カスタマーハラスメントを受ける従業員と対応を検討する担当者を描いた、人事労務解説「カスハラ指針・社会通念上許容される範囲を超えたもの」のイメージ
厚生労働省のカスハラ指針を解説するイラスト。契約外の無料サービス要求や不当請求は、社会通念上の許容範囲を超える可能性がある
カスタマーハラスメントの判断では、要求の内容だけでなく、言動の態様・頻度・経緯などを含めて総合的に判断します。

概要

2月26日に、カスタマーハラスメント(カスハラ)に関する指針が厚生労働省から正式に公表されました。

職場におけるカスタマーハラスメントとは、職場において行われる次の(1)から(3)までの要素をすべて満たすものをいいます。

(1)顧客等の言動であること

(2)その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして、社会通念上許容される範囲を超えたものであること

(3)労働者の就業環境が害されるものであること

今回は、この定義のうち「その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして、社会通念上許容される範囲を超えたもの」について解説します。

基本的な考え方

顧客等の言動が社会通念上許容される範囲を超えるかどうかについては、さまざまな要素を総合的に考慮して判断することが適当とされています。

具体的には、次のような要素が挙げられます。

・当該言動の目的
・当該言動を受けた労働者の問題行動の有無や内容・程度を含む、当該言動が行われた経緯や状況
・業種・業態
・業務の内容・性質
・当該言動の態様・頻度・継続性
・労働者の属性や心身の状況
・行為者との関係性

また、「言動の内容」と「手段や態様」に着目し、総合的に判断することが適当とされています。

「言動の内容」と「手段や態様」のいずれか一方のみが社会通念上許容される範囲を超えている場合でも、カスタマーハラスメントに該当する可能性があることに留意が必要です。

社会通念上許容される範囲を超えるかどうかを判断する際には、事業主または労働者側の不適切な対応が、顧客等の言動の原因や背景となっている場合があることにも留意する必要があります。

「言動の内容」が社会通念上許容される範囲を超えるもの

・要求に理由がない、または商品・サービス等とまったく関係のない要求

例:性的な要求や、労働者のプライバシーに関わる要求をすること。

・契約等により想定されているサービスを著しく超える要求

例:契約内容を著しく超えたサービスの提供を要求すること。

・対応が著しく困難、または対応が不可能な要求

例:契約金額の著しい減額を要求すること。

・不当な損害賠償要求

例:商品やサービス等の内容と無関係な損害について、不当な損害賠償を要求すること。

意見・感想・解説

カスタマーハラスメントに該当するかどうかは、顧客から厳しい言葉を受けたという事実だけで機械的に判断するものではありません。言動の目的や内容、手段、頻度、継続性、発生した経緯などを踏まえ、総合的に判断する必要があります。

特に重要なのは、要求内容に一定の理由がある場合であっても、暴言、威圧、長時間の拘束、執拗な繰り返しなど、要求の手段や態様が社会通念上許容される範囲を超えていれば、カスタマーハラスメントに該当し得るという点です。

企業には、現場の担当者だけに判断や対応を任せるのではなく、カスハラに該当する言動の判断基準、報告・相談ルート、対応を打ち切る基準などをあらかじめ明確にしておくことが求められます。

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(12)ハラスメント防止規程解説
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研修講師:坂本直紀の紹介

坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員

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