠償を命じました。
発端は、2016年に一部保護者から「園内で虐待があったのではないか」という疑念が寄せられたことでした。
この出来事を契機に保育士の退職が相次ぎ、職場全体の負担が急増。女性保育士は同年5月にうつ病を発症し、「眠れない」「食欲がない」といった症状に苦しみ、最終的に自ら命を絶ちました。
裁判所は、保育園側が職員の心身の健康を守るための配慮を欠いていたと判断し、安全配慮義務違反を認定しました。
次回予告
次回は「カスハラと使用者責任」について解説します。ぜひご期待ください。
ハラスメント対策研修のご案内
本記事では、カスタマーハラスメント(カスハラ)への対応を怠った場合に企業が負う「安全配慮義務違反」のリスクについて取り上げました。実際に裁判所が損害賠償を認めた事例からもわかるように、適切なカスハラ対策を講じることは、企業にとって喫緊の課題です。
坂本直紀の研修では、カスハラを含めたあらゆるハラスメントに対応するための実践的な内容を、法律・判例・現場の対応策の視点からわかりやすく解説いたします。特に管理職の方には、部下のメンタルヘルスや職場環境の維持という観点からも、体系的な理解が求められます。
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ハラスメント対策研修例(管理職向け)
(1)ハラスメントによるリスク
(2)セクシュアルハラスメントとは
(3)パワーハラスメントとは
(4)妊娠、出産、育児休業等のハラスメントとは
(5)カスタマーハラスメントとは
(6)ハラスメントと労災
(7)ハラスメントをしないために
(8)怒りの感情コントロール
(9)適切な指導
(10)相談対応上の留意点
(11)ハラスメントを受けた場合
(12)ハラスメント防止規程解説
(13)職場内コミュニケーション
(14)グループワーク
(15)まとめ
一緒にハラスメントのない職場づくりを目指しましょう。
研修講師:坂本直紀の紹介
坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員
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